• facebook
  • x
  • instagram
  • youtube

家庭用IoT機器を悪用するレジデンシャルプロキシの現状をまとめたファクトシートを公表

2026年7月21日

国立研究開発法人情報通信研究機構

国立研究開発法人情報通信研究機構(NICTエヌアイシーティー、理事長: 大野 英男)は、総務省及び警察庁と共同で、家庭用IoT機器を悪用するレジデンシャルプロキシに関する現状、国内における観測・分析結果及び利用者や事業者が留意すべき事項を取りまとめた資料(ファクトシート「家庭用IoT機器を悪用するレジデンシャルプロキシの現状」)を公表しました。
レジデンシャルプロキシは、一般家庭向けのインターネット回線に接続されたIoT機器が第三者の通信を中継する仕組みのことで、近年、レジデンシャルプロキシが不正アクセスやインターネットバンキングに係る不正送金等の様々なサイバー事案において攻撃者の所在を隠し、追跡や検知を困難にする目的で悪用されています。
また、利用者自身が気付かないまま、自宅のIoT機器やインターネット回線がサイバー攻撃に係る通信の中継に利用される可能性があることから、利用者自身にも被害や不利益が及ぶおそれがあります。
このファクトシートは、レジデンシャルプロキシを巡る現状を広く共有し、関係機関、事業者及び利用者が共通認識の下で対策を進めるための基礎資料として位置付けるものです。

ファクトシートの概要

■ レジデンシャルプロキシが新たなサイバーセキュリティ上の脅威に
レジデンシャルプロキシは、一般家庭向けのインターネット回線に接続されたIoT機器が第三者の通信を中継する仕組みです。通信先には家庭等に割り当てられたIPアドレスが記録されるため、本来の通信元を把握することが難しくなり、企業等が実施するアクセス制御や不正検知を回避する手段として悪用されています。
NICTの調査では、本年1月以降、1日あたり最大約2万7千のIPアドレスがレジデンシャルプロキシの出口ノードとして観測されており、国内においても少なくとも数万台規模のレジデンシャルプロキシが存在すると推定されています。
また、警察庁の分析では、2024年中に発生したインターネットバンキングに係る不正送金事犯のうち、少なくとも1,918件(被害額約28.9億円)でレジデンシャルプロキシが利用されており、被害件数全体の約44%、被害額全体の約33%を占めています。
これらの結果から、レジデンシャルプロキシは、サイバー犯罪やサイバー攻撃を支える基盤として国内でも広く利用されている現状が明らかになっています。
■ 利用者が意図せずレジデンシャルプロキシとなる事例も
レジデンシャルプロキシは、「テレビに接続して無料で国内外の動画を視聴できます」などとうたう動画ストリーミングデバイスのほか、ルータ、ネットワークカメラ、デジタルフォトフレームなどのIoT機器が悪用されることで構成される場合があります。
また、無料VPN、収益をうたう通信帯域提供サービス、提供元が不明なアプリ等を利用することで、利用者が認識しないまま、機器や端末がレジデンシャルプロキシとして動作してしまう事例も確認されています。
さらに、レジデンシャルプロキシを介して家庭内ネットワーク等へアクセスされることにより、IoT機器等にDDoSボット等のマルウェアがインストールされ、攻撃の踏み台として悪用されるおそれもあります。
■ 利用者及び事業者における対策例
IoT機器等がレジデンシャルプロキシとして悪用されるリスクを低減するため、総務省、警察庁及びNICTでは、利用者及び事業者に対し、次のような対策例を参考にしていただくよう呼び掛けています。
  • 不審な動画ストリーミングデバイス等を購入・利用しない
  • 提供元が不明なソフトウェア、アプリ、無料VPN等を安易に利用しない
  • 通信帯域を提供することで収益を得られるとうたうサービス等を安易に利用しない
  • OSやIoT機器のファームウェアを常に最新の状態に保つ
  • 事業者においては、組織で承認していない機器や端末の業務ネットワークへの接続防止やネットワーク分離など、適切な管理を行う
図 レジデンシャルプロキシの全体像 [画像クリックで拡大表示]

NICTの取組

NICTでは、レジデンシャルプロキシの実態把握に向け、国内外のレジデンシャルプロキシサービスや出口ノードの継続的な観測や分析を実施しています。また、関係機関と連携しながら、悪用実態や新たな手口に関する知見の収集・分析を進めています。
今後も、総務省及び警察庁が2026年7月21日に発表したレジデンシャルプロキシ対策アライアンスへの参加をはじめとする関係機関との連携の下、レジデンシャルプロキシの継続的な観測・分析を通じて実態把握を進め、その成果を情報発信や対策の高度化に活用することで、我が国のサイバーセキュリティの向上に貢献してまいります。
※レジデンシャルプロキシ対策アライアンスは、レジデンシャルプロキシ対策を社会全体で推進するため、関係省庁、業界団体、電気通信事業者、セキュリティ事業者等が連携する枠組みです。

ファクトシート

家庭用IoT機器を悪用するレジデンシャルプロキシの現状

本件に関する他機関からのプレスリリース

用語解説

出口ノード 出口ノードとは、一般家庭などのインターネット回線に接続され、レジデンシャルプロキシとして第三者の通信を中継するIoT機器や端末のこと。出口ノードから送信される通信には、その家庭に割り当てられたインターネット回線のIPアドレスが使用されるため、Webサービス等には一般家庭からのアクセスとして記録される。 元の記事へ

DDoSボット DDoSボットとは、攻撃者の指令を受けて、特定のWebサイトやインターネット上のサービスに大量の通信を送りつけ、利用できなくしたり、利用しづらくするマルウェア(不正プログラム)のこと。 元の記事へ

本件に関する問合せ先

サイバーセキュリティ研究所
サイバー脅威分析室

久保 正樹

広報(取材受付)

広報部 報道室