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タイ国科学技術展報告

吉本繁壽 (よしもと しげとし)- 総合企画部 国際連携室 アジア研究連携センター センター長

10月15日(金)から23日(土)にかけて、タイ国バンコクで開催されたタイ国科学技術展(タイ・サイエンス・テック 2004)にNICTとして出展し、タイ国王へのご説明の機会を頂きましたのでその概要を紹介します。

この催しは、毎年タイ国の学校が休みとなる10月に、学生、生徒及び一般に向けた科学技術の普及・振興を目的とし、 バンコク郊外のインパクト(展示施設)でタイ国家科学技術開発庁の主催により、開催されています。これは日本に おける科学技術週間でのイベントに相当するものです。今年はタイの科学技術の父といわれるモンクット王(ラマ4世、 我が国のODAの成功例の一つとされるモンクット王工科大学ラカバン校(KMITL)もこの王の名前を取っている)の 生誕200年にあたるため、現国王、プミポン王(ラマ9世)が開会式に出席するなど、盛大に催されました。

10月19日(火)の開会式後、プミポン国王及びシリントン王女は、タクシン首相、ゴーン科学技術大臣及びパイラット 科学技術事務次官等を伴い会場視察を行いました。NICTのブースでは、NICTの紹介、NICTアジア研究連携センター 及びタイ自然言語ラボラトリーの紹介を行うとともに、新しいネットワーク技術を使ったデモンストレーションと して「IPコントロールカー」の展示を行いました。割り当てられた160uのブースの半分以上を使って、延長25mの 走行コースを設置し、10分の1スケールの模型自動車をインターネット通信用のプロトコル(通信手順)を使って 遠隔操縦するデモンストレーションです。離れた運転台では、搭載カメラからの映像を使い、あたかも実際に乗車 しているかのように、車を操作できる仕組みになっています。NICT安成理事よりそれらの概要を国王にご説明し、 筆者の運転でデモンストレーションを行いました。デモンストレーションには日本大使館小津書記官等が同行し、 タイ自然言語ラボラトリーのウィラット研究員がタイ語通訳を務めました。国王からは、今後の技術の応用の可能性に ついてのご質問があり、将来的に可能性がある旨、安成理事より回答を致しました。

タイは、教育と科学技術で国を豊かにするという国の政策を掲げていることもあり、学生・一般の人の科学技術に 対する関心は高く、47,000u広大な会場を使って行われたこの科学技術展に、4日間の学生向け事前公開の入場者約 13万人も含めて、全体で、103万人近い入場者がありました。最終日は土曜日であったこともあり、1日で30万人 近い入場者があり、タイ国の熱気をあらためて感じました。