「今、ちょっと見てほしい」に応える。iPhoneのカメラ映像と位置情報を活用し、視覚障害者の日常を支える「アイコサポート」(2/4)

2 見えている状況を言葉に変え、安心して判断できる情報を届ける

実際のご案内では、利用者の意図や希望をどのようにくみ取っているのでしょうか。

 藤井:屋外であればGPSの位置情報を共有できますので、ご自身が今どこにいるか分からない場合でも、カメラ映像と地図を照らし合わせながら現在地を確認できます。まず周囲を映していただき、「正面にコンビニがあります」「右手に横断歩道があります」といった形で、オペレーターが見えている状況を言葉にします。情報が入ることで、お客様自身も周囲のイメージを持ちやすくなり、不安の軽減につながります。

 大切にしているのは、一方的に案内しないことです。例えば道に迷っている方に対しても、すぐに進む方向を指示するのではなく、「どこへ行きたいのか」「何を確認したいのか」を伺いながら、必要な情報を整理していきます。顔が見えないやりとりだからこそ声の調子にも気を配り、お客様が不安にならないような案内を心がけています。

オペレーターには、どのような研修を行っているのでしょうか。

 藤井:対応するのは、ロードアシスタンスなどでお客様対応の経験を積んだ社員です。ただ、視覚に障害のある方への案内は、映像に映っているものをそのまま読み上げればよいわけではありません。視覚障害の特性を理解し、分かりやすく伝えることが重要です。

 その点については、視覚障害に関する基礎知識や状況把握に必要な情報を学ぶ研修も実施しています。また、私自身が全盲の社員としての視点を活かし、より分かりやすい伝え方を共有しています。

具体的には、どのような伝え方をするのでしょうか。

 藤井:例えば方向を伝える際には、時計の文字盤に見立てて「2時の方向」と表現するクロックポジションを使います。また、階段であれば「この先に階段があります」だけでは不十分です。上りなのか下りなのかまで伝えなければ、危険につながります。段差についても同様で、お客様がご自身で安全に移動を判断できるよう、必要な情報を徹底して伝えるようにしています。

映像や位置情報を扱う点で、プライバシーへの対策も重要ですね。

 藤井:コンタクトセンターでは個人情報を厳格に管理しています。個人のスマートフォンの持ち込みを禁止し、システム面でも高いセキュリティ基準を設けています。情報セキュリティ管理の国際規格である「ISMS」の認証も取得し、損保ジャパングループで求められる厳格な基準に沿って運営しています。利用者に安心してカメラを使っていただくためにも、案内の品質と同じくらい、情報管理は重要だと考えています。

利用者から送られるカメラ映像と位置情報を確認しながら案内するオペレーターの様子。目視で状況を把握し、利用者が知りたいことを分かりやすく伝える