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概要

THz QCLは、THz帯のコンパクトかつ高出力なコヒーレント光源として非常に期待されているデバイスです。本研究室では、LOフォノン引き抜き型という活性層構造を用いたQCLを作製し、パルス駆動ながら発振に成功しました(図1 & 2)。現在は、導波路構造などに工夫を凝らし、CW動作を実現しています。
また、非平衡グリーン関数法と呼ばれる計算手法を用いてTHz QCLの動作解析を行っています。各種の散乱を取り入れた計算により、電圧を加えた非平衡状態での電子分布や光学利得を得ることができます(図3)。
現状では、低温でのレーザ発振に留まっていますが、今後、数値解析による活性層構造・導波路構造の検討やプロセス技術の改善などにより、THz QCLの高性能化(高温動作化を含む)実現を目指します。
図1:パルス駆動下でのTHz QCLの電流-電圧特性(黒)と電流-THz光出力特性(赤)。
1kA/cm2以下の閾値電流密度かつ25mW以上のピーク出力が得られている。
図2:THz QCLの発振直後の発振スペクトル。~3.1THzでのレーザ発振が得られている。
図3:非平衡グリーン関数法で得られた新規2ウェルTHz QCLの200Kでの電子分布