「伝わらない」を、その場でなくすために。デフリンピックでも提供された、ミライロが届けるオンライン手話通訳サービス(4/4)

4.「バリアを、バリューに。」小さな想いを大きなうねりとして、社会の仕組みを変えていくために

貴社における今後の展望を教えてください。

 情報バリアフリーの実現に向けて、弊社ではすべての事業において「ユニバーサルデザイン」という考え方を軸に取り組んでいます。その中でも特に「情報保障」が非常に重要な要素になると考えています。

 一口に聴覚障害者といっても、手話が得意な人もいれば、そうでない人もいます。だからこそ弊社では、サービス開始当初から「一つの正解を押し付ける」のではなく、「複数の選択肢を用意する」ことを大切にしてきました。手段をいくつか用意し、聴覚障害自身が「自分に合った方法を選べる」。そんなサービスを提供していきたいと考えています。

 弊社は、「小さな想いを、大きなうねりに変える会社」という価値観を事業のあり方として大切にしています。個人が抱える課題や困りごとを、個人の問題として終わらせるのではなく、社会全体の仕組みとして伝え、変えていくことを重視しています。その根底にあるのが、企業理念として大切にしている「バリアバリュー」という考え方です。「人にはそれぞれ、弱点や短所、苦手なことがある。トラウマやコンプレックスを抱えている人もいる。しかし、それらは必ずしも克服したり、取り除いたりすべきものではない。これまで“バリア”として捉えられてきたことも、考え方や周囲の向き合い方次第で、“強み”や“価値”に置き換えることができる。バリア(障害)をバリュー(価値)に変え、私たちは社会を変革していく」。これが弊社の理念です。誰かのためだけに特別な対応をするのではなく、「ユニバーサルデザイン」という視点で社会全体をより良くしていくこと。その姿勢を、企業として今後も貫いていきたいと考えています。

 一方で、この分野では依然として悲観的な見方があることも事実で、「当事者をないがしろにしているのではないか」といった声が聞かれることもあります。私たちは、聴覚障害者や当事者団体が長年向き合い、積み重ねてきた取り組みがあってこそ、今の社会があると考えています。その歩みに対して、常に深いリスペクトを持ちながら、当事者団体が担う役割、そして民間企業として果たせる役割を意識し、ともにインクルーシブな社会をつくっていきたいと思っています。

取材協力:株式会社ミライロ
取材日:2025年12月