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革新的情報通信技術(Beyond 5G(6G))基金事業 令和6年度ステージゲート評価 結果 (概要) (注1)

採択
番号
研究開発課題名 研究
期間
受託者
(◎印:代表研究者)
総合コメント 総合
評価
00801 継続的進化を可能とする B5G IoT SoC及びIoTソリューション構築プラットホームの研究開発 R3

R6
◎シャープ株式会社
B5Gにおいて低コストで拡張性を備えた国産のIoT向けソフトウェア無線ベースバンドSoC、および究極の機能改変等のカスタマイズ性を提供するプラットフォームの実現を目指す点で、日本のフラグシップ的研究としても価値がある。らせん型進化やユースケースに合わせた機能の最適化も期待でき、B5Gに対する大きな社会的インパクトが見込まれる。研究体制も実績を十分にもった研究者で構成されており、勉強会や研究開発運営委員会からのフィードバックをもとに柔軟に研究開発内容の改善を行っている点でも、今後の進展が期待できる受託研究である。総合的に判断すると、計画になかった飛び抜けた成果は今年度にはなかったものの、ヒアリングにおいて全体を俯瞰してマネージメントされている印象が強かったこと、企業とアカデミアが強固に連携しながらSDR-PFの開発を進めていること、および計画になかったAI/ML対応への検討を行うなど目標達成のみに限定せず活動を展開していること、外部との勉強会などを通して本研究の組織以外からの意見を積極的に受け入れる柔軟な姿勢などから、優れた課題でありぜひ継続して成果を挙げて頂きたい。
S
シャープセミコンダクタ—イノベーション株式会社
国立大学法人東京大学
国立大学法人東京科学大学
日本無線株式会社
04901 サイバーフィジカルインフラに向けた高信頼シームレスアクセスネットワークに関する研究開発 R4

R6
◎三菱電機株式会社
THz帯化合物半導体デバイス技術を軸として、「高信頼」で「シームレス」なサイバーフィジカルインフラに向けたチャレンジングな研究開発プロジェクトである。特に、デバイスレベルの要素技術開発から、伝送・システム技術、ネットワーク技術やユースケースまでを包含していることが特長であり、当初計画に沿った良い成果が得られている。各研究機関の強みを活かして、デバイスからシステム応用までを繋ぐ、技術連携と人的連携が伺える。さらに緊密に連携を進めて、研究開発を完遂して欲しい。
A
学校法人早稲田大学
学校法人立命館 立命館大学
国立大学法人名古屋工業大学
一般財団法人電力中央研究所
公益財団法人鉄道総合技術研究所
05101 日米豪国際連携を通じた超カバレッジBeyond 5G無線通信・映像符号化標準化技術の研究開発 R4

R6
◎シャープ株式会社
本研究課題のポイントである研究開発項目1の、標準化提案や知財活動(国内出願、外国出願)について十分な成果が得られている。Beyond 5G/6G のための標準化活動のための重要な研究課題であり、さらなる成果と果実を期待したい。一方、研究開発項目2「Beyond 5G時代のデータ利活用のためのAIと映像を用いた実証実験」については、昨年度のヒアリング審査で「過疎や防災など社会的ニーズに沿った適切なユースケースを選定」していたが、実証への取り組みは若干滞っている印象がある。プロジェクト後半に本格化する計画だったようでこれからかもしれないが、プレスリリースやデモンストレーション等、研究成果の適切な情報発信も期待したい。
S
国立大学法人京都大学
学校法人早稲田大学
大分朝日放送株式会社
06501 Beyond 5Gにおける高度RAN基盤を実現するOpen RAN無線通信技術の研究開発
研究開発項目1 Open RANの高信頼・セキュアなインテリジェント化のためのセクタ管理効率化に関する研究開発
研究開発項目2 仮想化されたOpen RANのアンテナビーム制御等によるインテリジェント化に関する研究開発
研究開発項目3 アンテナ送信制御とOpen RANの電力制御最適化による周波数利用効率向上の研究開発
副題:高度RAN基盤の実現に寄与するOpen RAN向けの高信頼化・インテリジェント化・省エネ化に関する拡張技術の研究開発
R4

R6
◎楽天モバイル株式会社
全体として進捗は問題なく、積極的に推進されていることを高く評価できる。一部の研究開発項目に関してはプロトタイプの実装が当初計画から前倒しで進められており、年度末に向けては多くの研究開発項目で計画を上回る成果が見込まれている。標準化や知財に関しては既に最終目標を上回る成果が得られており、積極的な取り組みを高く評価できる。
 本研究開発はO-RAN RICによる周波数利用効率の改善と低消費電力化を実現し、持続可能なモバイルネットワークに貢献するものである。特にマルチベンダー環境での実装技術は多くの日本企業のB5Gへの参入を可能とする。結果として、B5Gの基地局設備の装置価格を低減し、日本の企業の国際的競争力アップにも大きく寄与することが期待される。
 日本の企業の国際的競争力アップへの貢献の観点から、国内ベンターとの協力体制のさらなる強化を期待したい。また、モバイルネットワークのベースアーキテクチャ、AI を用いた RIC という今後に重要となる方向性に配慮し、このようなトレンドを主導できるように研究開発が推進されることを期待する。
S
株式会社NTTドコモ
06701 Beyond 5G 宇宙ネットワーク向け未利用周波数帯活用型の無線通信技術の研究開発
研究開発項目
 Q帯、V帯における高機能デジタルビームフォーミング(DBF)送受信システム技術の研究開発
研究開発項目3 W帯衛星搭載機器の基盤技術の研究開発
副題:Beyond 5G 宇宙ネットワーク向けQ/V帯高機能デジタルビームフォーミング(DBF)送受信システム技術およびW帯衛星搭載機器基盤技術の研究開発
R4

R6
◎国立大学法人東北大学
各項目において概ね順調に研究開発が進められていると判断できる。デバイス開発においては世界最先端を目指すものであり、課題も明確であることから、引き続き高い研究開発成果が得られることを期待したい。なお研究開発全体としては、未開拓であるQ帯、V帯、W帯衛星通信向けのデバイス開発を中心としつつ、アクセス方式やユースケースの検討など多岐に渡っていることから、研究開発運営委員会の役割が重要と思われる。しかしその開催状況が確認できないため、どのように項目間連携がとられ、外部専門家の見識が取り入れられているか、その判断が難しい。各項目で得られた知見を相互活用することでシナジー効果を獲得し、より優れた高周波数帯衛星通信システムの研究開発につながることを期待したい。
 なお、衛星コンステレーション事業化の具体的計画が出せない現状では、宇宙実証は他力本願的努力目標との位置づけにならざるを得ないのが残念であるが、QV帯DBF搭載品およびW帯コンポーネントの国産ラインナップは国際競争力のある状態にしておくべきであり、本研究開発は継続すべきであろうと判断される。
 ただし、衛星通信は、第6世代携帯電話の時代には、地上ネットワークとの連携における上空ネットワークを担当する重要コンポーネントである。本研究では、この観点からの視点が弱いので、この視点に基づいた本研究の位置づけや出口戦略を検討はしておくべきと考えられる。
 さらに、今回の報告書は、実際に行われたことは丁寧に記載されているものの、なぜQV帯やW帯の研究開発が必要なのか、その中で、特に今回設定された研究課題を優先させて研究する必要があるのか、さらに最終目標として、本研究終了の後、どのようにイニシャティブをとろうとしているのかといった部分の説明が不足している。本報告書は「開発報告書」ではなく、「研究報告書」であるので、最終報告書では、研究報告書として必要となる上記の点をしっかりと記載すべきと考えられる。
A
三菱電機株式会社
株式会社Space Compass
スカパーJSAT株式会社
国立大学法人鳥取大学
国立大学法人広島大学
独立行政法人国立高等専門学校機構 富山高等専門学校
国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学
国立大学法人北海道大学
大熊ダイヤモンドデバイス株式会社
06801 Beyond 5G網におけるホログラフィ通信のための高効率圧縮伝送技術の研究開発 R4

R6
◎株式会社KDDI総合研究所
研究開発は順調に進められており、優れた成果が得られていると言える。年度末までにすべての研究開発項目で目標を達成し、一部では目標を超える成果を見込んでいる。課題全体としても「既存圧縮方式と比較して圧縮性能5倍」という中間目標を前倒しで達成している。当初計画を上回る国際標準化提案や研究成果発表が行われており、高く評価できる。各研究開発項目で今年度の目標を達成しつつあり、重要なマイルストーンとなる中間目標も達成されている。また、国際標準化提案も精力的に行われており、最終的な研究開発目標を達成することが期待できる。
 ホログラフィ通信が挑戦的なテーマであり、その重要性に大きな変化はなく、ホログラフィを含むマルチモーダル情報のEnd-to-Endリアルタイム圧縮伝送の実現という目標設定は適切である。今後の研究計画は、これまでの進捗を踏まえて、一部の目標を上方修正して進める計画である。十分に練られており、最終目標を効率的に達成可能であると予想され、目標設定、実施計画とも適切であり、問題ない。
 本研究開発は積極的に進められており、優れた成果が得られている。今後の目標設定や実施計画も適切であり、研究継続することが妥当である。
S
国立大学法人北海道大学
国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学
学校法人関西大学
公立大学法人公立諏訪東京理科大学
株式会社クレッセント
07501 協調認識の実現に向けた次世代V2X(Beyond 5G-V2X)通信技術の研究開発
研究開発項目1 5.9GHz帯におけるリアルタイム・マルチホップ通信技術の研究開発
研究開発項目
 ミリ波帯における高機能ビームフォーミング技術の研究開発
研究開発項目3 実環境を模擬したBeyond 5G-V2X通信技術の可用性検証技術の研究開発
副題:協調認識のためのBeyond 5G-V2X通信技術の研究開発
R5

R6
◎シャープ株式会社
本研究開発では、「リアルタイム・マルチホップ通信技術」、「高機能ビームフォーミング技術によるミリ波帯での安定した通信の実現」、「両技術の概念実証」に取り組み、目標を十分に達成できる見込みで適切に研究開発が進められている。研究開発運営委員会は研究開発を進める上で多様な視点で意見が得られるように配慮したメンバー構成となっており、本研究開発が対象とする5.9GHz帯V2X通信技術とミリ波帯V2X技術の役割を明確化するためのアドバイスなどを得ることができており、標準化活動や特許出願などが順調に進められ、研究開発に費やした費用は競争的な調達での費用抑制や、オープンソースの活用、NICTのワイヤレスエミュレータを利用するなど開発費用を抑える努力もして予算に見合った成果が得られている。特に標準化活動については、49件の提案が議長ノートに記載されており、最終目標である12件の規格化に向け大きく前進していると判断される。プロジェクト開始当初には目標設定がかなり高いと感じられていたが、進捗状況はそれを上回るものであり、その取り組みは高く評価できる。必須特許の取得に向けた活動も順調に進められており、標準化の合意事項に最低でも5件が合致するなど着実な取り組みが行われている。また、報道や展示会において研究成果の幅広い周知が大いに期待される。このプロジェクトの先をどうするかについても検討を始めていただきたい。さらにワイヤレスエミュレータの活用というNICTとの連携も行われており、本プロジェクトは、革新的情報通信技術研究開発の趣旨を十分に汲み取った研究実施がなされていると判断される。
S
国立大学法人京都大学
株式会社KDDI総合研究所
07601 災害時の応急エリアカバレッジのための無線通信技術の研究開発
研究開発項目1 高速UAV等を使った応急エリアカバレッジの研究開発
副題:高速 UAV 等を使った応急エリアカバレッジの研究開発
R5

R6
◎ソフトバンク株式会社
高速UAVに搭載するシステムの開発については、着実に進められていると判断される。一方で、受託者は、HAPS関連でeICICを適用したプロジェクトをいくつか実施しており、それらとの技術的かつ根本的な相違点が不明確なので、そこを明確に説明する必要があると判断される。研究開発報告書は、研究開発がなぜ必要であるか、それをどのような技術で解決しようとしているのか(理由も含めて)、得られた結果は、課題をどのように克服したのか(十分な性能が得られているかも含めて)を記載することが基本である。しかしながら本報告書はそのような構成にはなっていない。また報告書の評価は、受託者によって示された内容に基づき、評価者が判断すべきであり、評価者が自身の知識で内容を補って判断すべきではない。その点で、本報告書に記載された内容には不十分さが存在することから、十分なレベルで妥当性を有する報告とは言えないが、ぎりぎりのレベルで妥当であると判断される。
A
(注2)
07701 Beyond 5Gにおける超広域・大容量モバイルネットワークを実現するHAPS通信技術の研究開発
研究開発項目1 HAPSのサービスリンクにおける地上システムとの周波数共用技術の研究開発
研究開発項目3 HAPSのフィーダリンクにおけるLoS空間多重技術による高速大容量化の研究開発
副題:HAPS移動通信の高速大容量化技術の研究開発
R5

R6
◎ソフトバンク株式会社
プロジェクト開始時点の準備も含め、ステージゲートまでの優れた研究成果や今後の研究開発計画を拝見するに、十二分に練られた研究計画とそれを実施するに足る実施体制であると判断できる。また、社会的ニーズの高い研究開発であり、費用対効果も充分である。
シミュレーションベースとした研究成果により目標が達成できる見込みが高い。また、それを実施するためのハードウェア実証の計画も着実に進んでいる。社会的ニーズの高い本研究開発は、国民により大きな「安全・安心」をもたらす。一方、本研究開発は様々なIoTアプリケーションを誘発する可能性があり、大きな経済的波及効果も期待される。
今後の目標も明確に掲げられており、それに向けて着実に研究開発が進捗している。但し、ミリ波アナログ非再生中継など技術的に難しい課題の解決も目標に含まれている。非常に挑戦的で意欲的なアプローチであるが、その成否が社会的ニーズの高い本研究開発の成否を決めてしまわないよう、この部分の代替案も検討しつつ検討を進めて頂きたい。
S
07702 Beyond 5Gにおける超広域・大容量モバイルネットワークを実現するHAPS通信技術の研究開発
研究開発項目2 HAPSのサービスリンクの多重化による高速大容量化技術の研究開発
研究開発項目
 HAPSのフィーダリンクにおける柔軟に切替え可能なGW局との通信方式による高速大容量化技術の研究開発
副題:HAPSを介した携帯端末向け直接通信システムの早期実用化と高速大容量化技術の研究開発
R5

R6
◎株式会社Space Compass
研究計画はHAPSを介した端末への直接通信の早期実用化を達成するために適切に作成されている。また。HAPSを介した端末への直接通信の研究開発を実施するための十分な準備をしてきたメンバーにより実施されてきている。また、研究開発費用も適切に利用されている。
 地上システムの電波の届きにくい港湾や山岳地帯でも高品質なセルラー通信への期待が高く、それらの地点への早期サービスを目指す本研究開発が、それらの地域住民に安全安心をもたらすことは疑いがない。一方、研究開発の進め方として、地上波による通信を対象とする場合とは異なり、HAPSを介した端末への直接通信ではHAPSが中継局の役割を果たすため、HAPSの特性、制約が通信、その設計に大きな影響を与える。HAPSを介した通信が今まで商用化例がないことを鑑みると、実用化には早期の実証実験がなにより重要である。しかしながら、不運な事情にせよそれが遅れていることに不安がある。また、HAPS機体や通信ミッションを全て1社の企業に請け負わせている点に不安はある。計画には不測の事態への対応も含め補強が望まれる。また国内にて自由に実証試験が行える環境の整備、そのための必要なアクションも検討を開始してほしい。
 実証実験の結果、問題・課題が見出されたとしても、それを反映する時間がないことも危惧されるので、今からでも遅くないので、Zephyrの特性を多少加味した計算機シミュレーションを実施し、その対策などを検討されることをお勧めする。なお、標準化団体への寄書が計画を超えて達成されている点は、先駆けた検討が進んでいる証と思われた。国際的な技術競争力向上の観点からは、検討項目4aイ)で考案したトラヒック制御技術のような技術を標準化するなどの取り組みも期待したい。
A
株式会社NTTドコモ
日本電信電話株式会社
スカパーJSAT株式会社
08001 エラーフリーPOFによる革新的通信システムの開発 R6 ◎学校法人慶應義塾
エラーフリーPOFの研究は、当初目標を大きく上回る性能を達成し、有用な技術であることを実証している。研究目標は明確かつ具体的に策定されており、社会実装が進めばデータセンターへの展開をはじめとする大きな波及効果が期待される。費用対効果も高いプロジェクトであり、引き続き再現性の確認等の実用的なデバイス技術を確立しシステムに統合していく研究開発が進むことが望まれる。一方で、社会実装に向けた体制構築が課題として残されており、道筋がやや不透明な部分が見受けられるため、早期の具体的な対応が求められる。さらなる成果を上げることで、この研究が持つ潜在力を最大限発揮できると期待される。
S
08101 デジタルツインによるサイバー・フィジカル連携型セキュリティ基盤 R6 ◎株式会社KDDI総合研究所
本研究課題は、デジタルツインによって IoT デバイスセキュリティシステム構築手法を提案するものである。要素技術であるネットワーク探索・観測技術、フィジカルデバイス異常検知技術、セキュリティ基盤の実証の研究開発は順調に進捗している。Beyond 5G にて実現される各種アプリケーションの基礎的な安全性を担保し、安心安全な IT 社会の実現のために必要な研究であり、今後とも研究開発を継続すべきである。一方、全体を束ねるデジタルツイン生成や実用化した場合広く使われるスキームについての検討が十分ではない。今後広く使用されるセキュリティ基盤となるためのスキームを検討することを望む。最終年度に向けて具体性を持ったユースケースを提示して、これまで開発してきた要素技術を統合した一貫したシステムを示してほしい。
A
国立大学法人横浜国立大学
学校法人早稲田大学
学校法人芝浦工業大学
08201 ShonanFutureVerse: 仮想都市未来像にもとづく超解像度バックキャスティング CPS 基盤 R6 ◎東日本電信電話株式会社
ShonanFutureVerseの構想に向けて、各研究開発項目はある程度の成果を挙げつつある。全体を統括して実証実験を行う研究開発項目4については、修正された研究計画において具体的な取組みが明確にされたことは評価できる。多数の組織が関わるプロジェクトであるため、最終年度における研究全体のマネジメントをどう進めるかが成否の鍵となるため、代表研究者にはこの点での貢献が強く期待される。
 目標達成状況に関して、研究開発項目1-3では一定の成果が見られ、現状の技術基準において着地点が見つかりつつあり目標達成が期待される。一方、研究開発項目4については最終年度での取組みが強く求められる。
 代表研究者および運営委員会によるプロジェクトのガバナンス強化は重要な課題と考えられる。研究開発項目ごとの進捗は当初の目標と照らし合わせて妥当であるが、最終目標の達成に向けた進捗に期待したい。
A
(注2)
学校法人慶應義塾
国立大学法人京都大学
国立大学法人東京大学
株式会社アイ・トランスポート・ラボ
カディンチェ株式会社
株式会社ゼンリンデータコム
08501 マルチバンド超多波長メトロネットワーク構成法の研究開発 R6 ◎学校法人慶應義塾
研究開始から約半年という短期間でのステージゲート評価であるが、当初の研究計画通りに基本的検討が進められており、各項目において順調に進捗している。検討の結果は本研究課題の構想が実用的でありメトロネットワーク技術に大きなインパクトをもたらすことを裏付けている。研究発表について、スタートアップミーティングでのコメントを反映し、積極的に対外発表を進めている点も評価できる。最終年度の実証実験に向けた具体的な計画内容となっており、今年度の達成状況とあわせて考慮すると、十分な波及効果のある成果が今後得られるものと期待できる。今後も空孔コアファイバを用いたメトロネットワークの超多波長サポートの実現に向け成果を積み上げるとともに、日本代表であるということを意識して研究開発を遂行し、計画以上の成果が得られることを期待している。
A
日本電気株式会社
エピフォトニクス株式会社
08601 ホログラフィックコンタクトレンズディスプレイを実現する革新的基盤技術の開発 R6 ◎国立大学法人東京農工大学
代表研究者を中心に企業との連携を含む効果的な組織が整備され、十分にマネジメントされている。進捗は順調で、特許申請などの知的財産活動も積極的に進められている。学会発表や成果創出においては、限られた期間・人件費の中で研究費用に見合った効果を挙げており、今後の組織や人員体制の強化によって、さらに成果が期待される。
 目標達成については評価時点で75%の進捗が報告されている。一部の困難な項目についても対応が進められており、視野全体に情報を提示するコンタクトレンズ型ディスプレイのインパクトは大きいと考えられる。プロジェクトの成長を見据えた適切な方向性が示され、具体的な技術開発とアウトプットが計画されている。
 チームの連携も進んでおり、目標達成に向けた協力が期待される。コンタクトレンズに埋め込んだディスプレイはユニークで、その用途はBMI技術などの進展とともに今後ますます重要性を増すと予想される。今後もチームの連携が円滑に発展し、さらに有望な成果を生み出すことが期待される。
S
国立大学法人徳島大学
学校法人早稲田大学
シチズンファインデバイス株式会社
株式会社シード
08701 Integrated Sensing and Communicationにおけるエッジモバイルコア統合型制御方式の研究開発 R6 ◎国立大学法人大阪大学
個々の取り組みをミクロに見た場合、想定するシステムにおける通信性能の向上など改善すべき課題を調査し、一部解決できている。前回の審査より、交通支援のアプリケーションが明確になったが、具体的な状況や設定については、プロジェクトチーム内での精査を行い、定量的な成果とアプリケーションの関連について明示を期待する。本来期待されている成果が得られるようにアプリケーションの状況設定については現在の交通状況を踏まえて十分に検討いただきたい。また、通信コア側の開発に関しては順調にも見えるが、こちらは運ぶデータが必ずしもISACのものではなくてもよい汎用的な技術であり、本来のトピックであるISACの部分に関しては現時点でも、場面設定、規模感、時間的な制約などを明確にし、波及効果を得られるよう、研究を推進することを期待する。
 今後、研究を継続する場合には、ダイナミックマップの更新頻度とシステム性能の最適化、及び、その最適な状況での具体的な交通支援アプリケーション・シナリオを具体化し、数値目標の妥当性を明確にしてほしい。
A
(注2)
株式会社KDDI総合研究所
08801 大容量デジタルコヒーレントNTNに向けたアダプティブ光集積デバイスの研究開発 R6 ◎国立大学法人東京大学
これまで得られた成果からみて、研究計画と実施体制は妥当なものであると認める。目標の達成状況も良好であり、メタサーフェス分波デバイスなどで一部前倒しで実現されている。
新規性の高いデバイスを提案実証しており、本研究開発の成果が従来の空間光伝送を変革する可能性も感じられ、学術的、社会的な波及効果は高い。
今後の目標と計画もそれ自体は妥当性がある。近い将来の社会実装を実現するためにも、具体的なアプリケーションとそれを実現するシステム構築、デバイス仕様の実現といった検討を進め、本研究開発プロジェクト終了時には出口イメージが得られていることを期待する。
A
株式会社KDDI総合研究所
三菱電機株式会社
08901 Beyond5G通信基盤を支えるミリ波~テラヘルツ波帯フレキシブル導波管基盤技術の研究開発 R6 ◎国立大学法人福井大学
本研究は、テラヘルツ波を用いた無線アクセスシステムを実現する上で鍵となる技術が多数開発されており、本研究開発の成果は、この分野の研究開発や産業に大きなインパクトを与える可能性があると判断される。一方で、各項目が対象とする周波数が項目間で一致・連携せず、さらに通信システムへの応用との連携は薄く、本研究開発の全体ビジョンや最終目標が見えづらくなっている印象を受ける。実用化を見据えて、各項目の成果をどのように相互に反映させていくのか、といった項目間・技術者間の連携を強化すべきと感じる。スタートアップミーティングでも言及したとおり、既存(競合)技術と比べた提案導波管の優位性、有用性、課題解決のアプローチを定量的に計画の中で示されたい。
 スタートアップミーティングからあまり時間がたっていないが、FWGのコネクタの設計・試作、アンテナシステムでのFWGの特性評価結果を含めた結果が得られている。今後研究開発が進めば、その波及効果は大きいと想定されることから、本研究を継続することが妥当であると判断される。ただ、フレキシブル導波管の有益性の判断は、テラヘルツ波を用いたシステム構成でどのような使い方で、どれだけ広い活用が見込まれるかにかかっており、そのためにはどれだけのユースケースが想定できるかが重要となる。ユースケースをより具体的に想定した上で、検討項目と知財および標準化戦略を再検討されたい。研究開発期間が長くないので、優先度を付けるなどして効率的に進めていくことも期待したい。
A
株式会社米澤物産
学校法人早稲田大学
国立大学法人東海国立大学機構 岐阜大学
株式会社多摩川電子
国立大学法人京都工芸繊維大学
<総合評価 S:非常に優れている、A:適切である、B:やや劣っている、C:劣っている>
(注1) 本ステージゲート評価結果を踏まえ、08501、08601、08801、08901は令和8年度までの研究開発の継続を可とする。その他の課題については令和7年度までの研究開発の継続を可とする。
(注2) 07601、08201、08701については、当初B評価であったところ、評価委員会の意見に基づき受託者が研究計画の見直しを行った。その内容を評価委員会で再評価した結果、A評価となった。