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Beyond 5G研究開発促進事業(電波有効利用型) 令和4年度継続評価 結果 (概要) (注)

種別 採択
番号
研究開発課題名 研究
期間
(年度)
受託者
(◎印:
代表研究者)
総合コメント 評価
Beyond5G機能実現型プログラム 基幹課題 06501 Beyond 5Gにおける高度RAN基盤を実現するOpen RAN無線通信技術の研究開発
研究開発項目1 Open RANの高信頼・セキュアなインテリジェント化のためのセクタ管理効率化に関する研究開発
研究開発項目2 仮想化されたOpen RANのアンテナビーム制御等によるインテリジェント化に関する研究開発
研究開発項目3 アンテナ送信制御とOpen RANの電力制御最適化による周波数利用効率向上の研究開発

副題:高度RAN基盤の実現に寄与するOpen RAN向けの高信頼化・インテリジェント化・省エネ化に関する拡張技術の研究開発
R4 ◎楽天モバイル株式会社
受託者はセルラー無線通信システムのオペレータであり、研究開発成果はセルラーシステムで利用される可能性があり、投入された経費が有効に活用されることが期待できる。また、Open RANの研究開発成果によりセルラーシステムの開発が低廉化できる可能性が高い。結果として、セルラー無線システム開発費低減が国民的負担の軽減に繋がれば、経費に見合った成果となる。Open RANに関する現状の議論を踏まえるとやむを得ないと判断できるが、現状の研究計画には若干、技術的な具体性に欠けており、どこまで当初の目標を達成できるかは不透明な点があることは否定できない。標準化がOpen RANの能力を制限してしまう可能性も危惧されるので、標準化でのOpen RANの議論を先取りする形で研究成果を得て、国民の利益に資する研究開発になるよう進めていただきたい。
A
株式会社NTTドコモ
06701 Beyond 5G宇宙ネットワーク向け未利用周波数帯活用型の無線通信技術の研究開発
研究開発項目1 Q帯、V帯における高機能デジタルビームフォーミング(DBF)送受信システム技術の研究開発
研究開発項目3 W帯衛星搭載機器の基盤技術の研究開発

副題:Beyond 5G 宇宙ネットワーク向けQ/V帯高機能デジタルビームフォーミング(DBF)送受信システム技術およびW帯衛星搭載機器基盤技術の研究開発
R4 ◎国立大学法人東北大学
研究開発期間が短かったため妥当性の判断は難しいが、現時点では未だプロジェクト実施にむけた準備段階であるとの印象を受ける。特に、開発するシステムの具体的な仕様が定まっておらず、模索段階とみられる。また、各機関の役割は明確であるが、逆に一部の機関の研究開発に遅れが生じると最終目標の達成は難しいと考えられるので、どのように相互に進捗を確認していくのか、またどのタイミングで運営委員会を実施するのか、といった運営体制をより明確にされたい。さらに、次年度以降の予算計画については、具体的な年次研究計画に基づき十分に精査することが必要であると思われる。
A
三菱電機株式会社
株式会社Space Compass
スカパーJSAT株式会社
国立大学法人鳥取大学
国立大学法人広島大学
独立行政法人国立高等専門学校機構 富山高等専門学校
国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学
国立大学法人北海道大学
大熊ダイヤモンドデバイス株式会社
06702 Beyond 5G宇宙ネットワーク向け未利用周波数帯活用型の無線通信技術の研究開発
研究開発項目2 Q帯、V帯における高性能送受信システム技術の研究開発

副題:Q/V帯における高性能送受信機器技術とその適用
R4 ◎NECスペーステクノロジー株式会社
国内メーカーがQV帯のハードウェア製作技術をリードすることは、宇宙のみならず、地上系への展開も含めて重要と考えられる。継続して取り組む必要がある。ハードウェア開発部分とシステム化開発部分の両輪での進捗が計画されているが、システム化部分はビジネス化戦略も含めて現状では弱いため、研究開発運営委員会をうまく活用することも含めて迅速かつ綿密に計画を進め、連携を強化する必要がある。研究内容自体は、興味深く、意義もあるため、今後の進捗に期待したい。
A
株式会社Space Compass
スカパーJSAT株式会社
Beyond 5G機能実現型プログラム 一般課題 06801 Beyond 5G網におけるホログラフィ通信のための高効率圧縮伝送技術の研究開発 R4 ◎株式会社KDDI総合研究所
研究開発は順調に進められている。研究開始から短期間ではあるが、今年度の目標のすべてを達成予定で、一部については年度目標を超えた成果を見込んでいる。投入した研究経費に見合った成果が得られていると言える。研究計画、実施体制とも当初計画から大きな変更はなく、おおむね妥当である。最終目標のホログラフィを含むマルチモーダル情報のEnd-to-Endリアルタイム圧縮伝送が実現すれば大きな波及効果が期待できる。Beyond 5Gにとっても重要なユースケースと言え、国際競争力の観点からも期待される。今後の目標設定は適切であり、研究計画は十分に練られている。本研究開発の知財と標準化に対する積極性を評価できる。今後、さらに3Dホログラフィの特性を活かした社会的に浸透可能かつインパクトのある具体的な計画と取り組みを期待したい。
A
国立大学法人北海道大学
国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学
学校法人関西大学
公立大学法人公立諏訪東京理科大学
株式会社クレッセント
06901 テラヘルツ波を利用した雲・水蒸気分布観測二周波レーダーシステムの研究開発 R4 ◎キーコム株式会社
十分に研究開発実績のある研究者・開発者により研究開発計画が立案されており、研究開発が滞りなく実施されると見込める。但し、「ゲリラ豪雨発生30分前」にどの程度の精度、かつ確率で達成されるかの目標が示されていないので、どの程度のことが達成されるか不明点もある。その点では、高い費用対効果があるとは言いづらい。但し、なにがしかの研究成果が得られることが確かであるので、費用が無駄になるとは考えにくい。目標が国民の安全安心につながるため、それに関する多くの分野に波及することも予想できる。従って、良い特性が得られることに期待したい。特に、AI技術の応用は本研究開発の特性を大きく改善する可能性を秘めているので、積極的な取り組みが期待される。
A
学校法人早稲田大学
国立研究開発法人防災科学技術研究所
07001 通信・電力を無線化し連携協調動作するワイヤフリーロボットの研究開発 R4 ◎株式会社国際電気通信基礎技術研究所
研究課題の着想や狙いには興味深いものがあり、新規性・重要性や将来的な波及効果も期待できる。Beyond 5G分野の発展においても一定の貢献が期待できる。一方、一部の研究分担者の研究実績が不明確である等、研究実施体制等には若干不安がある。しかしながら、本年度からスタートしたばかりの課題であり、実質的な研究期間が非常に短いことを勘案すると、少なくとも一定期間は研究の進捗を見守ることが適当であると判断する。今後の研究成果に期待したい。
最終目標に関しては、全体を統合したときのロボットの台数や動作内容を早期に具体化して目標として掲げる必要があると考える。
A
国立大学法人室蘭工業大学
国立大学法人千葉大学
学校法人五島育英会 東京都市大学
シーズ創出型プログラム 07101 大電力伝送光ファイバ無線による高効率無線通信システムの構築 R4 ◎学校法人慶應義塾 慶應義塾大学
高い光パワーによる光損傷の恐れが少ない空孔光ファイバを用いた効果的な光給電に支えられたモバイルフロントホールの最適化により、低負荷時の基地局消費電力を90%以上削減するという目標に対する費用対効果は十分である。また、研究成果については、2月時点では知的財産との関係で未達成の部分もあるが、3月末に予定されている学術発表との関係で目標を上回っている部分もあり、自己評価にあるようにおおむね妥当である。
最終的な目標達成に問題はないと思われるが、空孔光ファイバの製造やRoFシステムの通信技術に詳しい企業・団体を研究体制に組み込めば、より大きな成果が期待できる。今後、実用化に向けて研究を進めていけば、有用な成果が得られると期待する。
まだ机上計算の段階だが、低消費電力化の指針は得られており、この目標が達成されれば波及効果は非常に大きい。システム全体の省電力性能と、B5Gに対応した高性能な通信性能が発揮されれば、大きな成果である。空孔光ファイバは新しい技術であり、まだまだ未知数でリスクもあるが、その可能性を追求する価値はある。
A
国立大学法人電気通信大学
07201 Beyond 5G基地局アレーアンテナ向けオールデジタルトランスミッタ回路技術の研究開発 R4 ◎富士通株式会社
スタートが遅れたため、基礎検討の深化以外、具体的な成果を現時点で確認することはできない。特に特許や対外発表がまったく無い。せめて発表予定や(特許の)申請予定の案件がいくつかあっても良いように思う。研究戦略は進めていると伺えるが、周波数や伝送速度など具体的な設計は今後であり、シーズ創出とはいえ、想定システムの具体化、特性改善のより詳細見積もりが研究の加速に必要である。またシミュレーションベースの研究開発であるため、得られたビヘイビアモデルなどの成果は学会等において積極的に公表すべきと思われる。なお、パッシブな部分ではあるがアレー化の具体設計は本研究の中心ではないが、フロントエンド低消費電力化に対し主要な制約となることも想定されるので、並行して検討することに留意してほしい。
なお、ミリ波帯、テラヘルツ帯への対応は、システム導入時期をにらみつつ、基礎的開発から商用化まで、戦略性をもった事業計画の下で進めないとB5Gまでの長い道のりで、リーダシップを発揮した研究開発はできないと考えられる。提案書も含めて知財戦略を含めた本研究の戦略性があまり感じられない。技術開発の重要性のみを主張していると思われる。戦略性は秘匿する部分とあえて公開する部分の両者があって初めて意味のあるものとなるので、十分な検討を期待する。
A
07301 屋内環境における情報・電力伝送統合自営B5G/6Gの研究開発 R4 ◎国立大学法人電気通信大学
今年度の目標のすべてを達成する予定であり、研究開発は順調に開始されている。おおむね計画どおりに基礎的な検討が行われており、また、設備の導入・整備も進められていることから、研究経費に見合った成果が得られている。
本研究開発はスマートファクトリにおける無線通信と無線電力伝送を統合する情報・電力共用ハイブリッド技術を目指している。Beyond 5Gで期待されるユースケースに関する研究開発であるとともに、特に産業界への貢献が期待できる。シーズ技術の創出の観点から今後の研究開発に期待するとともに、社会実装を念頭において研究開発を推進することもお願いしたい。
今後の目標と実施計画はおおむねよく検討されており、問題ない。参加者間の連携、知財戦略、社会実装などについては、体制を明確にして、組織的な取り組みをお願いしたい。
A
株式会社山本金属製作所
国立大学法人東京大学
国立大学法人広島大学
07401 マイクロアクチュエータを用いたテラヘルツ帯コヒーレントトランシーバの開拓 R4 ◎国立大学法人東京工業大学
採択されてからの期間がまだ短いために、現時点では顕著な研究成果は得られていないが、当初研究計画における年次目標はおおむね達成している。したがって、現時点では継続して実施することが妥当だと考える。
この課題は、新しい技術を導入した高性能THz無線トランシーバを複数の研究機関で協力・分担して開発することがポイントであるので、「THz無線トランシーバの仕様・詳細」や「代表者・分担者の担当」をわかりやすく整理して明示できるようにして欲しい(トランシーバの構成図に仕様・分担を記入して纏めるのが良いと思われる)。
また、社会実装や標準化へ向けての技術調査・ユースケース開拓や他の研究課題との連携も進めて欲しい。
A
国立大学法人広島大学
学校法人東京理科大学
独立行政法人国立高等専門学校機構徳山工業高等専門学校
マクセル株式会社
<総合評価 S:非常に優れている、A:適切である、B:やや劣っている、C:劣っている>
(注) 本継続評価結果を踏まえ、上記課題はすべて令和5年度までの研究開発の継続を可とする。