

現在のインターネットで安全に通信するためには、利用者自ら安全な通信手段を考えなければならず、必ずしも使い勝手のよいものではありません。本研究活動では、現在のインターネットには不足している安心・安全な情報通信サービスを提供するとともに、今後も進展するブロードバンド化に対応する新世代インターネットシステムの構築に資する基盤技術の確立と、運用技術の確立をその研究目的としており、国内外の標準化団体、ベンダなどと連携をとりながら4つの研究テーマに取り組んでいます。テーマとしては、@実ネットワークに則したネットワークの構築運用支援ツールを研究開発し、国内の商用ISP7社と連携し、国内のインターネットトラフィックデータの収集と解析を行うネットワーク計測研究、A様々な環境におけるネットワークトラフィックの最適化とサービスの継続性/堅牢性を実現するための要素技術ならびに運用技術の研究開発を行うトラフィックマネージメント研究、B端末同士が直接かつ対等にデータを送受して実行するP2P技術を利用した効率的なコンテンツ配信を実現するために必要となるトラフィック制御技術の研究開発を行うP2Pトラフィックエンジニアリング研究、C回路スイッチやパケットスイッチが担っていた公衆通信サービスを、IP技術やインターネット電話で用いられる通信制御プロトコルであるSIP(Session
Initiation Protocol)で統合し、マルチメディアサービスを実現させる通信方式であるIMS(IP Multimedia Subsystem)を標準化し普及させるためのIMS・SIP運用技術確立の研究、の4つを中心に新世代ネットワーク運用の要素技術の確立に努めております。
特に、Cでは、IMSを通信事業者だけでなく広く一般に普及させるべく、IMSをソフトウェアで実装する際のサンプルとなる標準的なソースコード(参照コード)を作成するため、2007年に立ち上がったプロジェクト(HOTARU
Project)と協力し、IMSの参照コード開発、実装、相互接続試験、プライベート試験等の結果を反映して改善し、さらに作成した参照コードや開発資料の公開を行いフィードバックを得ることで、より洗練された参照コードに成長させることを行っています。
Profile

上席研究員 特別招へい研究員
(東京大学情報理工学系研究科 教授)