100年の歴史を未来へ。ユニバーサルデザインフォントで「読みやすさ」を追求するイワタの挑戦(2/4)

2.高齢者だけでなく、多様な読みにくさに応えるUDフォント

UDフォントを開発する際、最初に重視されるのはどのような部分でしょうか。

阿部:読みにくいと感じる人は、「実際にどのように文字が見えているのか」「背景にどのような症状があるのか」を、正しく理解することが最も重要だと考えています。

 たとえば老眼の場合、水晶体が硬くなることでピント調節機能が低下し、文字がぼやけて見えます。一方白内障の場合は、眼内の水晶体が白濁するため光が入りにくくなり、強い光を見た際に乱反射を起こして文字がチラついて見えます。こうした一人ひとりの異なる「見え方」を理解したうえで、デザインすることが欠かせません。老眼と白内障では見え方が異なるため、どのような状態でも無理なく読めるよう、より細かな調整が求められます。そのため、「少しシャープさに欠ける感じがする」といった感想もあります。
 しかし、UDフォントにおいて最優先されるのは、あくまで「見やすさ」「読みやすさ」です。これは一般的なフォントとは開発過程や重視するポイントが大きく異なる点であり、重要かつ最も難しい部分になります。
また、用途や使用シーンに応じて複数の種類を作り分けており、現在当社では外国語対応を含め、80種類以上も存在しています。

高齢者向け以外にも、視認性を高めたUDフォントがあれば教えてください。

阿部:読みにくさや見えにくさを感じる原因は、さまざまあります。その一例にディスレクシア*の症状があります。ディスレクシアは、日本語では「読み書き学習障害」と呼ばれ、例えば「9」と「6」のような点対称の文字が並ぶと文字の認識が著しく難しくなるといったような症状があります。

 当社では高齢者向けに加え、こうした特性に配慮し、「イワタUDゴシック」「イワタUD丸ゴシック」「イワタUD明朝」「イワタUD新聞明朝」などの書体を開発しました。このような配慮をすることで、「誰にとっても読みやすい文字の実現」を目指しています。

旅行パンフレット料金表のUDゴシック採用事例(表右側)