QRコードで乗車位置を正確に把握。障がい者サポートの未来を切り開く「バリアフリー連絡アプリケーション」(2/4)

2.QRコードで乗車位置を正確に把握する仕組みと、導入後の駅係員の反応とは

ヒューマンエラーを防ぐために、アプリでQRコードをスキャンして乗車位置を取得する仕組みが導入されていますが、詳しく教えてください。

 佐々木:弊社では世田谷線・こどもの国線を除く全駅にホームドア・センサー付固定式ホーム柵を設置し、そこにQRコードを表示しています。アプリによるQRコードの読み取りで、お客さまが「前から何両目の何番目のドア」から乗車するかが正確に入力されます。その情報を降車駅へと連携することで、降車駅にいる駅係員もお客さまの乗車位置を確実に把握できるという仕組みです。

従来は「前から何両目の何番目のドア」と電話でやり取りしていましたが、聞き間違いや言い間違いが生じることもあり、ヒューマンエラーの原因となっていました。仮にテキストでやり取りしても入力ミスをする可能性があります。QRコードを活用することで、確実かつ正確な情報の取得・連携を可能にしました。

森山:実際、ヒューマンエラーの中で最も多かったのが「お客さまの乗車位置の誤認」でした。以前は、ホームにて駅係員が電話や無線で別の駅係員に伝え、それをさらに降車駅へ連携するという流れでした。その際、どこかで情報が誤って伝達されてしまうケースが生じていたのです。

その解決策として採用したのが、QRコードによる乗車位置の読み取りです。お客さまが乗車した位置を直接スキャンする仕組みなので、誤った情報が伝わることはありません。さらに、アプリ上で迅速に情報把握ができ、スムーズな連携を実現しました。

ホームドアに表示されているQRコード。駅係員の連絡用スマートフォン にインストールされているアプリで、このQRコードが乗車位置と連携している

実装後、現場からはどのような感想が寄せられましたか。また、導入前後で業務にはどのような変化がありましたか。

 佐々木:一番多かったのは「ミスやストレスが減った」という声です。私たちは早期の本格導入を目指していましたが、一方で急いで進めた結果ミスが減らなかったり、新たなトラブルを招いたりすることは避けたいとも考えていました。そこで、約1年間のトライアル期間を設けたことが結果的に良かったのだと思います。

弊社には20代から50代までの幅広い世代の職員がおり、その中には当然、アプリに抵抗を感じる世代もいます。そのため、トライアル中は従来の電話連絡とアプリを併用し、どちらでも使えるようにしました。当時(2016年)は今ほどアプリが一般的ではなく、20代・30代の若い世代は比較的スムーズに使えましたが、40代・50代には操作に不安を覚える人も多く、この方法をとることで、世代を問わずストレスなく移行できるように配慮しました。同時に、社員研修や周知にも十分な時間をかけました。

また、通知機能にも工夫を施しました。職員には1人1台連絡用スマートフォンを貸与していますが、アプリでは、降車予定駅に電車が近づくと、一定間隔で担当者だけにアラート通知が届きます。これにより、担当者は通知によるリマインドを受けられるため、「ご案内を忘れて間に合わなかった」といったミスも防いでいます。

こうした取り組みを積み重ねた結果、本格運用開始後も大きな混乱もなくスムーズに移行できました。現場の職員からも「業務が楽になった」「助かっている」といった感謝の声が多く届いています。

利用された障がい者の方から寄せられた感想を教えてください。

 佐々木:現在、私は本社勤務ですが、アプリ導入直後は駅係員として現場に立っていました。従来の電話連絡を使用していた時は、乗り換え時に降車駅へ連絡するため、お客さまをホームでお待たせしてしまうことがありました。また、お客さまが「降りる駅に本当に駅係員が待っていてくれるのか」と不安を持っていたことも理解していました。

しかし、アプリ導入後はミスも待ち時間も大幅に減り、お客さまから「安心して乗降できる」「駅係員さんが待っていてくれるので心強い」「乗り換えがスムーズになった」など、多くの感謝やお褒めの言葉をいただくようになりました。