タイトル 科学技術講演会 宇宙のフロンティア
奥山 利幸

 平成11年4月18日(日)東京都小平市「ルネこだいら」において、「宇宙のフロンティア―科学と技術―」と題して講演会を開催しました。
本講演会は最新の科学技術に関して、国民の方々に大いに関心を持っていただくとともに、通信総合研究所の活動に関して、特に地元市民の方々によりよく知っていただき、国の研究機関の活動に対する理解を深めてもらうことを目的として、毎年4月に行われている科学技術週間の一環として行ったものです。

 講演は、科学面での宇宙フロンティアとして、すばる望遠鏡やハッブル望遠鏡等による最新の画像を交えた天文学の最先端に関して「見えてきた宇宙の神秘」と題して、サイエンスライター及び翻訳家として活躍されている野本陽代先生にお願いしました。また、技術面では、当所で行っている通信衛星に関する研究の一端を紹介するとともに宇宙空間を利用した地球規模の情報通信ネットワークの広がりについて、当所職員である若菜弘充が「宇宙に広がる情報通信」と題して講演を行いました。それらの概要について以下に紹介します。

 「見えてきた宇宙の神秘」では、本年1月末にハワイに建設された日本の「すばる」望遠鏡やアメリカのハッブル望遠鏡についての紹介のあと、多くの観測手段を用いることにより、さまざまな宇宙の姿が見えてくる、といういくつかの例が紹介されました。中でも普段我々が目にすることができない星雲の珍しい鮮明な画像や、赤外線観測で得られた画像などからは、天体の見え方の違いによりその天体の生い立ちを知る手がかりが得られること、ひいては我々の地球の歴史も知ることができることなどが紹介されました。また、太陽系の属する天の川銀河をはじめとするさまざまな種類の美しい画像による銀河の紹介、イリュージョンと呼ばれる重力レンズ像により、より遠くの星が見えてくることなどの紹介があり、束の間の宇宙の神秘に魅了されました。しかし、最後に宇宙で一番きれいな天体、それは地球であると締めくくられたことに、小生をはじめ多くのご来場の方々がさまざまな想いを抱いたことと思います。

 「宇宙に広がる情報通信」では、人工衛星の原理の説明から、衛星通信とは、衛星通信の歴史、最近の話題、CRLにおける研究成果の例について紹介がありました。衛星通信の歴史ではリレー1号による初のテレビ伝送がケネディ大統領暗殺のニュースであったことや、シンコムIII号により東京オリンピック実況テレビ中継が行われたこと、その後の急速な通信、放送衛星の発展等について紹介がありました。また、最近の話題としては、カーナビでお馴染みのGPSや携帯電話・PHSの急速な発展、イリジウムによる衛星携帯電話等についても紹介があり、CRLにおける研究成果例として、通信放送技術衛星(COMETS)の概要及びCOMETSを用いた高仰角伝搬実験・成果、8の字衛星、技術試験衛星VIII型、ギガビット衛星による国際共同ネットワーク実験等、地球規模で情報通信のネットワークが広がっている現状について紹介がありました。

 最後に、当日はあいにくの雨降りにもかかわらず、多数ご来場いただきました方々に、心よりお礼申し上げます。

(企画部企画課広報係長)

講演会風景



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