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未来のネットワークを作る
3回連載企画 未来のネットワークを創る 第2回

新世代ネットワーク研究開発ターゲット
「トラスタブルネットワーク」

ネットワークの高度な安定性と信頼性

新世代ネットワークの技術戦略の1つである「トラスタブルネットワーク」は、ネットワーク自体の安定性(スタビリティ)および信頼性(トラスタビリティ)を確保するための技術目標を定めています。ここでは、さまざまな要素技術が進歩した15年後のネットワークにおいても、サイバー攻撃に代表される脅威や人為的ミスなどによるネットワーク障害は発生しうるという考えに基づき、このような脆弱性を前提としつつも持続可能で安定したネットワークを実現することを目指しています。また、利用者の立場から、プライバシー保護などの安全性と利便性の高さを両立したネットワーク利用環境を実現することを目標としています。

トラスタブルネットワークにおける2つの重点技術

これらの目標を実現するため、トラスタブルネットワークでは以下の2点を重点技術項目として掲げています。
 1点目の「トラスタブルネットワーク社会基盤」では、より安定したネットワーク機能を提供することを目的として、ユーザ端末からネットワークインフラ・オンラインサービスまでに至る一貫した高信頼性技術を確立します。例えば、悪意のユーザによるサイバー攻撃や、ネットワーク運用における人為的ミスなどに起因する障害への耐性や、速やかな障害復旧機能といった技術をネットワークの端末からインフラに至る各パートで実装し、人と社会を支える情報通信ネットワークを実現することを目指しています。
 2点目の「人と社会が信用できるネットワーク」は、ネットワーク利用者が安心して各種オンラインサービス等を利用できる環境の整備を目標としています。現在のインターネットにおいても、さまざまなオンラインサービスやネットワークアプリケーションが盛んに利用されていますが、プライバシー情報の漏えいをはじめとするネットワーク利用犯罪に対する不安などから、サービス利用に二の足を踏む人が多いのが現状です。このような不安を取り除くため、新世代ネットワークでは、ネットワーク上の通信機器(サーバ等)のみならず、その背後にいるユーザまでをも認証し、「自分が今、誰と通信(取り引き)をしているのか」を確実に証明する技術を確立します。また、近年特に取りざたされている情報漏えい問題に対しても、高度な情報管理技術によって、情報の一次作成者がその情報を一元的に管理することのできる仕組みを実現します。
 以上の2点の重点技術によって、トラスタブルネットワークは、より安定し、安心して利用することのできる新世代ネットワークの実現を目指しています。

衛藤 将史
衛藤 将史(えとう まさし)
情報通信セキュリティ研究センター
インシデント対策グループ
主任研究員
総合企画部
新世代ネットワーク研究開発戦略推進室
主任研究員
独立行政法人
情報通信研究機構
総合企画部 広報室
広報室メールアドレス
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