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「脳情報通信融合研究キックオフ・シンポジウム」開催報告

未来ICT研究センター 推進室 室長 久保田 徹

現在、NICTでは、大阪大学及び国際電気通信基礎技術研究所(ATR)と共に、脳機能を応用した新たな情報通信の実用化に向けた「脳情報通信融合研究」を実施する体制のもと、その研究を開始したところです。

この「脳情報通信融合研究」の開始を記念して、2010年3月10日に、東京国際フォーラムにおいて、3機関主催による「脳情報通信融合研究 キックオフ・シンポジウム」を開催しました。(共催: 大川情報通信基金)

シンポジウム会場

当日は約400名の参加者が会場を埋め尽くす盛大なシンポジウムとなり、脳情報通信研究分野に対する社会的関心の高さがうかがえました。

開会の部では、主催3機関であるNICT・大阪大学・ATRの長がその融合的協力関係を象徴しつつ壇上に揃う中、代表して宮原秀夫NICT理事長が開会挨拶を行いました。続いて来賓の長谷川憲正総務大臣政務官よりご挨拶を頂き、原口一博総務大臣からの当シンポジウムそして今後の融合研究への熱い期待をメッセージとして伝えられました。

左から、平田康夫ATR社長、宮原秀夫NICT理事長、鷲田清一大阪大学総長

第1部では、「脳情報通信融合研究」の紹介として、研究総括となる柳田敏雄大阪大学教授(NICTプログラムコーディネーター)による基調講演、そして大岩和弘NICT神戸研究所所長による融合研究の概説講演が行われました。その中で情報通信研究が取り組むべき諸課題(エネルギーや人間への影響の問題)に対して脳情報融合研究への可能性が論じられました。

第2部では、世界的に著名な脳研究者である渡邊武郎ボストン大学教授(ATR脳情報研究所客員研究員)と北澤茂順天堂大学医学部教授による招待講演が行われ、ともに人間の優れた能力の仕組みが脳研究によって急速に解明されつつあり、同時に新たな観点やパラダイムも出現していることを述べられました。

第3部では、大川賞受賞記念講演として川人光男ATR脳情報研究所所長とTomaso Poggio マサチューセッツ工科大学教授の講演がありました。お二人の交流のエピソード、ともに「計算論的神経科学」という分野の創成に寄与されたことや、ロボット工学との融合によるBMI技術(Brain-Machine Interface Technology)に関する業績について語られました。

閉会直前、原口一博総務大臣が国会終了後に駆けつけて下さり、脳科学のICT成長戦略への活用の可能性、困難に挑戦する人々(Challenged)への支援としての脳科学の可能性に期待する旨のご発言を頂き、本「脳情報通信融合研究」を加速する意義あるシンポジウムとなりました。

NICTでは、このシンポジウムの開催を機とし、今後も外部との連携を図り「脳情報通信融合研究」の実施を推進していきます。

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