「WHEEプロジェクト」が生まれた背景を教えてください。
串山:大学内で、ローカル5Gを活用した社会的に意義のあるプロジェクトを立ち上げようという議論がありました。その中で、私は「車椅子の外出支援」に着目しました。
このテーマを選んだ理由は、以前から車椅子ユーザーが直面している移動や支援する側の課題をなんとかしたいという思いがあったからです。段差や傾斜などの物理的な障壁だけでなく、外出時に支援者が必要な状況や、自立して移動することが難しいという現実があります。これを技術で解決できれば、車椅子ユーザーの生活が大きく変わるはずだと考えました。
アイデアを具体化していく中で、遠隔支援や自動運転車椅子の構想も加わりました。このような構想は、車椅子ユーザーだけでなく、支援する側の負担も軽減することにつながります。このような多角的なアプローチを通じて、単なる移動の補助でなく、車椅子ユーザーの社会参加を促進する新しい仕組みを構築できると確信し、「WHEEプロジェクト」を立ち上げました。このプロジェクトの中で、私たちがこれまで培ってきたデザインと工学の融合というアプローチを活かしながら、車椅子ユーザーの生活をより良いものにするための技術開発を進めています。