• 印刷
OPA_image

有機EOポリマー光フェーズドアレイの技術概要と特徴

 通信における情報量の増加に伴い、高速・大容量な光通信技術の開発が求められており、電気信号を光信号に変換する光変調器は情報通信などに欠かせないキーデバイスとなっています。NICTでは、有機EOポリマーを使った高性能な光変調器の開発に取り組んでおり、従来技術のLN光変調器と比較して、有機EOポリマーを使った光変調器は、高速で低消費電力という特徴があります。また、従来の光変調器は、光通信に使われている赤外光でしか利用できないという課題がありましたが、可視光用の高効率な有機EOポリマー光変調器を開発しました。
  従来のEOポリマー光変調器は、赤外光(波長1,550 nmなど)での動作がほとんどで、可視光(波長380 nm〜780 nm)では吸収損失が大きいため、光変調器として利用することができませんでした。NICTでは、可視光での吸収損失が小さく、光変調に必要な電気光学係数を持つEOポリマーを開発し、微細加工技術を駆使して光変調器を作製し、波長640 nmの可視光(赤色)での動作実証に成功しました。開発した可視光用EOポリマー光変調器は、従来の赤外光用EOポリマー光変調器よりも小型で、低電圧で駆動でき、高効率です。
  光フェーズドアレイ(OPA : Optical Phased Array)は、光位相変調器をアレイ状に配置した素子であり、アレイ間の相互の光位相関係を電気的に制御し、機械的可動部なしに、出射光ビームの形状と方向を制御することができます。NICTは、高速・広角走査の光ビーム制御素子を実現することを目的に、様々な光波長に適応可能な有機電気光学(EO)ポリマー光位相変調器を用いた光フェーズドアレイの開発を行っています。有機EOポリマーは加工性に優れ、精密な導波路加工ができ、電極を上下に配置し、EO ポリマー導波路を挟む構造にできることから低電圧の駆動が可能です。
 
Technology

有機EOポリマー光フェーズドアレイ応用ユースケース

Usecases

自動運転・ドローン・ロボットLiDAR

近赤外光有機EOポリマー光フェーズドアレイでソリッドステートLiDARを実現し、自動運転車やドローン・ロボットに搭載
 
<優位点>

  • 機械的可動部がない高速・広角走査の光ビーム制御素子
  • 超小型、超軽量、低消費電力

次世代光無線通信

赤外/近赤外/可視光の有機EOポリマー光変調デバイスで空中及び水中での高速光無線通信を実現

 <優位点>
 
  • 高速通信
  • 機械的可動部がない高速・広角走査の光ビーム制御素子
  • 超小型、超軽量、低消費電力
  • 水中での通信効率の良い可視光(青・緑)が利用可能

高精細3Dカメラシステム

RGBカメラに小型・軽量の有機EOポリマー光フェーズドアレイを搭載することで高精細3Dカメラシステムを実現

<優位点>
 
  • 機械的可動部がない高速・広角走査の光ビーム制御素子
  • 超小型、超軽量

次世代3D映像エンターティメント

可視光(RGB)有機EOポリマー光フェーズドアレイで立体ディスプレイシステムを実現

<優位点>
 
  • 可視光(赤・青・緑)の光ビーム制御可能
  • 機械的可動部がない高速・広角走査の光ビーム制御素子
  • 超小型、超軽量

有機EOポリマー光フェーズドアレイのシステム構成

 レーザーダイオード光を光ファイバーおよびカプラーを用いて有機EOポリマー光フェーズドアレイに入射させます。各アレイではEO ポリマー導波路を挟む構造で電極が上下に配置されています。駆動回路により高周波の電圧を各アレイの電極に印加することにより、高速・広角走査の光ビーム制御素子を実現することができます。

System

関連情報

光フェーズドアレイデバイスに関するご相談・お問い合わせは、下記フォームよりお送りください。
access