「視空間認知障害の子どもがきっかけ」ー誰もが安心して外出できるアプリ「LOOVIC」誕生(3/4)

3.スタートアップでのハードウェア開発はいくつもの難題に直面。自問自答の日々

開発にあたり学んだことや苦労したことはありますか。

  課題を抱えた方に寄り添う技術開発への配慮も大変でしたが、一番の反省点は「ハードウェア開発に資金と時間をかけすぎたこと」です。当初はエンジェルラウンド※で資金調達をしましたが、このままでは開発資金を維持できないと感じ、組織として方向転換を迫られました。

 また、スタートアップ企業である当社にとって、ハードウェア開発は大きな挑戦でした。実際に試作や部分的な特許を取得できても、その他の基本特許など大方の重要な部分は大手企業が特許を押さえていることが多いのが実情です。そのため、特徴があっても汎用性を目指そうとする製品は埋もれてしまい、出口を塞がれてしまいます。結果的に「ハードウェアはできる限り、既存の製品化されているものをうまく使いながら、ソフトウェアに集中した研究開発が必要だった」と痛感しました。これは大きな学びです。

 さらに、当初は「課題を抱える子どもやそのご家族(周囲の方)のためのアプリ」として開発を進めていましたが、研究を重ねる中で「当事者のためだけに特化したものは、むしろ受け入れられにくい」ということも分かってきました。そのため、課題の有無にかかわらず誰もが自然に使える技術に寄せる必要がありました。この方向転換の過程では各方面に相談して意見をもらい、自問自答を繰り返しながら進めてきました。当然グレーゾーンの方はあまり表に出てこないため、調査を含め、この方向性にたどりつくまでに多くの時間を割いたのも要因の一つでした。


※スタートアップに対する事業化前段階への投資のこと