アイコサポートを導入する自治体が増えているそうですね。どのような課題から導入につながっているのでしょうか。
藤井:現在、鳥取県をはじめ、神奈川県の厚木市、平塚市、東京都品川区などで導入いただいています。対象地域にお住まいの視覚に障害のある方は、居住地の自治体に申請すると無料でアイコサポートを利用できます。
自治体が抱える課題の一つが、視覚に障害のある方への情報保障です。点字で情報を提供する方法もありますが、作成に時間がかかるほか、視覚に障害のある方すべてが点字を読めるわけではありません。音声で、その場に応じて柔軟に情報を得られる手段が必要です。
また、同行援護は重要な支援ですが、基本的には事前に予約して利用します。「今すぐ数分だけ確認してほしい」というニーズには対応しにくく、地域によってはガイドヘルパー不足という課題もあります。アイコサポートは既存の支援に代わるものではなく、これまで手が届きにくかった時間や場面を補う役割として評価いただいています。
自治体だけではなく、アイコサポートを導入する企業も増えているようですね。
藤井:職場でも、視覚に障害のある社員が周囲に声をかけにくい場面があります。例えば、パソコンの音声読み上げがうまく機能しない、自分で作った資料のレイアウトが崩れていないか確認したい、といったときです。同僚が忙しそうだと、少しの確認でも頼むことをためらってしまいます。
そこでアイコサポートを使えば、必要なときにオペレーターへ確認でき、業務を止めずに進めやすくなります。働く場面でも「少しだけ人の目を借りたい」というニーズはあると思います。
利用者の声で、特に印象に残っているものはありますか。
藤井:「人生が変わった」「これがあるから旅行に行けるようになった」と言っていただくことがあります。印象的なのは、大きな支援というより、これまで後回しにしていた小さなことを、その場で確認できるようになったことで生活が変わった、という声です。
私たちが案内で最も大切にしているのは、主体はあくまでお客様だということです。オペレーターが「こうしてください」と決めるのではなく、お客様自身が選び、決めるために必要な視覚情報をお伝えする。「自分で決められるようになった」と言っていただけることに、このサービスの価値があると考えています。
今後、どのようなサービスにしていきたいと考えていますか。
藤井:アイコサポートが選ばれ続けるためには、人による案内の品質が重要です。一人ひとり見え方や分かりやすいと感じる伝え方が異なりますので、必要なときに情報をスムーズに補える「もうひとつの情報源」としてサービスを磨いていきたいです。もともと当事者の声を聞く中から生まれたサービスですので、これからも利用される方の声を受け止めながら改善していきたいと思っています。
取材協力:株式会社プライムアシスタンス
取材日:2026年7月
