誰も取り残さない社会へー「障害者支援アプリ」で自治体のDX化を加速させる「ミラボ」の取り組み(4/4)

4.自治体DXと社会貢献を両立し、誰も取り残さない未来へ

今後において、どのような展望を描いていますか。

 小坂:これまでも大切にしてきたのは、障害の種類に関わらず「誰もが使えるアプリ」をつくることです。これは障害のある方だけでなく、介助する方においても同様です。例えば、アプリ上のボタン配置、背景色、音声読み上げに配慮したテキスト表記など、細かな点にも配慮が必要です。難しい文章を無理に読み上げるような設計は利用者にとって負担となるため、より分かりやすく直感的に使える工夫を重視しています。また、私たちは「誰も取り残さない社会」を目指しています。障害と診断されないものの発達に不安のあるお子さんとご家族などをはじめ、まだ情報に十分アクセスできない方たちが一定数存在しているのも事実です。そうした方たちにも情報を漏れなく、分かりやすく届けたい。そのために私たちは「何ができるか」を常に考えています。

今後は「障害者支援アプリ」を通じて、より多くの方が必要な情報にアクセスできる環境を整えたいと考えています。IT企業である当社では物理的な障壁を取り除くことはできませんが、情報をわかりやすく手軽な形で届けることで“心理的なバリアフリー”の実現にもつながると信じています。まずは多くの自治体にアプリの存在を知っていただき、地域ごとの特性やニーズに合わせたサービスを提供することで、「誰も取り残さない社会」に貢献していきたいと思います。

坂井:現在の社会では、多様化が大きなテーマになっています。当社にとっても、それは非常に重要な視点です。会社の理念の一つに「社会貢献」がありますが、「障害者支援アプリ」はその具体的な取り組みの一つです。実際、「障害者」という言葉自体が曖昧な面を持っています。障害と診断されるのは3歳以降が多く、それまでの間、ご家族は診断名のない不安の中で暮らさなければなりません。そのような時期でも必要な情報にアクセスできる状態を整えることが、私たちが考えるバリアフリーです。当社のサービスは 母子手帳アプリをはじめとする「mila-e」というアプリから始まりました。その後、自治体からの声を受けて障害者分野にも広がり、今では「障害者支援アプリ」や「mila-eシリーズ」を多くの方にご利用いただいています。感謝の声も数多くいただくようになり、大きな励みとなっています。これからも障害者支援に限らず、自治体DXやバリアフリーを支えるさまざまなサービスを提供し、社会全体に貢献していきたいと考えています。

 

取材協力:株式会社ミラボ

取材日:2025年8月