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山中 幸雄 | ||||||
我々の身の回りには、さまざまな電波が存在している。通信・放送の電波は目的をもって発射されているが、家電製品・電子機器からは不要な電波(電磁妨害波、電磁ノイズ)が出てしまうことがある。これらのあらゆる電波によってつくられた環境を電磁環境と呼び、この中で様々な機器が利用されている(図1参照)。つまり、これらの機器は電磁環境の発生原因になるとともに、その電磁環境から影響を受けているわけである。 例えば、家電製品・電子機器から発生する電磁ノイズは通信・放送あるいは他の機器に妨害や障害を与えることがある。また逆に、通信・放送の電波が電子機器等に影響を与えることもある。最近では、電子機器の動作が高速化し高周波ノイズを発生しやすくなっている一方で、デジタル化・小型化・低電圧化により誤動作を起こしやすくなっている。さらに、携帯電話等の移動通信が急速に普及し、電子機器と無線通信機器が近接して使用されるようになったため、それらが電波を介して相互に影響を及ぼしあう可能性も高くなっている。このため、調和のとれた電波利用のためには機器間の相互影響の問題を解決することが重要となっている。 |
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2. EMC測定法の研究
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3. 電波の生体影響に関する研究 携帯電話のように電波を利用する機器を国民が広く利用するようになるにつれ、電波の生体への影響を懸念する声や記事がマスコミ等で大きくとりあげられるようになっている。この問題に対しては、既に平成2年(1990年)の電気通信技術審議会において「電波利用における人体の防護指針」が答申されている(図3参照)。この防護指針とは人体が電磁界に曝された場合に、人体に好ましくない影響を及ぼさない安全な状況であるかどうかを判断するためのガイドラインであり、この指針値以下であれば人体に影響はないというのが現在のコンセンサスである。この指針を実効あるものにし、安全な電波利用の一層の徹底を図るため、本年(1999年)10月より、移動しない無線局に関しては、指針値(基準値)を越える場所には一般の人が立ち入ることができないようにすることが義務づけられた。当研究室では、この規制の実施に当たって必要となる確認法(基準値との適合性を判断するための算出法・測定法)に関して検討を行い、その結果が電波法告示にも反映されている。
これらの生体関連の研究を推進するため、「生体電磁環境研究施設」を小金井本所内に整備した(図6参照)。これはEMC測定用の電波無反射室を基本にしており、3軸走査システム、電磁界プローブ、人体モデル等を用いて、放射源の近傍電磁界分布の測定や人体内の電力吸収レベル、誘導電流の評価を行う。また、曝露装置の開発・評価にも用いる。さらに、各種機器から放射される電磁妨害波の測定やイミュニティ試験、電磁界プローブの校正法および1GHz以上のEMC測定法の研究開発にも広く活用していく予定である。 (横須賀無線通信研究センター電磁環境研究室長) |
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