高齢者の孤立解消を目指す。操作不要で家族や支援者と繋がるタブレット型デバイス「ケアびー」の開発(3/4)

3. 孤立を解消し、尊厳を守る。「ケアびー」が築く新しい「安心」の形

「ケアびー」の社会的意義について教えてください。

  「ケアびー」の使命は、「その人らしさ」を失わずに生活を続けられる環境を提供することです。私たちは、単なるコミュニケーション手段の提供にとどまらず、利用者とその家族、支援者の生活の質を向上させることに注力しています。具体的には、3つの側面で社会的意義を持っています。

1つ目は、孤立の軽減です。高齢者や認知機能が低下した方の精神的な健康には、社会との接点を持ち続けることが極めて重要です。「ケアびー」を使えば、離れて暮らす家族や支援者とリアルタイムでスムーズにコミュニケーションを取ることができます。特に、遠方に住む家族と頻繁に会うことが難しい高齢者にとって、「ケアびー」を通じた会話や交流は孤立感の軽減に大きく寄与します。日常の何気ない会話であっても、繋がりを感じることで生活の質が向上します。

2つ目は、介護負担の軽減です。介護を行う家族や支援者にとって、利用者の状態を把握することは大きな負担です。「ケアびー」は、利用者の様子をビデオ通話で簡単に確認できる機能を備えており、これにより支援者が直接訪問する頻度を減らすことが可能になります。また、ケアマネージャーや医療機関と連携することが容易になるので、支援体制全体の効率化にもつながります。これにより、支援者の身体的・精神的負担も軽減し、質の高い介護を提供できるようになります。

3つ目は、経済的負担の軽減です。「ケアびー」で在宅介護を支援することは、経済的負担を軽減する上でも重要です。高額な費用のかかる介護施設の入所でなく、「ケアびー」を活用した在宅介護を選択できるケースが増えています。住み慣れた家で必要なケアを受けられる環境を整えることで、利用者の満足度を高めるだけでなく、家族の経済的な負担を抑える効果も期待されます。