誰も取り残さない社会へー「障害者支援アプリ」で自治体のDX化を加速させる「ミラボ」の取り組み(1/4)

1. アクセシビリティと利用者視点を重視したアプリの設計

「ミラボ」では自治体や母子保健のDX化に取り組まれていると伺いました。その中で「障害者支援アプリ」*を開発されたきっかけを教えてください。

 小坂:当社は自治体DX・母子保健DXサービス「mila-e(ミライー)」を提供しています。官公庁・自治体・医療機関に向けて、母子健康手帳や予防接種のデジタル予診票、オンライン申請など、主に子育て支援分野でアプリ開発を行ってきました。近年、子育て分野でも「多様化」が大きなテーマとなっています。障害のあるお子さんや、障害と診断されないものの発達に不安のあるお子さんなどもおり、支えるご家族や周囲の方たちへの支援がますます求められています。このような背景や課題認識をされた、ある自治体様から「障害者の方たちにも情報提供できるものを開発できないか」と相談されたのがきっかけです。社内で検討を重ねた結果、これはまさに「取り組むべき課題」だと認識しました。その背景には、私たちがIT技術を用いて「いま、ここにないもの」を創造する企業理念があるからです。そこで当社は、これまでに培った「母子健康手帳アプリ」「子育て支援アプリ」のノウハウを活かし、障害のある方やそのご家族にも役立つものをと考え、アプリ開発をスタートさせました。検討開始から約半年でプロトタイプを構築し、2022年10月に運用を開始しました。

*「ミラボ」では、「障害者」の表記について、WEBサイトおよびアプリケーション上で視覚障害を抱える方がスクリーンリーダーを利用した際、「障がい者」という表記が「さわりがいしゃ」と認識されるケースがあるため、「障害者」という表記に統一している。

ターゲットとなる利用者はどのような方たちでしょうか。

 小坂:障害の分野は大きく「身体障害」「知的障害」「精神障害(発達障害を含む)」の3つに分類されます。しかし、当社としてはその区分にとらわれず、障害のある方すべてに情報を届けることに大きな意味があると考えています。さらに重要なのは、障害のある方を支えるご家族や介助者の存在です。日常的にサポートする立場にある方たちへの情報提供や利便性向上も欠かせません。そのため、私たちは想定するターゲットとして「障害のある方」だけでなく、「支える方」にも届ける必要があると考えています。