• 印刷

詳細解説

 
  • ※1.“データの地産地消“とは何ですか?
  • データ(情報)としては、人が自ら意識して発信するものや、センサーなどが検出して自動的に発信するものがあります。このようなデータは、それこそ日本国内はもちろん、世界中からの膨大な量を集めることで所謂ビッグデータと呼ばれるものとなり、一見分からないような、新たな価値を生む場合もありますが、よりもっと身近で分かりやすい、重要なデータもあります。例えば、高齢者や子供の見守り等の安心安全に関わるデータや、防犯・防災・交通安全等に関わるちょっとした危険通報的なデータがあります。このような身近で分かりやすいデータは、ちょうど食べ物に消費期限(賞味期限)があるように、多くの場合データとして、これ以上時間が経過すると、利用価値がありませんよという時間があります。また、そのデータの発生場所から遠くの場所ではやはり利用価値がないものです。従って、如何にそこのような身近で分かりやすいデータを、消費期限内で必要な地域内で流通させるかが重要と考えられます。このような概念から当研究室では“データの地産地消“の概念を実現する地域の無線ネットワークやデータ流通の仕組みに関わる研究開発を推進しています



  • ※2.人流・物流にデータの流通も託すとはどういう意味ですか?
  • 地域においてデータを流通させるためには、いうまでもなくネットワークが必要です。光ファイバーを使った有線系ブロードバンドネットワークで接続されている家庭やオフィス、店舗等も増えてきました。また最近はやはりスマートフォンのような無線を使ったブロードバンドネットワークが広く整備され、その一般ユーザ向けの通信費用も大幅に低廉化が進みましたので、インターネットへのアクセスは全て無線に頼るということも珍しくなくなっています。一方で、それでもやはり光ファイバーのような有線系ブロードバンドネットワークも無線系のブロードバンドネットワークもそのインフラ整備が難しい、例えば過疎が進行する地域も存在します。このような地域においても、人が住み、生活している限りにおいては、必ず人そのものの往来(人流)と、生活物資の往来(物流)が必ず存在します。よって、このような人流・物流に相乗りする形でデータの流通も託すことは、非常に効率のよいデータ流通プラットフォームになる可能性を秘めていると考えられます。当研究室ではこのような原理にもとづくネットワークをPiggyback Network(Piggybackは日本語で“おんぶ“の意味)の研究開発と実証実験を推進しています。なお、このような人流・物流にデータの流通も託す場合、データが発生源からその消費先まで届くまでの時間は、そのデータを運ぶ人・モノの移動時間に委ねられることになります。従って、リアルタイムに双方向で通話する電話のような目的には使えませんが、非常に大容量のコンテンツをある場所からある場所に届けるような用途では、一般的に普及しているブロードバンドネットワークを介するより、むしろ短時間となることがわかっています。



  • ※3.社会の資源を“ゆるく“つなぐとは、どういう意味ですか?
  • 上述した人流・物流にデータの流通を託すという方式のもとで、しかもデータの地産地消の概念にもとづいた地域情報社会を構築する場合、大きくは①データ(情報)を発信する人・モノ、②データを中継、運搬する人・モノ、そして③データを消費する人・モノ、の3つの役割を果たす人・モノが存在することになります。ここで登場する人・モノは、様々な事業者が業種・分野を超えて横断的に協力しあえる、いわゆる社会の資源であることが重要と私たちは考えています。社会的に価値のあるデータが多く生成されて、またそのようなデータが必要十分な範囲に行き渡るためには、地域を支える様々な業種・分野に関わる人・建物・移動体などの社会の資源が横断的に協力しあい、各々がデータの発信・共有・中継交換と転送を繰り返すことで地域にデータが浸透する仕組みが機能する必要があります。このとき、各①〜③の役割を担う人・モノに対して過剰に発信データの信憑性を担保させることや、データ消費時に発生し得るリスクに対する責任を負わせることは、データの発信者はもとより、中継交換・転送に関わろうとする人・モノの参画者が広がらないと考えられます。このような過剰な責任を負わせない形で、社会に浸透済みの資源(人・建物・移動体)が偶然、意図的に相互につながることで、地域に必要な情報が広がるための概念として、社会の資源を“ゆるく“つなぐ、ことが重要と考えています。
解説


 <メニュー>