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研究開発推進ユニットの設置

福地 一 (ふくち はじめ) - 総合企画部 部長

1.研究開発推進ユニット設置のねらい

2004年4月1日に、独立行政法人情報通信研究機構(NICT)が発足して、早1年が経過しました。この間、NICTは、 前身の2機関(通信総合研究所: CRL、通信・放送機構: TAO)の役割を融合させて、21世紀のユビキタスネットワーク社会を 支える情報通信技術の研究開発について、基礎基盤から実用化支援まで一貫した統合的な視点でかつ効率的に実施するよう 研究開発等の業務推進体制の整備を図ってまいりました。その体制のもとでNICTは、情報通信技術でより安全・安心で 豊かな未来社会を構築することをめざして、図1に示す4つの戦略分野と具体的なプログラムを設定して業務を推進しています。 NICTは昨年12月に、これらのプログラムの推進にあたり、組織横断的な研究開発ユニットを設置し、特に基礎基盤から 実用化支援まで一貫させた業務運用を重要な目的としてその推進の加速を図っています。

2.研究開発推進ユニットの概要、構成

現在設置されている6つの研究開発推進ユニットの概要を表に示します。また、図1には、対応するプログラムが下線で 示されています。新たに設置した研究開発推進ユニットは、CRL、TAOの時代から役割を分担して推進している分野、 あるいは統合に伴って部門間のいっそうの連携がプログラムの効率的推進に有効な研究分野を選んでいます。

研究開発推進ユニットの構成を図2に示します。ユニットには部門長あるいは研究主管のユニット長を配置し、その下に ユニット推進チームを設けます。ユニット推進チームには研究主管、室長、グループリーダクラスのメンバーを配置し ユニット長の補佐を行います。また、ユニットに室員、グループ員等からなるユニット員が部門等の組織横断的に配置され、 ユニット業務の推進に従事します。ユニットによっては、外部の学識経験者及び有識者から構成されるユニットサポート メンバー会議をもち、外部の知見や助言をユニット運営に反映する仕組みを導入しています。このような仕組みなども 通じて、NICTの研究開発推進ユニットの活動がよりオープンで対外的にもプレゼンスが高まる工夫をしてまいりたいと 思います。

各ユニットには、理事など役員クラスの担当者を配置し助言・指導を実施するなど、NICTのトップマネージメントとも 密着したユニット運営を実施する仕組みにもなっています。

3.今後の展望

今後、NICTの業務をより統合的視点で効率的に実施するために、現在の6つの研究開発推進ユニットの推進経験も活かして、 他のプログラムなどについても新たにユニットを設置していくこととしています。NICT内外からの意見・助言もふまえて、 NICTの第2期中期計画も念頭において、冒頭に述べました研究開発推進ユニットの目的がより発揮できるような同ユニット 運営を実施していきたいと考えています。

研究開発推進ユニットの概要

ユニット名 目標・特徴 研究開発課題 主たる担当部門
新世代モバイルユニット ・次世代の移動通信システムの技術開発の促進 ・無線通信サービスを安心して利用できる社会の実現を目指す研究開発推進ユニット メディアハンドオーバ、無線セキュリティプラットフォーム、超広帯域移動通信伝送、ソフトウェア無線用デバイス 及び構成の各技術 無線通信部門
研究開発推進部門
フォトニックネットワークユニット ・ネットワークの情報伝送処理をすべて光領域で実現するための技術開発の推進 ・さらなる大容量の光通信ネットワーク技術によりブロードバンド・ユビキタス社会の情報伝達基盤を確立するための研究開発推進ユニット 高密度WDM、ノード全光化等の超高速フォトニックネットワーク技術、テラビット級ネットワークの制御・管理技術、 ペタビット級ネットワークの基礎技術 情報通信部門
研究開発推進部門
情報セキュリティユニット ・災害、サイバー攻撃からネットワークを守るための技術開発や暗号、認証技術等の研究開発の推進 ・我が国におけるセキュリティレベル向上を目指す研究開発ユニット インシデント対策技術、減災・防災のための情報通信技術、コンテンツセキュリティ技術、暗号の評価・検証技術等の 情報セキュリティ技術 情報通信部門
研究開発推進部門
EMCユニット ・多くの機器が無線端末化されるユビキタスネットワーク時代に、人体にも通信システムにも安全で安心な電磁環境をつくるための技術開発の推進 ・我が国のトータルな電磁環境(EMC)問題解決のための研究開発推進ユニット 電磁波の生体への影響評価、電磁波セキュリティ技術、電磁波の精密測定技術、通信システム間の電磁環境技術 無線通信部門
拠点研究推進部門
光・量子通信ユニット ・未開拓研究分野である量子暗号や量子情報通信技術の研究開発、次次世代光通信技術開発の促進 ・日本の光通信の未来を切り開く、パイオニア的な研究開発推進ユニット 光通信の飛躍的性能向上に資する光デバイス技術、量子暗号や量子情報通信の要素技術 研究開発推進部門
基礎先端部門
研究開発ネットワークユニット ・研究開発ネットワークを基盤に、ネット運用者と研究者の連携や交流を通して、優れたネットワーク技術開発やアプリケーション技術開発の促進 ・次世代ネットワークの高度化のための研究推進ユニット JGNII等の研究開発ネットワークの整備、運用、研究開発振興、国際連携を通じた学術貢献、実用化支援、新たな ネットワーク利用研究支援 拠点研究推進部門
情報通信部門