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革新的情報通信技術(Beyond 5G(6G))基金事業 令和7年度ステージゲート評価結果(概要)(注)

採択
番号
研究開発プロジェクト名 研究
期間
(年度)
受託者
(◎印:代表研究者)
総合コメント 総合
評価
06701 Beyond 5G 宇宙ネットワーク向け未利用周波数帯活用型の無線通信技術の研究開発
研究開発項目1 Q帯、V帯における高機能デジタルビームフォーミング(DBF)送受信システム技術の研究開発
研究開発項目3 W帯衛星搭載機器の基盤技術の研究開発
副題:Beyond 5G 宇宙ネットワーク向けQ/V帯高機能デジタルビームフォーミング(DBF)送受信システム技術およびW帯衛星搭載機器基盤技術の研究開発
R4

R7
◎国立大学法人東北大学
デバイスレベルの開発からアナログ・ディジタル回路実装、アクセス方式の構築やユースケースに応じた回線設計など、技術課題が広範にわたっており、個々の課題については高いレベルが維持されている。一方、社会実装においては、想定されるユースケースに対し、各課題間の知見を有機的に結びつけることでより高い相乗効果が期待できると考えられるので、今後、課題間の連携を強化し、高いレベルでの最終目標達成へとつなげてほしい。
開発された技術は学会でも高い評価が得られているという点で、優れた研究成果が出ていると判断される。したがってこれら帯域の活用を光通信に対するバックアップとするだけでなく、より積極的なユースケースの想定をしたものにしていただきたい。
A
三菱電機株式会社
株式会社Space Compass
スカパーJSAT株式会社
国立大学法人鳥取大学
国立大学法人広島大学
独立行政法人国立高等専門学校機構 富山高等専門学校
国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学
国立大学法人北海道大学
大熊ダイヤモンドデバイス株式会社
07501 協調認識の実現に向けた次世代V2X(Beyond 5G-V2X)通信技術の研究開発
研究開発項目1 5.9GHz帯におけるリアルタイム・マルチホップ通信技術の研究開発
研究開発項目2 ミリ波帯における高機能ビームフォーミング技術の研究開発
研究開発項目3 実環境を模擬したBeyond 5G-V2X通信技術の可用性検証技術の研究開発
副題:協調認識のためのBeyond 5G-V2X通信技術の研究開発
R5

R7
◎シャープ株式会社
本研究開発は、本委託研究制度における大きな目的である「必須特許獲得を視野に入れた技術開発」を着実に実施しており、さらに適切な研究計画・実施体制の下で、費用対効果に優れた多くの優れた成果を当初計画以上に獲得している点が評価できる。学術面、技術面での貢献も素晴らしく、今後、本研究分野を日本が世界に先駆けて推進していくためにさらなる研究成果・貢献を期待したい。
2企業・1大学がそれぞれ適切に研究開発を進めるだけでなく、有機的に連携することで、各研究開発項目で100%を超える達成度が期待できる。なお、レベル4自動運転で期待される通信の実現に対して、本委託研究成果がどの程度まで寄与できそうかについても検討されることを期待する。
本研究開発で目標としている協調認識を実現するには、B5G/6Gにおける高信頼・低遅延通信が不可欠であり、本研究を継続することでB5G/6Gの必要性・重要性がさらに向上することが期待される。現時点では、本研究開発の目標として、技術革新や社会的ニーズに沿った項目が適切に設定されており、設定された目標を特に大きく変更する必要はないと思われるが、今後も常に海外動向を注視し、適宜、目標や条件などの調整を柔軟に実施されたい。
S
国立大学法人京都大学
株式会社KDDI総合研究所
07601 災害時の応急エリアカバレッジのための無線通信技術の研究開発
研究開発項目1 高速UAV等を使った応急エリアカバレッジの研究開発
副題:高速 UAV 等を使った応急エリアカバレッジの研究開発
R5

R7
◎ソフトバンク株式会社
本研究開発は、大型UAVを用いた無線通信という他機関では実施が難しい領域で進展を示しており、国産PODの開発(Green Tag取得)や関連行政との連携実証の計画など、取り組みの広がりは評価できる。ただし以下の点において本研究開発において不十分な点が存在する。
1)本委託研究の主旨は6Gでの社会実装にあるので社会実装に向けてどのような戦略のもとで本研究をどのように位置づけているのかを明確化することが求められる。
2)防災対応は重要であるものの、防災のためだけに本研究の成果を社会実装できる可能性は低く、災害時と平時とで共用可能な技術でなければ、社会実装の可能性は限りなく低い。したがって災害時と平時の共用をどう実現しようとしているのかを示すことが必要である。
3)POD以外の各種提案技術の独自性・新規性(学術的な評価の担保)、サービスリンクのアーキテクチャの合理性、知財戦略の位置付けなどの明確化が不十分である。例えば、課題07701でHAPSを対象として取り組んでいる要素技術と、それらとは高度や速度が異なるUAVを対象とする本課題とでどのような技術的困難性があり、それをどのように克服するのかを明確化する必要がある。
以上の通り、本研究の実施については一定の意義と成果は存在するものの、以上の点が不明確である。そのため、以上3点をクリアするための研究計画の改定を行うことを条件として本研究の延長を認めることとする。
A
07701 Beyond 5Gにおける超広域・大容量モバイルネットワークを実現するHAPS通信技術の研究開発
研究開発項目1 HAPSのサービスリンクにおける地上システムとの周波数共用技術の研究開発
研究開発項目3 HAPSのフィーダリンクにおけるLoS空間多重技術による高速大容量化の研究開発
副題:HAPS移動通信の高速大容量化技術の研究開発
R5

R7
◎ソフトバンク株式会社
当初、HAPSを介した通信により高速かつ、大容量のネットワーク構築を目的とする本研究開発は非常に野心的と考えていた。しかし、緻密な計画に基づく研究開発の成果により、これが実現される可能性の高いものとなってきた。NTNによりカバレッジエリアの拡大だけでなく、高速大容量の通信が実現されれば、様々なアプリケーションが生み出され、経済活動を活発化させると期待できる。即ち、研究成果というだけでなく、その波及効果を勘案しても費用対効果の大きい研究開発と言える。
シミュレーションベースの研究により最先端の研究成果が次々と得られている。加えて、試作機を用いた実証実験も開始され、シミュレーションによって得られた研究成果を現実のものとする準備も進められている。上記のように、これらは広いカバレッジエリアにおいて、従来のNTN、例えば衛星通信よりも大容量しかも低遅延な通信が提供でき、様々な経済活動に大きな波及効果があると思われる。
今後の目標も綿密に練られているようである。例えば、フィーダーリンクとサービスリンクを結合させた研究など、HAPS通信の実現に向けて具体的な計画が立てられている。ただし、HAPSを活用した、サービスリンク、フィーダ—リンクの大容量化や地上システムとの周波数共用化に関する研究は、革新的情報通信技術基金事業内の他課題や、ソフトバンク自身が推進する他事業も含め、競合関係、協働関係にある研究が複数ある。本課題の社会実装に向け、これら国内の研究動向/関連を俯瞰図などで概観し、本研究課題の目標と実施計画の位置付けを、これら競合研究等と関係づけて最終確認することが必要である。
S
07702 Beyond 5Gにおける超広域・大容量モバイルネットワークを実現するHAPS通信技術の研究開発
研究開発項目2 HAPSのサービスリンクの多重化による高速大容量化技術の研究開発
研究開発項目4 HAPSのフィーダリンクにおける柔軟に切替え可能なGW局との通信方式による高速大容量化技術の研究開発
副題:HAPSを介した携帯端末向け直接通信システムの早期実用化と高速大容量化技術の研究開発
R5

R7
◎株式会社Space Compass
早期実用化を目指してしっかりとした当初計画が立案され、それに基づき研究開発が実施されている。HAPS機体を用いた通信実験を実施し、世界で初めて地上IMT端末へのデータ通信の実証実験に成功したり、万国博覧会でHAPSの研究開発状況を発表するなどの成果が多々得られており、研究開発を遂行するに十分な能力のある実施体制である。
綿密な分析に基づき各要素ごとの研究開発が進められている。各研究開発項目では、問題が発生する度に丁寧に問題を分析し、次善の解決策を見出してきており、これらは重要な研究成果の一部とみなせる。しかし、発生する様々な問題解決に多少の時間を要しているためか、計画からの遅れがみられる。特に、早期実用化フェーズの研究開発では2025年度に商用コアネットワークに接続する飛行試験に成功する重要な目標を立てていたが、残念ながら遅れが生じ現時点では達成されていない。国内実証の短期的な遅れは挽回できるとしているが、全力で実現して欲しい。一方、機体のSWaP制約などによりビーム数など当初のアウトプット目標の中で実現困難な項目も明確になってきている。これらは関連する要素への影響もあり、また自力での解決方針が示されていないこともあり、最終年度の統合実証試験にも相当な影響を与えることが危惧される。当初の目的を達成するために、今後の研究開発計画においては、2024年11月のステージゲート以降得られたこれらの知見を反映し、部材の調達方法や検討課題や実施方法・体制を含めて本課題の最終年度までの計画を大幅に修正する必要がある。
研究計画の遅れを取り戻すため、また今後、各研究開発項目を統合しHAPSシステム実証へ進めるためには、項目間の連携が極めて重要となり、全体を俯瞰しつつ複数組織をまとめるより強いリーダーシップが必要である。なお、ステージゲート評価資料は、各研究開発項目毎の主分担組織からの報告を統合したものと推測するが、冗長な部分もあり重複が多く表現も統一されていない。今後、報告書など作成時には、留意してほしい。この点も組織間の連携とより強いリーダーシップの強化を求める一因である。
今回の評価に際し提出された資料中に「運営委員会のサポートのもと研究開発を推進」との記載があるが、外部有識者会議の構成メンバー、開催実績(コメント含む)、今後の開催予定などを提出してほしい。
A
株式会社NTTドコモ
NTT株式会社
スカパーJSAT株式会社
08701 Integrated Sensing and Communicationにおけるエッジモバイルコア統合型制御方式の研究開発 R6

R7
◎国立大学法人大阪大学
ISACは電波資源の有効利用という観点で、今後の積極的な技術開発が必要とされる分野であり、本テーマはその成果が期待されるものである。研究はセンシング、センシングと通信リソースの配分制御に関する部分と、ISACを支えるセルラネットワーク側のネットワーク制御の両面から進められている。後者に関しては最近様々な場面で議論されているものであり、特に目新しさを感じないが、着実に進んでいる。一方で、センシング面に関しては、最終目標とするシステムと研究成果のギャップが依然かなり大きい。成果は基礎的な部分にとどまっているし、評価はシミュレーションのみである。システムとして統合していくためには、必要な精度、リアルタイム性に鑑みて必要リソースを見積もる必要があり、そこに繋がるような計画実施を期待する。
今後の最大の不安はNICTテストベッドに関する当初の思惑が外れている点である。ISACと言える形でシステム実装され、実証が出来ない限り、本プロジェクトとしての成否が問われるが、現在の状況を鑑みると、残念ながら不安を感じざるを得ない。詳細な実証実験に向けたロードマップを早急に委託元へ提出することがプロジェクト遂行上望まれる。
A
株式会社KDDI総合研究所
09001 オール光ネットワーク共通基盤技術の研究開発
研究開発項目1 オール光ネットワークの全体的なアーキテクチャの策定
研究開発項目2 オール光ネットワーク共通基盤技術の研究開発
副題:複数事業者間のオール光ネットワーク接続に関する制御技術および装置構成技術の研究開発
R6

R7
◎NTT株式会社
本研究開発は、複数事業者間のオール光ネットワーク接続という高難度かつ先導的な課題に対し、体系的かつ戦略的に取り組んでおり、当初計画に沿って着実な進展を遂げている。研究体制は複数機関・専門分野の有機的な連携によりしっかりと構築されており、外部有識者の助言を得ながら、目標・優先度を明確に保って遂行されている点は高く評価できる。フェデレーション、サブチャネル回線交換、分散ROADMなどの要素技術は実装段階に到達し、IOWN Global ForumやITU-T、O-RAN ALLIANCE等での標準化承認を含む国際的成果を挙げており、波及効果は大きい。費用対効果の面でも、市販技術や国際標準化活動を活用した効率的な開発戦略により、投入予算に見合う以上の成果を上げている。上記の通り、本研究は高い実現性・独創性・社会的意義を併せ持つものであり、Beyond 5G/6G時代の光ネットワーク基盤確立に向けた中核的取り組みとして非常に優れた成果を挙げていると評価できる。今後は、三事業者間フェデレーションの実証や光パス開通時間の短縮、ユースケース拡大による社会実装段階の加速が鍵となる。また、海外機関や競合技術の動向を注視し、国際的優位性を維持・強化する姿勢が重要である。
S
KDDI株式会社
1FINITY株式会社
日本電気株式会社
楽天モバイル株式会社
09101 ユーザセントリックな通信を実現するAIネイティブな無線ネットワークに関する研究開発
副題:6G MIRAI-HARMONY:クロスレイヤ/マルチドメインAI統合による6Gモバイルシステム最適化の研究開発
R7
◎国立大学法人東京大学
6Gモバイルネットワークにおける垂直方向(クロスレイヤ方向)と水平方向(マルチドメイン方向)の柔軟なAI連携による最適化を計画しており、研究開発の重要性を評価できる。各研究開発項目について、2025年度の目標は年度末までにすべて達成される見込みである。研究の進捗は良好であり、実施体制や費用対効果についても問題ない。研究目標は研究開発目標にブレークダウンされ、適切に設定されている。ただし、目標設定は全体に定性的であり、AI/ML連携により見込まれる成果をより具体的なものにすることが求められる。D-MIMOに関してはプロジェクトの終了時の着地点を見据えて研究をすすめることが望まれる。標準化については動向調査が行われており、2025年度末までに目標を超える標準化提案を見込んでいる。標準化に向けた取り組みを評価できる。一方で、標準化戦略、知財戦略がより効果的なものになるといいだろう。本研究開発は日EU国際共同研究により実施するものである。計画当初とはEU側のパートナが変更となったが、連携の可能性について改めて前向きに検討が進められている。日EU連携の効果を引きだせるよう、引き続き計画の検討と拡充をお願いしたい。
A
京セラ株式会社
国立大学法人東京農工大学
清水建設株式会社
NECネッツエスアイ株式会社
09201 オール光ネットワークの高度化に向けたデジタルツイン技術及びそれを活用したネットワーク最適化・分析技術に関する研究開発
副題:オール光ネットワークデジタルツイン技術
R7 ◎1FINITY株式会社
本課題は、Beyond 5G時代の光ネットワーク高度化に不可欠となるデジタルツイン技術の確立を目的としたものであり、初年度として必要な要素技術の原理検証を概ね計画どおり進めており、費用対効果は妥当であると評価できる。一方で、OSNR実力値を用いた最適化の前提条件について、実ネットワークにおける測定戦略や経路ごとの扱いが明確でなく、実証段階に向けた整理が求められる。目標の達成見込みについては、容量拡大や障害要因特定に関する有望な成果が得られており、研究継続によって最終目標に到達できる可能性は高い。光ネットワークの運用効率化、省電力化、障害復旧力向上は社会的・経済的インパクトが極めて大きく、重要な成果が期待できる。標準化や国際連携に関する計画も明確であるが、ドイツ側とのデータ連携や秘匿化方針については、共同研究を成立させるための技術的・制度的整理が早期に必要である。ドイツ側との連携によりマルチドメインネットワークのより適切な運用が可能になるものであるが、日本側の技術開発の成果単体でも、単一光ネットワークの運用改善に十分資する内容であるので、日本側の成果のみでの価値創造も行いつつ、国際共同研究としての成果の追求、他のプロジェクトとのシナジー効果創出という多方面からの価値獲得を目指してほしい。今後の研究計画は、初年度の成果を踏まえつつ実証フェーズへの移行が適切に設計されており、研究体制も継続的な遂行能力を備えていると判断できる。国費投入の必要性も十分にあり、成果は社会実装および国際展開に結びつく可能性が高く、今後の実証と標準化活動により大きな波及効果が期待される。
A
<総合評価 S:非常に優れている、A:適切である、B:やや劣っている、C:劣っている>
(注)本ステージゲート評価結果を踏まえ、09001は令和10年度まで、07701、09101、09201は令和9年度までの研究開発の継続を可とする。その他の課題については令和8年度までの研究開発の継続を可とする。
ただし、07601・07701・07702については以下のとおり。
・07601:総合コメントに基づき実施計画書の見直しを実施した上で契約を延長することとした。
・07701:総合コメントに基づき提出された追加資料を受け、契約を延長することとした。
・07702:総合コメントに基づき実施計画書の見直しを実施するとともに、同コメントに基づき提出された追加資料を受け、契約を延長することとした。