

光通信分野の2大国際会議の一つである「ECOC(European Conference on
Optical Communication)」が、9月24日から28日まで仏カンヌで開催され、新世代ネットワーク研究センターからは、PD論文(Post
Deadline Paper)2件をはじめ多数の論文発表と動態展示を行いました。口頭発表の採択率が約3割という難関の中、NICTからはポスターも含めると14件が採択となり、光通信分野におけるNICTの先進性を示すことができました。 展示会場では超高速フォトニックネットワークグループが中心となり、光パケットスイッチング技術関連の動態展示を行い、展示ブースから人があふれるほどの盛況ぶりでした。 ECOCのPD論文は、重要な成果発信の場として常に注目されています。今回、特筆すべきことは、光ファイバ伝送速度記録を大きく更新する報告がなされたということでしょう。光ファイバ伝送速度は、車に例えると最高速度かエンジンの馬力に相当するような最も明解な基準の一つといえます。ITバブル崩壊以降、滞っていた伝送速度向上が5年ぶりに達成されたという事実は非常に意義深いと思います。 今回、NICT(光波量子・ミリ波ICTグループ)からは、米国ベル研究所との共同で12.3Tb/sの伝送についての報告を行いました。トータル伝送速度としては、同じセッションでNTTの研究グループから報告された、新型の光アンプとファイバを活用した14Tb/s伝送が世界最高となりますが、NICTとベル研の成果は既存ファイバ、光アンプによるもので実現性の高いものといえると思います。また、伝送密度として世界最高であるという点がNICT、ベル研の成果の大きな特徴で、今後更なる容量拡大も十分期待できるものです。NICT、NTT共に同じ信号形式を用いていますが、これを実現するデバイスは昨年のECOCで我々が世界に先駆けて報告しています。基礎的でシステムから距離感があるように見えがちなデバイス研究ですが、短期間でトータルシステム性能にインパクトを与える成果につながることが十分あり得ることを実感できました。 また、通信業界では国境を越えた連合・合併が当たり前の状況になっていることを、今回のECOCにおいて実感することができ、研究分野においてもグローバルな視点での取組が重要であることを認識する良い機会となりました。 |
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欧州光通信会議(ECOC2006) 開催日:平成18年9月24日〜28日 場 所:フランス・カンヌ |