安全確認への意識を高めることができれば、これまでよりも歩行に対して気持ちのゆとりを持てそうです。
千野:視覚障害者の方は、非常に緊張感を持って歩行しています。ロービジョンの方であれば、慣れた道であっても電柱を数えながら歩くなど、とにかく進路を間違わないことを優先して歩いているんです。しかし、人間の注意力や集中力には限りがあります。たとえば、集中してテレビを観ているときに話しかけられると、その話にしっかり耳を傾けられませんよね。それと同じように、歩行時に進路を間違わないように集中すればするほど、他のことに注意を払いづらくなります。
安全確認はもちろんのこと、散歩みたいに歩くことを楽しむためには、特別に意識しなくてもナビゲーションを任せられる、あしらせが担う役割は大きいと考えています。たとえば、「400m先を左折する」場合、左折する場所までの距離に応じて左足の振動モニターが振動し、近づけば近づくほど振動の間隔が短くなる、というように振動でナビゲーションできれば、心理的な負担をかなり減らせると思います。