日常から非常時まで、手話が届く社会をつくる。プラスヴォイスが挑む新しい共生のかたち(4/4)

4.命を守る時も、暮らしを支える時も──手話が届く社会を目指して

今後において、どのような展望を描いていますか。

三浦:大きく二つあります。

 一つ目は、いつでも手話が使い続けられる環境を整えていくことです。私は能登半島地震が発生した直後に被災地へ赴き、「遠隔手話通訳サービス」を提供しましたが、やはり日常的にこのサービスが利用できる環境が整っていなければ、非常時には十分に機能しないと痛感しました。実際、当時はろう者の方々が情報弱者になってしまった側面もありましたし、スマートフォンにサービスを設定しても、画面に映る通訳者を話し相手本人と勘違いしてしまうケースもありました。しかしこれは仕方のないことで、「遠隔手話通訳サービス」が、橋渡しのサポートであるという認識が、まだ十分に広がっていなかったからです。だからこそ、このようなサービスを日常的に使えるものにし、災害時であってもそうでなくても、双方の困り事を解決できる仕組みにしていく必要があると考えています。

 二つ目は、諸外国にも提供できる「遠隔手話通訳サービス」の向上です。三者通訳にとどまらず、四者通訳(国際手話通訳やろう通訳などを含む)にも対応できる体制を整え、世界中のろう者が困らない環境をつくっていきたいと考えています。そしてそれに加えて日常的に会話でき、活躍できる社会を実現していきたいと思います。双方が円滑にコミュニケーションを取るためには、時間をかけて関係性を築いていく必要があるかもしれませんが、対話を重ねることで、必ず親しい関係へとつながっていくはずです。私自身、多くのろう者知り合いがいますが、本当に優秀な人材ばかりです。だからこそ、彼らの能力や才能が最大限に活かされる社会づくりに、今後も一層貢献していきたいと思っています。

能登半島地震の際には、手話によるニュース提供の必要性を感じ、当社公式YouTubeチャンネルを用いて状況を共有

 

取材協力:株式会社プラスヴォイス
取材日:2025年12月