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AIセキュリティコンペティションを米国でMITREと共同開催

2026年10月14日

国立研究開発法人情報通信研究機構

国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT(エヌアイシーティー)、理事長: 大野 英男)は、サイバーセキュリティ研究所 AIセキュリティ研究センター(CREATE)を中心に、AIセキュリティ分野の研究開発と国際連携を推進しています。このたび、その成果展開の一環として、The MITRE Corporation(MITRE)とAIセキュリティコンペティション「AI Breach Challenge」を共同で立ち上げます。その第1回として、「AI Breach Challenge 2026: Email Agent Security」を2026年12月16日~17日に米国ワシントンD.C.近郊で開催します。本コンペティションでは、メール業務を支援するAIエージェントを対象に、主催者が用意する隔離・制御された競技環境において、AIエージェントの脆弱性を探索するとともに、攻撃手法を実践的に検証します。NICTとMITREは、両者の専門性を生かして本コンペティションを実施し、そこから得られる知見を、AIエージェントのセキュリティ評価・防御技術に関する今後の研究開発に活用することを目指します。

背景

NICTは、2025年2月にCREATEを設置し、AIを活用したサイバーセキュリティの高度化と、AIを安全・安心に利用するためのセキュリティ技術の研究開発を、国内外の研究機関・企業等と連携して進めています。MITREは、AIシステムに対する攻撃者の戦術・技術を体系化した知識ベース「MITRE ATLAS™」を開発・運営するなど、AIセキュリティ分野における脅威の把握と対策の高度化に取り組んでいます。NICTとMITREは、こうした双方の強みを生かし、AIセキュリティに関する連携活動を進めています。こうした連携における重要なテーマの一つが、AIエージェントのセキュリティです。
近年、AIエージェントは、メールの管理をはじめ、業務に必要な情報や各種ツールと連携しながらユーザーの業務を支援する「仕事のアシスタント」として、活用の幅が広がっています。従来の生成AIが、主にユーザーからの指示に対してテキスト等のコンテンツを生成するのに対し、AIエージェントは、外部のシステムやツールと連携し、ユーザーに代わって様々な処理を実行できることが特徴です。こうした機能は業務の生産性向上に貢献する一方、悪意のある入力によってAIエージェントが意図しない動作を実行したり、本来保護されるべき情報を外部に漏えいしたりするなど、新たなセキュリティリスクを生じさせる可能性があります。AIエージェントの利用が今後更に広がる中、どのような攻撃が可能なのか、どのような脆弱性や失敗パターンが生じ得るのか、また既存のセキュリティ対策が実際の攻撃に対してどの程度有効なのかを理解することが重要になっています。
こうした背景のもと、NICTとMITREは、連携活動の具体的な取組として、「AI Breach Challenge」を共同で立ち上げます。本コンペティションを通じて、攻撃者の視点からAIエージェントの弱点を実践的に検証し、その知見をセキュリティ評価・防御技術の研究開発につなげます。

コンペティションについて

「AI Breach Challenge」では、AIエージェントの様々なユースケースを対象としてセキュリティ上の課題を検証します。第1回となる今回は、メール業務を支援するAIエージェントが活用される職場環境を想定し、メールの読み書きや関連ツールとの連携などを行うAIエージェントを対象とします。参加者は、主催者が用意する競技環境において、あらかじめ設定された複数のタスクに取り組み、AIエージェントの脆弱性を探索し、攻撃手法を検証します。
本コンペティションは、攻撃者の視点からAIエージェントのセキュリティを検証する競技として実施します。参加者は、AIエージェントに意図しない動作をさせたり、保護された情報へのアクセスを試みたりするなど、様々なアプローチを検証します。これにより、AIエージェントの弱点を明らかにし、今後のセキュリティ評価・防御技術の研究開発につなげます。

開催概要

名称: AI Breach Challenge 2026: Email Agent Security
テーマ: Email Agent Security
主催: NICT、MITRE
開催時期: 2026年12月16日(水)〜17日(木)
競技時間: 24時間
開催地: 米国ワシントンD.C.近郊(George Mason University, Mason Square, Arlington, Virginia)
参加形態: チーム(1チーム2〜4名を予定)
開催形式: 現地会場で開始・終了セッションを実施し、会場利用時間外はリモートで競技を継続
(完全オンラインのみでの参加は原則不可)
※参加登録、詳細な競技ルール、競技環境、参加条件等については、今後公式Webサイトにて公開する予定です。

研究上の目的

本コンペティションは、NICTとMITREの連携による研究活動の一環として、単に技術力を競うイベントにとどまらず、AIエージェントに対するセキュリティ上の脅威を理解するための実践的な研究機会として位置付けています。参加者による多様な攻撃アプローチとその結果を分析することで、NICTとMITREは、主に以下について知見を得ることを目指します。
  • AIエージェントに対する実践的な攻撃手法と、業務上のツールや情報との連携時に生じる脆弱性・失敗パターン
  • AIエージェントを保護するセキュリティ対策の有効性・限界と、今後のセキュリティ評価に必要となる実践的な知見

今後の展望

NICTとMITREは、本コンペティションから得られる知見を分析し、AIエージェントのセキュリティ評価・防御技術に関する今後の研究開発に反映することで、両者の連携による研究成果の創出につなげます。また、本取組を通じて、CREATEが推進するAIセキュリティ分野の国際連携、とりわけNICTとMITREとの連携を更に発展させます。今後も「AI Breach Challenge」を継続して開催し、様々なAIエージェントのユースケースを対象にセキュリティ上の課題を検証することで、日米連携によるAIセキュリティ研究の発展につなげていく予定です。

NICTについて
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は、情報通信分野を専門とする我が国唯一の公的研究機関です。情報通信技術の研究開発を基礎から応用まで一貫して推進するとともに、産学官との連携や研究成果の社会実装に取り組んでいます。2025年2月にはAIセキュリティ研究センター(CREATE)を設置し、AIを活用したサイバーセキュリティの高度化と、AIを安全・安心に利用するためのセキュリティ技術の研究開発を、国内外の研究機関・企業等と連携して推進しています。

MITREについて
The MITRE Corporation(MITRE)は、米国政府をはじめとする公共分野の課題解決を支援する非営利組織であり、サイバーセキュリティや人工知能(AI)を含む幅広い分野で研究開発に取り組んでいます。AIセキュリティ分野では、AIシステムに対する攻撃者の戦術・技術を体系化した知識ベース「MITRE ATLAS™(Adversarial Threat Landscape for Artificial-Intelligence Systems)」を開発・運営し、産学官との連携を通じてAIシステムに対する脅威の把握やセキュリティ対策の高度化を推進しています。

本件に関する問合せ先

サイバーセキュリティ研究所
AIセキュリティ研究センター

高橋 健志

広報(取材受付)

広報部 報道室