

仙台EMCリサーチセンターの研究成果を発表した論文※1が、平成18年8月14日から18日に米国ポートランドで開催された「2006
IEEE※2 EMC SOCIETY シンポジウム」において、「2006 Richard Schultz Transactions
Prize Paper Award」を受賞しました。 同賞は、永年に渡りEMC Transactions(論文誌)の編集に貢献した故R.B.Schultz氏を記念して1973年に創設されたもので、毎年、IEEE EMC SOCIETYの論文誌に掲載された80件余りの論文の中から、最も優れた論文1件が表彰されるものであり、日本人グループが投稿した論文としては初めてです。 仙台EMCリサーチセンターでは、平成12年度から16年度まで、電子機器の設計や安全な電波環境を確立する上での障害となる電子機器からの漏洩電波を可視化し、その発生状況を短時間で詳細に把握できる技術の確立を目的とした研究開発プロジェクト※3を実施しました。 今回受賞した論文は、このプロジェクトの研究開発成果の一つである、「光ビームと光学結晶を用いて高周波磁界を高い精度で測定できる光磁界プローブにおいて、CdTe(テルル化カドミウム)結晶と光学部品の小型化により、LiNbO3(ニオブ酸リチウム)結晶を使用した従来のプローブより高い周波数までの測定を実現したこと」について発表したもので、測定可能な漏洩電波の周波数を大幅に高めることにより、近年急速に増加しているGHz帯の周波数を用いた電子機器の機器間、機器内部での電磁干渉問題の解決に寄与する画期的な技術です。 今回の受賞は、リサーチセンター研究員のみならず、研究開発にご協力いただいた多くの関係者の成果でもあります。 なお、この成果は仙台リサーチセンターとして、平成17年度から開始した新たな研究開発プロジェクト※4に引き継がれており、今後も更なる成果創出を目指し、引き続き研究開発を進めています。 ※1 【論文名】“Optical Magnetic Field Probe Working up to 15GHz Using CdTe Electrooptic Crystals” 【著 者】 鈴木英治、荒川悟、太田博康(以上、仙台EMCリサーチセンター拠点研究員)、荒井賢一(同プロジェクトサブリーダー)、佐藤利三郎(同プロジェクトリーダー) 【掲載誌】 IEEE EMC-T, Vol.47, No.2, pp.344-351, May 2005. ※2 IEEE の正式名称は、"The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc."というアメリカに本部がある世界最大の電気・電子関係の技術者組織です。日本語では、IEEE(電気電子学会)と表され、世界150カ国に377,000人以上の会員を擁する非営利団体です。この団体は、電気・電子・通信等の広範な技術分野で指導的な役割を担っています。 ※3 「電子機器から漏洩する電波の三次元可視化技術の研究開発プロジェクト」(平成12〜16年度、仙台EMCリサーチセンター) ※4 「電磁波セキュリティを確保するための高感度電磁波測定技術の研究開発プロジェクト」(平成17〜21年度、仙台リサーチセンター) |
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