「視空間認知障害の子どもがきっかけ」ー誰もが安心して外出できるアプリ「LOOVIC」誕生(4/4)

4.誰もが自分らしく生きられる社会を。サイレントマジョリティの声に応えるために

これからの展望や目指したい未来を教えてください。

  私たちの挑戦には、日本特有の背景があります。日本は経済大国であると同時に「高齢化先進国」でもあり、他国よりも高齢化社会に向き合わねばならないといった課題に直面しています。アジア諸国でも医療技術の発展に伴って同じ流れが加速しており、暮らしやすさの裏で解決を迫られる問題が次々に浮かび上がっています。だからこそ、私たちが開発している技術は日本だけでなく海外においても、今後も更に進むと思われる少子高齢化社会において多数派(マジョリティ)になる層へと広がり、こうした方々の課題解決に役立てるものと強く確信しています。

 私たち人間には完璧な人はおらず、何かしら苦手な部分があるのです。そして、誰もが「自分らしく生きる権利」を持っています。その当たり前の権利を守るために、まだ解決していない課題を一つひとつ技術で乗り越えていく。これこそが、私たちがこの時代に生まれた使命だと思っています。もし目の前に解決されない現状があるならば、誰かが解決しなければならない—その覚悟で挑み続けています。

この思いに行き着いた背景には何がありますか。

  子どもの社会的自立を目指したことがきっかけで事業を起こしましたが、開発を続ける中で、私たちを応援してくださる投資家の方たちや、解決を望む人たちに対しても、当社は解決しなければならない責任があると思っています。さまざまな困難を見渡す経験を重ねる中で、「与えられた使命には向き合わなくてはならない」という思いは、私がずっと意識していることです。「この技術が不可欠」と待っている方たちが実際に存在するので、必ず成功させるしかないのです。

 現在、課題を抱える方に向き合った技術は、社会保障制度の適用・非適用の狭間にあり、開発して汎用化される技術がまだ非常に少ないのが現状です。こうした方たちに配慮した視点で技術開発を行う起業家は少なく、また当事者自ら「苦手である」と弱音を吐くことも少ないため、潜在的な課題として残されています。弊社が開発する技術は、その方たちのために社会を変えるムーブメントを牽引する立場にあると考えています。「私が社会を包摂的に捉えて解決していく」と覚悟し、日々サービス化の実現に向けて取り組んでいます。


取材協力:LOOVIC株式会社
取材日:2025年8月