「今、ちょっと見てほしい」に応える。iPhoneのカメラ映像と位置情報を活用し、視覚障害者の日常を支える「アイコサポート」(1/4)

1 遠慮して聞けなかった「ちょっと確認したい」に応える、アイコサポート誕生の背景

アイコサポートのサービスについて教えてください。

藤井:お客様が知りたい情報や確認したいものを、iPhoneのカメラ映像を通じてコンタクトセンターのオペレーターが確認し、リアルタイムに言葉でお伝えするサービスです。屋外では位置情報も活用し、周囲の状況や現在地などを確認しながらご案内します。

このサービスは、どのような経緯で生まれたのでしょうか。

 藤井:きっかけは、視覚に障害のある方への情報提供サービスを企画していた社員の気づきでした。その社員は当事者の実情を知るために、外出時に支援をする「同行援護従業者」の養成研修を受けて、実際に活動を始めました。そして同行援護をする中で、同じ店に行き、同じものを買うといった、決まった行動範囲で暮らしている方が一定数いることに気づいたそうです。「本当はほかの選択肢もあるのに、必要な情報を得にくいために行動が限られているのではないか」と考えました。

 視覚に障害のある方にとって、日常生活には情報へのバリアが数多くあります。そこで、離れた場所から必要な視覚情報を届けられないかと考えたのが、アイコサポートの出発点です。当社は、お客様の困りごとを解決するコンタクトセンターとして、ロードサービスをはじめとする各種アシスタンス事業を手がけてきました。アイコサポートを立ち上げるにあたり、そのノウハウを生かせるという強みが後押しとなりました。

 その後は当事者団体にもご協力いただき、生活の中でどのようなことに困っているのかを聞いていきました。同行援護は外出を支える大切なサービスですが、利用する側が「そこまでお願いするのは申し訳ない」と遠慮してしまうこともあります。そうした、既存の支援だけでは拾いきれない小さなニーズが見えてきました。

実際には、どのような場面で利用されているのでしょうか。

 藤井:さまざまな場面で使われていますが、実は利用の6割ほどはご自宅です。例えばエアコンは、運転・停止はできても、温度設定やモードの切り替えまでは難しいことがあります。電子レンジや洗濯機も、複数のコースが用意されていても、一人では選べないことがあります。

 そのほか、不在配達票や書類の内容を確認したり、洋服の組み合わせやシミの有無を見てもらったりすることもあります。ご家族と暮らしている方でも、「今すぐ少しだけ確認したい」ということはありますし、そのたびに家族へ頼むことをためらう方もいらっしゃいます。

 買い物でも同じです。店員の方にお願いすることはできますが、忙しそうだと声をかけにくかったり、自分のために長く時間を取ってもらうことを申し訳なく感じたりすることがあります。そのため、本当はほかの商品と比較したくても、「これでいいです」と遠慮してしまうこともあります。

 アイコサポートであれば、「この棚には何がありますか」「この2つはどちらが安いですか」と、自分が知りたいことだけをその場で尋ねられます。これまで誰かの助けを待ったり、諦めたりしていた「ちょっと確認したい」ということを、自分が知りたいタイミングで解決できる。そうした日常の小さなニーズに応えられることが、アイコサポートの特徴だと思います。

アイコサポートを使い、家電製品の操作を確認する様子(イメージ)。家族に頼みにくいちょっとした確認も、必要なタイミングでオペレーターに尋ねられる