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ワイヤレスネットワーク研究所 各種無線通信基盤技術、ワイヤレスネットワーク技術を構築する 移動体衛星通信システム、ブロードバンド衛星通信ネットワーク 門脇 直人

ワイヤレスネットワーク研究所は、新世代ワイヤレス研究センターの研究成果を継承、発展させ、新世代ネットワークにおける重要な役割を担うワイヤレス通信技術の研究を進めると同時に、安心・安全でスマートな社会実現への貢献、ワイヤレスコミュニケーションの源泉である周波数資源の一層の高度利用への貢献をしていきます。

ワイヤレス通信技術は、光ファイバの敷設が困難な地域や移動環境においてネットワーク接続を行うために必要不可欠です。様々なユーザの要求に応え、確実にネットワーク接続を実現するため、簡易な低速伝送端末からギガビット級の超高速伝送までスケーラブルに通信可能なワイヤレスネットワーク技術や、基地局やアクセスポイントに依存しない自律的なワイヤレスネットワーク技術、地上のみならず海洋や上空、宇宙空間の移動体をブロードバンドに接続する宇宙通信技術を開発することにより、ネットワークのカバレッジや利用形態を大きく拡張することが可能となります。これらの技術は光ファイバ網との連携・融合により、新世代ネットワークの構築において重要な機能を果たします。

前述のスケーラブルなワイヤレスネットワーク技術は、これまでに研究開発を進めてきたコグニティブ無線技術、スマートユーティリティネットワーク技術等を基に融合システム化およびプラットフォーム化技術を確立することにより実現できるものです。この技術は自然環境やエネルギー消費量、電波利用環境など多様な情報を集約し、かつ解析された情報をフィードバックすることにより、例えばエネルギー消費量を制御するようなシステムの構築に貢献できます。また、通信インフラのない地域での観測情報収集などを可能とする自律ワイヤレスネットワーク技術や、観測衛星など宇宙からの大容量観測情報を地上に伝送する宇宙通信技術は、環境監視や国土保全、防災・減災のために重要な役割を果たします。このように安心・安全でスマートな社会構築に直接貢献するシステム研究を推進します。

また、携帯電話をはじめ多様な無線通信システムの爆発的な利用拡大に伴い、システム拡張や新たなブロードバンドワイヤレス技術の導入のための周波数確保は困難な状況になってきています。そのため、周波数資源の一層の高度利用技術が求められています。この要求に応えるため、コグニティブ無線技術を応用したホワイトスペース通信技術(特定の場所や時間帯での未利用周波数帯を活用したワイヤレス通信技術)や、インフラ系/自律系ワイヤレスネットワークおよび有線系ネットワークの協調によるトラヒック分散技術、さらにテラヘルツ領域の通信応用技術の研究開発など、周波数利用の一層の効率化や新たな周波数資源の開発に取り組みます。

ワイヤレスネットワーク研究所は、主にスケーラブルワイヤレス通信技術とブロードバンドワイヤレス通信技術を研究するスマートワイヤレス研究室、多様な環境において高信頼な自律系ワイヤレスネットワーク技術を主として研究するディペンダブルワイヤレス研究室、電波による地球規模のブロードバンドモバイル通信技術と光による高信頼超大容量伝送技術を研究する宇宙通信システム研究室で構成され、前述のような技術研究開発に取り組みます。

門脇 直人
門脇 直人(かどわき なおと)
大学院修士課程修了後、1986年に電波研究所(現NICT)に入所、移動体衛星通信システム、ブロードバンド衛星通信ネットワークなどの研究に従事。博士(情報科学)。
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