QRコードで乗車位置を正確に把握。障がい者サポートの未来を切り開く「バリアフリー連絡アプリケーション」(3/4)

3.共存へ向けて。東京メトロとの連携で実現したアプリの利便性

利便性が高いアプリですが、「東京地下鉄株式会社(東京メトロ)」でも使用されていると聞きます。どのような背景から実現し、どのような相乗効果がありましたか。

 佐々木:弊社は東京メトロと相互直通運転を行っており、多くのお客さまは両社にまたがる駅を利用されています。そのため、「東京メトロの路線にも同じアプリを導入していただければ」という構想は当初からありました。2017年に弊社で本格運用を開始した当初、東京メトロにはまだ本アプリは導入されておらず、東急各線から東京メトロ路線への連携は、従来どおり電話でのやり取りでした。そのため、弊社でのアプリ導入前と同様にヒューマンエラーが生じる可能性がありました。

この状況を改善するため、2020年に当時の担当者が東京メトロにアプリ連携を提案し、積極的に働きかけた結果、導入が実現しました。東京メトロにとっても、大きなメリットがあるものでしたので、議論を重ねながら早期に連携を進めることになりました。今では両社にとって欠かせない仕組みとなっています。

 

東京メトロとのアプリ連携を実現するうえで、苦労した点はありますか。

 佐々木:当時の担当者によると、もちろん苦労した点もたくさんあったようです。例えば、鉄道会社特有の専門用語が会社によって呼称が微妙に違ったり、乗車位置の表現が違ったりするため、そのすり合わせに苦労したと聞いています。このような違いをアプリではどのように落とし込むかなど、認識を合わせるのに幾度となく会議を重ね、非常に苦労して現在の連携に至っているようです。最終的には、各社が独自の呼称で入力しても、連携先の会社ではその会社の表現に変換されて表示されるように工夫をしました。

東急電鉄(左)と東京メトロ(右)のアプリの仕様は異なるが、必要な情報が連携できるようになっている

東京メトロと連携を開始したアプリについて、他の鉄道会社から問い合わせや見学の依頼などもあるのでしょうか。

 佐々木:鉄道業界でこのようなバリアフリーに関するアプリを連携したのは、初の取り組みでした。そのため2023年の運用開始時には、複数の鉄道会社から「どのような仕組みなのか知りたい」「実際に見学したい」といった問い合わせをいただきました。実際に端末を体験していただいたり、運用のノウハウを共有したりしたことで、他社のアプリ開発にも少なからず貢献できたのではないかと思います。今では、このようなアプリは鉄道業界全体で少しずつ広がりを見せています。