親の「監視されたくない」気持ちに応える。テレビで見守りと会話を両立する「ちかく」が支える家族の自然なつながり(3/4)

3 服薬確認から探し物まで。同じものを見ながらコミュニケーションできることもメリット

実際に、「ちかく」はどのような場面で使われているのでしょうか。

 梶原:例えば、テレビ電話をつなぎ、薬をきちんと飲めているかを家族が一緒に確認するといった使い方があります。安否を確認するだけでなく、日々の暮らしを支える手段としても活用されています。

 また、複数の離れた場所にいる家族が一緒に話をすることもできます。以前は、お正月になると家族で集まっていたのに、年齢を重ねて移動が難しくなったという方は多くいます。そんな時に、それぞれの場所からテレビ電話をつなぎ、以前と変わらず同じ部屋にいるように会話を楽しむ、ということが可能になるのです。

 入居先の介護施設で使われるケースもあります。頻繁に面会へ行くことが難しくても、日常的に顔を見ながら話せるため、「離れていても身近に感じられる」と喜んでいただいています。

 家族間だけではなく、訪問看護の方が使われることもあります。実際に、親御さんが転んでけがをした箇所などをカメラ越しに家族へ見せながら、状況を共有するといった使われ方もありました。離れて暮らす家族は、その場で何が起きているのか詳しく分からないことがあります。映像を交えることで、支える人とも情報共有が容易になります。

普段のちょっとした困りごとにも使われているそうですね。

 梶原:離れていると、電話の声だけでは分かりにくいことがあります。例えば、役所から届いた手紙をカメラに見せて「これは次に何をすればいい?」と相談したり、家電の使い方を一緒に確認したりする。チラシを見せながら「これに申し込もうと思うのだけど」と相談することもあります。

 テレビ電話をつないだまま、一緒に探し物をする方もいます。「あそこの戸棚にあるんじゃない?」と家族が画面越しに声をかける。スマートフォンを持って部屋中を歩き回る必要もありません。電話では難しかった「同じものを見ながら考える」ことができるようになります。

 こうした使われ方を見ると、「ちかく」が担うのは安否を確認することだけではないと感じます。困ったときに一緒に考える、分からないことを聞く、顔を見て何気ない話をする。離れていても、家族がこれまで通りの関わり方を続けられることに意味があると思っています。

親は使い慣れたテレビの大画面で、離れて暮らす子や孫の顔を見ながら話せる