視覚障がい者の移動と選択肢を広げるために。点字ブロックを活かしたナビゲーションアプリ「shikAI(シカイ)」(4/4)

4.「自分の居場所」を持てる街へ。外出を支えるLiNKXの未来像

貴社では未来に向けて、どのような展望を描いていますか。

 視覚障がい者が街に出掛け、「自分の居場所」を持てる、そんな社会づくりに貢献していきたいと考えています。「shikAI」もその一助になれればと思っています。東京や大阪、名古屋等の都市部には地下街があり、多くの商業施設が集まっています。地下街は自動車や自転車が通らないため、安心して移動でき買い物も楽しめる、とても優れた空間です。強いていえば、注意が必要なのは同じ空間を歩く歩行者同士くらいでしょう。このような安全性の高い空間が、都市部では広範囲につながっています。視覚障がい者にとっても、地下街は比較的安全で移動しやすく、自分の居場所を見つけたり、友人と会ったり、買い物を楽しんだりできる場になるはずです。

点字ブロックの近くにあるコンビニ看板(左丸で表示)を目的地に設定し、そこから壁沿いに辿るとカフェ(右丸で表示の柱の奥)に行ける案内を「shikAI」に登録

 お気に入りの居場所を提供できたエピソードをご紹介します。その方から、「大手町駅の近くにある「カフェ」に行きたいので、その情報を載せてほしい」というご要望がありました。残念ながらそのカフェは点字ブロックから少し離れていたため、目的地としての登録はできなかったのです。その代わりに、すぐ傍にある「コンビニエンスストア」を目的地として「shikAI」に登録しました。そこから壁沿いに辿って行けば、カフェに辿り着けるからです。後日その方から、「私の居場所が見つかりました」というメールをいただき、とても嬉しかったのを今でも覚えています。

 もしかしたら、「行きたい場所が見つからない」あるいは「見つけにくい」ことで、外出そのものを諦めてしまうこともあるのではないでしょうか。しかし、「shikAI」がその一歩を支えられれば、一人で外出し、お気に入りの居場所へ行くことができる。そんなきっかけを提供できればと考えています。日本には点字ブロックが整備され、地下街のように安全に移動できる空間も広がっています。そこに、「shikAI」を通じてよりインクルーシブ*5な街を実現していく。それが、私たちLiNKXが目指す小さな未来です。


*5:障がいの有無、性別、年齢、国籍などに関わらず、多様な背景を持つ人々を分け隔てなく受け入れ、共生する社会や仕組みを目指す概念

取材協力:LiNKX株式会社
取材日:2025年12月