タイトル APTアジア太平洋情報社会サミット 展示会出展報告
村上 誉、浜口 清

 10月31日〜11月2日に、APT (Asia-Pacific Telecommunity)アジア太平洋情報社会サミットがホテルグランパシフィックメリディアン(東京・台場)にて開かれました。APTサミットは、アジア太平洋地域における情報社会の在り方や推進方策を討議する国際会議であり、各国要人が参集します。そのため、“アジア太平洋地域のIT革命を目指して”と題した展示会は日本における通信技術のアクティビティを宣伝する絶好の機会となります。この展示会に、当所から最先端の研究成果である成層圏プラットフォーム(第二研究チーム)とミリ波映像伝送システム(第四研究チーム)を出展しました。
 第二研究チームからは、成層圏に長期間かつ一定場所に滞留する飛しょう体を用いて低コストの通信インフラを提供する成層圏プラットフォームについて、1/100サイズ模型と概要説明ビデオを用いた展示を行いました。プラットフォームのバルーンを展示入り口にあげていたこともあり、ブースを訪れた方の質問は通信システムのみに留まらず、飛行船の構造やシステムの運用などにもおよび、関心の高さを感じました。運用コストの安さや衛星との利用形態の違いなどを知っていただくことができ、アジア太平洋地域でのプラットフォームの理解が深まったように思います。また、概要説明ビデオなどを収めたCD-ROMの配布も行い、そちらも好評でした。
 第四研究チームでは、家庭内でテレビフィーダのワイヤレス化を図ったミリ波映像伝送システムについて、動態展示と概要説明ビデオを用いた展示を行い、使用周波数帯や標準化の動向、デバイスとしてのコスト面の魅力などを紹介しました。展示会場内で動態展示を行っているブースは少なかったため、多くの方が興味深そうに見学していかれました。また、デモソースとして概要説明ビデオの映像を伝送していたため、はじめはそれ自体が動態展示とは気づかない方もいたようで、送受信のアンテナ間を遮蔽し、映像が乱れて納得された人も見受けられました。
 展示ブースを訪れる方たちは、APT加盟各国の情報通信担当大臣をはじめとする政府要人ならびに通信関連企業の代表者、および学識研究者など多岐にわたり、技術的な話のみならず自国への導入を念頭においた情報収集を熱心に行っていました。また、各メーカーの出展者同士での交流もあり、技術者同士で率直な意見交換をしたり、メーカーの会長や社長に展示物を見ていただいて実用化に向けて賛同いただけるようにアピールをしたりと、こちらもこの展示会ならではのことであったと思います。
 本展示会はサミット関係者向けの閉じられたものでありましたが、いわば実用化や導入の「カギ」を握る方たちへ技術を紹介することができ、非常に有意義なものでした。独立行政法人に移行し、これまで以上に成果の社会還元を求められることを思うと、このような機会を有効に活用することがその一助となるのではないかと感じました。


(第二研究チーム・第四研究チーム)


展示会風景


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