今後、目指したいことは何でしょうか?
方山:すでに「方角」は、「障害者が特別な配慮を必要とする存在」という認識を超えて、「一人のプロフェッショナル」として活躍できる職場づくりを進めています。今後さらに、このような働き方を社会全体に広げていきたいと考えています。障害のある方が普通に働ける会社が増えることで、社会全体のバリアが少しずつ取り払われていくと信じています。
「方角」の今後の目標は何ですか。
方山:現在、主に社会課題解決に特化した事業を展開していますが、今後は「コミュニケーションの促進」をテーマに、活動の幅を広げていきたいと考えています。例えば、聴覚障害者に限定せず、外国人や高齢者、その他多様な背景を持つ人々を対象に、新しいサービスを開発したいと思っています。特に、言語や文化、身体的特性の違いを越えて人々を繋ぐツールや仕組みづくりが重要だと感じています。こうした多様なコミュニケーションのバリアを取り払うことが、社会の包摂性を高める一歩になると信じています。
具体的には、ICT(情報通信技術)を活用してアクセシビリティを向上させる新しいツールやサービスの開発計画があります。これまでの経験を活かし、例えば、多言語対応の視覚・聴覚サポートツールや、地域社会で使えるコミュニケーション支援アプリの開発など、多方面で利用してもらえるものの可能性を模索しています。私たちの目指す未来は、「障害があるからできない」という壁を無くし、誰もが等しく情報や機会にアクセスできる社会を作ることです。
社会にメッセージをお願いします。
方山:「障害者がかわいそう」という時代は、もう終わったと私は考えています。これからの社会では、「どう関わり、共に生きるか」が問われるようになるでしょう。障害者を特別扱いするのではなく、彼らの力を引き出し、活かす環境を整えることが大切です。当社の取り組みは、障害者雇用や社会課題の解決における一つのモデルケースになると思っています。当社が実現した柔軟な働き方やダイバーシティの推進が他の企業や団体に影響を与え、社会全体のアクセシビリティを底上げするきっかけになれば嬉しいです。
「方角」の活動が少しでも多くの人々に「こんなやり方もあるのか」と気づきを与えられる存在でありたいと願っています。そして、こうした気づきが連鎖し、次のアクションへとつながることを期待しています。社会は一人の力で変わるわけではありませんが、一つの例が多くの人々に響き、行動を促すことができる。そのような影響力を持てる会社に成長したいと考えています。
取材協力:
株式会社方角
取材日:
2024年9月