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ユニバーサルコミュニケーション研究所 ユニバーサルコミュニケーション実現に向け、新たな価値を持つ技術やシステムを創出 木俵 豊

第2期中期計画において、けいはんな研究所は知識創成コミュニケーション研究センターとユニバーサルメディア研究センターの2つの研究センターで構成していましたが、さらに多様化しつつあるコミュニケーションの壁を打ち破るために、これらの2研究センターを1つに統合し、企画室と6つの研究室で構成するユニバーサルコミュニケーション研究所となります。

ユニバーサルコミュニケーションを実現するためには、多様な情報を活用することが必要不可欠です。インターネット上には大量の情報がありますが、その大規模情報を上手く使いこなすための決定的な手法は未だに開発されていません。より質の高い情報を得るためには、日本語以外の言語で記述された情報も対象とする必要があり、他言語を日本語に変換する技術や、その記述された内容を分析する情報分析・知識処理技術が必要不可欠です。さらに遠隔地の情報をストレス無く扱うためには、超臨場感技術が必要不可欠です。当研究所では、第2期中期計画においてけいはんな研究所で研究・開発した世界最高峰の技術をさらに発展させ、それらをコア技術として他の領域の技術と融合させる事によって他に類を見ない新たな価値を持った技術や実用的なシステムを創出することを目指します。

具体的には、多言語音声翻訳や情報分析技術、超臨場感通信技術を利活用するために新世代ネットワークを活用した知識・言語グリッドと呼ばれる新たな情報利活用基盤を構築します。そして、我が国の産業の発展と社会の安定において、今後重要な役割を果たすアジアに関するWeb情報を知識・言語グリッド上で40億ページ以上収集した上で、情報分析技術によって多様な情報サービスの知識源となる大規模高度情報資産を作り上げ、インターネットから抽出した「知」を使った情報サービスを図2のように提供するアジア情報HUBの構築を目指します。この利活用基盤の構築によって、言語処理や知識処理の専門的な知識を持たないベンチャー企業などでも、高度な知識処理技術を用いて得られたインターネット上の「知」を臨場感あふれるインタフェースで利活用できる情報システムが構築できるようになり、我々の高度な技術が社会で活用できる実用技術として利用されるようになります。さらには、対角5インチ、視域角20度の電子ホログラフィや多感覚システムの医療応用などを実現します。

このような社会への成果展開を目指した共同研究・開発のために、高度言語情報融合フォーラム(ALAGIN)と、超臨場感コミュニケーション産学官フォーラム(URCF)を設立しており、産学官での協力体制も進んでいます。要素技術の更なる高度化のみならず成果の社会展開を加速させながらユニバーサルコミュニケーション領域における国際的COE研究拠点を目指します。

図1●ユニバーサルコミュニケーション研究所の組織構成
図2●アジア情報HUB による情報サービスの提供
木俵 豊
木俵 豊(きだわら ゆたか)
88年神戸大学卒。90年同大学院修了。99年同大学博士(工学)。(株)神戸製鋼所を経て、01年通信総合研究所(現NICT)に入所。内閣府を経て現在情報通信研究機構ユニバーサルコミュニケーション研究所長。けいはんな連携大学院教授。ユビキタスコンピューティング、コンテンツ管理、情報分析技術の研究に従事。
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