「ユビー」が総務省の「情報アクセシビリティ好事例2023」に選出されました。評価された点について教えてください。
大木:国際的なアクセシビリティ基準であるWCAG(Web Content Accessibility Guidelines)に則って、「ユビー」のユーザビリティをチェックしました。「ユビー」が特に評価されたポイントの一つとしてユーザビリティテストの結果に基づいて改善した点があります。全盲の方4~5人にモニターをお願いして、実際に利用してもらい、思うように操作できなかった箇所や、使いやすいと感じた箇所を収集しました。
このように、利用者の意見をもとに改良したことが、総務省の評価につながったと考えています。また、医療情報へのアクセスを促進する仕組みがもう一つの評価点だったと思います。これまで医療情報にアクセスしにくいとされていた方々に対し、便利で包括的な体験を提供することを目指している点が高く評価されたのだと思います。
すべてのユーザーに配慮したデザインの実践と成果について教えてください。
大木:「ユビー」のデザインは、特定のユーザーに特化して設計したものでなく、すべての人にとって使いやすいデザインであることを目指しています。このアプローチの中核が、ユニバーサルデザインフォントの採用です。視認性が高く、弱視の方や高齢者でも読みやすい文字デザインとして評価されていて、このフォントを採用したことにより、視認性が向上しました。文字の読みやすさに課題を感じていた多くのユーザーから好意的な評価を受けています。
また、モニター検証の過程で、医療用語が難解であるという課題も明らかになりました。そこで、医療用語を分かりやすい日本語に置き換えて、幅広いユーザー層に対応する工夫を進めることにしました。例えば、「高血圧症」を「血圧が高い病気」と表現するようにしました。専門用語や難解な表現を避け、直感的に理解できる言葉に変えることで、医療知識のない方や外国人ユーザーにも分かりやすく情報を提供しています。
これらの取り組みの成果として、「ユビー」を利用する多くの方々から「使いやすい」、「分かりやすい」と評価をいただいております。アクセシビリティ向上の努力は、単に特定のユーザーに役立つだけでなく、すべてのユーザーの利便性向上につながることが証明されました。
