ローカル5Gが支える移動の革新。車椅子ユーザーの自由と安全の両立を目指す「WHEEプロジェクト」(4/4)

4 車椅子ユーザーの活動範囲を広げる。「WHEEプロジェクト」がもたらす未来

「WHEEプロジェクト」がもたらす社会的意義について、どのようにお考えでしょうか?

串山:「WHEEプロジェクト」の意義は、技術的なイノベーションを実現するだけでなく、車椅子ユーザーや高齢者を含む多様な人々が平等に社会参加できる環境を整備することにあります。「WHEEプロジェクト」は、車椅子ユーザーの自立した移動を実現するだけでなく、支援者の負担も軽減します。また、蓄積したデータやノウハウは、公共インフラやサービスの改善に役立てられる可能性があります。

さらに、このプロジェクトは、単なる移動手段の改善にとどまらず、車椅子ユーザー自身がより積極的に社会活動に参加できる環境作りを目指しています。街中で自由に活動できるようになることで、周囲の人々の意識も変わると思います。

このプロジェクトが目指しているゴールは何ですか?

串山:車椅子ユーザーが安全で快適に外出できる社会を実現することです。利用データを計測・解析し、ユーザー自身が、車椅子の操作や姿勢を改善できるように支援するアプリケーションの開発は、「WHEEプロジェクト」の重要な柱になっています。このアプリケーションで車椅子の傾きや速度、動作リズムを可視化し、これを見る利用者が自分自身の行動をより深く理解して効率的に移動できるようにすることを目指しています。また、蓄積したデータを車椅子メーカーや研究機関と共有することで、車椅子の設計改善に役立っています。

さらに、このプロジェクトのもう一つの柱が、ローカル5Gを活用した遠隔支援システムです。緊急時に対応できる仕組みになるので、車椅子ユーザーにとっての安心感が大きく向上します。このように「WHEEプロジェクト」は、技術と福祉を融合させながら、車椅子ユーザーが自立して外出できる環境を構築することを目指しています。

 

取材協力:

東京都立大学

取材日:

2024年11月