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量子効果に基づく情報圧縮操作を世界で初めて実証

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2003年11月21日

信号の圧縮とは信号に含まれる冗長性を取り除く操作で、信号の特徴を利用し、情報量を減らすことです。従来の情報圧縮には限界がありますが、量子情報理論によれば、従来の理論の限界以上に更なる圧縮が可能になることが予想されています。信号を運ぶ量子状態には一般に量子力学的な重なりが存在しますが、この重なりは粒子間の量子相関を適切に制御する事で取り除くことができるのです。今回の実験では、一つの光子の直交する偏光面と4本の伝送経路と量子もつれを形成する変換を行う線形光学素子を使って、3ビットの信号を2ビットの信号に圧縮し、再び3ビットの信号へ復元することを行いました。復元された信号の復元精度を測定したところ、量子もつれを使わない従来の圧縮限界よりも高い復元精度が達成されていることが確認されました。当グループでは量子通信路符号化についても既に原理実証に成功しており、これで量子情報技術の根幹をなす2つの符号化操作の実証が成功したことになります。
本研究は,総務省「量子情報通信研究開発プロジェクト」及び科学技術振興機構CREST中村プロジェクトの一環として実施されたものです。

発表論文
Physical Review Letters 91, 217902 (2003)
関連報道
日経産業新聞2003年11月26日先端技術欄