大学発スタートアップが研究成果を商品化。デフリンピックで実証実験、ウェアラブル触覚デバイス「Hapbeat(ハップビート)」開発秘話(4/4)

4.触覚で体験の選択肢を広げる。健聴者も聴覚障がい者も、ともに楽しめる社会を目指して

貴社や「Hapbeat」が、今後どのような方向性や未来を見据えているのか教えてください。

 触覚技術を活用し、メディアやコンテンツ表現を通じて「Hapbeat」による体験そのものをより豊かにしていくことが、私たちの目標です。この目標は、起業・立ち上げ当初から一貫して変わっていません。個人的には、現代のコンテンツにおいて映像や音声はすでに十分な高画質化・高音質化が進んでいると感じています。そこに新たな表現軸として触覚を加えることで、これまでにない新しい体験が生まれ、コンテンツの楽しみ方そのものが変わっていくことを期待しています。
また、触覚技術という観点では、健聴者と聴覚障がい者の間に大きな違いはなく、むしろ個人差の方が大きいと感じています。触覚表現がより一般的になっていけば、今回のデフリンピックでの取り組みのように、双方にとって便利な環境が整っていくと考えています。そうした意味でも、触覚技術の広がり自体を応援していただけると嬉しいです。
加えて、実際に使う際のハードルを下げていくことも重要な課題だと考えています。有線から無線へと移行してきたのも、その一環です。今後は仕様面での改善に加え、開発者がより多くのコンテンツへ触覚表現を組み込めるような環境づくりにも、重点的に取り組んでいきたいと考えています。健聴者はもちろん、聴覚障がい者にとっても、「Hapbeat」がごく自然に選択肢の一つとして挙がる存在になれるよう、これからも試行錯誤を重ねていきたいと思っています。

取材協力:Hapbeat合同会社
取材日:2025年12月