

研究成果を広く一般に普及させるためには、その成果が生かされた製品がより安く販売されることが条件の一つになります。ただし、安いといっても研究成果を無償で企業に提供した場合、本来の意味での研究成果普及したとは言えません。やはり、価値ある研究成果は適正な対価を得て民間企業にライセンスを与え、製品として製造・販売されることにより、研究成果が普及されるものと考えています。また、研究成果が普及されたことを示す数値として、製品販売個数があげられます。すなわちNICTの研究成果(特許等)が民間企業にライセンスされ、その製品が製造・販売された時の総販売数量を調べることにより、普及の度合いを感じることができます。たとえば独立行政法人化直後は、1台数千万円の製品が数台販売されていただけでしたが、近年販売された製品の中には単価が数万円まで低下し、その販売数量は数百万個に達するものも生まれました。このことは、NICTの研究成果が、より身近になってきていることを端的に表しています。 さて、11月20日、都内コンビニエンスストアのレジの近くに、フリーDVDマガジンが置かれているのを見つけました(図1)。このDVDにNICTの研究成果が入っていたのを皆さんご存知でしたか?このDVDには、NICT発ベンチャーの株式会社カオスウェアが開発した暗号ソフトウェアが入っていて、なんと無償で利用できるのです。その仕組みは、“広告主”が、広告料としてソフトウェアの購入代金をユーザーに代わって負担することで、高度な暗号ソフトウェアを無償でユーザーに提供するというものです(図2)。ソフトウェアの無償化によって、一般ユーザーに対する暗号化技術普及がそのねらいです。なお、このDVD自体は無料ですが、NICTへのライセンス収入は広告主の収益から一部当てられます。 今回のDVDも含めて、最近のNICTの研究成果がより身近なところに普及してきていることを肌で感じることができるのは、研究支援をしている私たちにとってもうれしいことです。これからもNICTの研究成果が様々な形で、より身近になり普及することを願っています。 |
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