革新的情報通信技術研究開発委託研究
研究評価 > 令和6年度終了評価
令和6年度革新的情報通信技術研究開発委託研究終了評価結果(概要)
採択 番号 |
研究開発課題名 | 研究 期間 (年度) |
受託者 (◎印: 代表研究者) |
総合コメント | 総合 評価 |
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00301 | テラヘルツ帯を用いたBeyond 5G超高速大容量通信を実現する無線通信技術の研究開発 研究開発項目1 テラヘルツ帯増幅器一体型アレイアンテナ技術の研究開発 副題:テラヘルツ波を用いたビーム制御通信システムの研究開発 |
R3 | R6 |
◎富士通株式会社 |
300GHz帯八木宇田型アンテナおよび送信電力増幅器モジュールが実現され、この帯域でPANが構成できる成果が出ていることは高く評価できる。特に、増幅器に関して、シリコンCMOSでは難しい300GHz帯において、化合物半導体の技術を活かし、アレイ化およびアンテナとの集積化が可能な形で世界最高峰の成果が得られたことは特筆すべき成果であるといえる。
また、アレーアンテナとして素子と配列を検討し30度ビームを振った場合の利得を確認されたことは高く評価できる。一方、計画にあった、内製PAと内製アレーアンテナを組み合わせた通信実証実験の成果が3月末の現時点で見られなかったのは残念である。
知財化や国際標準化と合わせて300GHz帯PANの研究開発が継続されることを期待する。
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A |
学校法人五島育英会 東京都市大学 | |||||
00302 | テラヘルツ帯を用いたBeyond 5G超高速大容量通信を実現する無線通信技術の研究開発 研究開発項目2 テラヘルツ帯を用いた限定エリア内無線システムの研究開発 研究開発項目3 テラヘルツ帯を用いた地上~NTNプラットホーム間フィーダーリンクシステムの研究開発 副題:テラヘルツ帯通信の高密度化・長距離化に関する研究開発 |
R3 | R6 |
◎学校法人早稲田大学 |
限られた予算と期間の中でテラヘルツ通信のフラグシップといえる成果が得られたといえる。開発されたシステムは、テラヘルツ帯を利用したシステムとしては比較的長い伝送距離を実現しており、特に、地上-NTN間リンクに向けた地上と航空機との伝送実験は、テラヘルツ帯利用の重要なユースケースとして期待される。また、300GHz帯限定エリア内無線システムおよび100GHz NTNフィーダーリンクの両方において、測定器の組み合わせあるいはオフライン処理ではなく、ハードウエアとしてテラヘルツ無線機が実装されており、それによる実証実験も条件付きながら設定した目標を達成できることを示していることは高く評価できる。
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S |
日本電信電話株式会社 | |||||
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 | |||||
三菱電機株式会社 | |||||
00401 | Beyond 5Gに向けたテラヘルツ帯を活用した端末拡張型無線通信システム実現のための研究開発 研究開発項目1 端末拡張のためのテラヘルツ帯RF構成技術 研究開発項目2 テラヘルツ帯を適用した端末拡張のための信号処理技術 研究開発項目3 端末拡張型無線通信システム構築・制御技術 副題:Beyond 5Gに向けたテラヘルツ帯を活用するユーザセントリックアーキテクチャ実現に関する研究開発 |
R3 | R6 |
◎株式会社KDDI総合研究所 |
本研究開発課題は、総額約32億円という大規模な研究費を投じて実施された基幹課題であり、大学・メーカー・通信事業者による分担体制のもと、各機関の得意分野を活かした有機的な連携によって、多くの意義ある成果を挙げている点で高く評価できる。ユーザセントリックRANという新たなアーキテクチャにおいては、Cell-Free massive MIMOの実装に向けた制御手法の高度化や、中継デバイスの開発、並列伝送の実証、伝搬特性のモデル化などが行われ、Beyond 5Gや将来的な6Gを見据えたチャレンジングな技術開発が展開された。中でも、人体近傍におけるテラヘルツ帯の並列伝送の可能性を理論・実験の両面から示した点は、今後の実用化に向けた重要なステップといえる。標準化活動や国際展開に向けては、O-RANへの貢献や標準必須特許の出願、プレスリリースや展示会での情報発信なども着実に行われた。今後さらに他機関との連携を通じた国際的プレゼンスの強化が望まれる。目標達成度も高く、代表研究者による的確なマネジメントの下、研究成果の質・量ともに研究費に見合った十分な結果が得られており、波及効果とともに今後の継続的な展開に大いに期待がもてる。
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S |
学校法人早稲田大学 | |||||
学校法人千葉工業大学 | |||||
国立大学法人名古屋工業大学 | |||||
株式会社日立国際電気(~R6.12.26)、株式会社国際電気(R6.12.27~) | |||||
パナソニック株式会社(〜R4.3)、パナソニックホールディングス株式会社(R4.4〜) | |||||
00501 | Beyond 5G超大容量無線ネットワークのための電波・光融合無線通信システムの研究開発 研究開発項目1 光⇔テラヘルツ帯の相互信号変換技術及びトランシーバ技術 研究開発項目2 高速光無線接続技術及び光無線トランシーバ技術 研究開発項目3 無線信号配信のための光信号処理技術 副題:超大容量超低遅延無線のための電波/光変換・制御技術 |
R3 | R6 |
◎国立大学法人三重大学 |
本研究課題は、テラヘルツや光無線を用いた超大容量無線通信技術の開発において、技術的に大きな進展が見られ、テラヘルツ帯MMICやトランシーバ、光無線技術など、個別要素技術についても有望な成果が得られている。実証実験やユースケースの提示、次フェーズに向けた課題の明確化なども含め、成果の質と科学技術的インパクトは十分に高く、研究開発の牽引的な役割を果たしたと評価できる。一方で、多額の予算が投入されたにもかかわらず、標準化や特許出願、人材育成といった点での取り組みには不十分な面があり、費用対効果の観点では改善の余地も見られる。最終的な目標達成率は100%には至らなかったが、得られた成果は今後の実用化や他分野への波及効果を十分に期待できる内容であり、今後の展開に注目したい。
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A |
株式会社日立国際電気(~R6.12.26)、株式会社国際電気(R6.12.27~) | |||||
株式会社京都セミコンダクター(〜R6.3)、デクセリアルズフォトニクスソリューションズ株式会社(R6.4〜) | |||||
株式会社KDDI総合研究所 | |||||
東洋電機株式会社 | |||||
00601 | Beyond 5G次世代小型衛星コンステレーション向け電波・光ハイブリッド通信技術の研究開発 研究開発項目1 LEOコンステレーション用小型衛星搭載電波・光ハイブリッド通信技術の研究開発 研究開発項目2 超広帯域光衛星通信システムの実現に向けた基盤技術の研究開発 副題:次世代LEO通信コンステレーション構築に向けた超小型・低コスト電波・光ハイブリッド通信システムおよび通信制御システムの研究開発 |
R3 | R6 |
◎株式会社アクセルスペース |
小型人工衛星コンステレーションのための電波・光ハイブリッド通信技術の早期実現を指向した挑戦的かつ重要な研究課題である。優れた研究成果が得られている項目もあるので、技術課題の原因やアプローチの問題点を精査して研究開発を続け、最終目標を達成して欲しい。
実際の衛星通信システムへの展開へ向けて、今後も研究開発を継続し、当初目標を達成、完遂して頂きたい。
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A |
国立大学法人東京大学 | |||||
国立大学法人東京工業大学(〜R6.9)、国立大学法人東京科学大学(R6.10〜) | |||||
株式会社清原光学 | |||||
01001 | Beyond 5G時代に向けた空間モード制御光伝送基盤技術の研究開発 | R3 | R6 |
◎日本電信電話株式会社 |
伝送路マルチコア光ファイバとして結合型を対象とすることを特徴とする研究課題である。研究開発項目として結合型で重要なMIMO処理技術、ケーブル化技術、増幅技術、接続・コネクタ技術にブレイクダウンされ、研究計画は目標に対してよく練られていたとともに、当初設定された目標はすべて達成されており、さらに研究開発項目間の成果を持ち寄った連携実験において実際に12コアのMCFによる伝送実験を行い優れた成果を出すなど、予算削減とコロナ禍による制約があったにもかかわらず当初目標以上の多くの技術的・学術的成果を得られ、社会的インパクトも高い。ただし、標準化・実用化に関してはまだこれからの段階であり、本技術の近い将来の標準化・実用化に期待したい。
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S |
住友電気工業株式会社 | |||||
日本電気株式会社 | |||||
古河電気工業株式会社 | |||||
学校法人千葉工業大学(〜R6.3) | |||||
01301 | Beyond 5G超高速・超大容量無線通信システムのためのヘテロジニアス光電子融合技術の研究開発 | R3 | R6 |
◎国立大学法人東北大学 |
4年間の研究開発で、優れた高性能光電融合デバイスを複数開発したことは評価できる。当初目標を十分達成しており、多くの知財の提案や標準化委員会参画も進めており、デバイス開発としての達成状況は十分であったと考える。
一方で、開発したデバイスのシステムレベルでの評価試験、実証試験に到達できなかったことは、やや残念である。開発した先進的な光電融合デバイスが有効な応用システムを見出すことができれば、我が国の大きな財産になると言える。今後のさらなる研究開発と応用展開に期待したい。
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A |
パナソニック株式会社(〜R4.3)、パナソニックホールディングス株式会社(R4.4〜R5.3) | |||||
浜松ホトニクス株式会社 | |||||
住友大阪セメント株式会社 | |||||
学校法人早稲田大学 | |||||
01601 | スマートモビリティプラットフォームの実現に向けたドローン・自動運転車の協調制御プラットフォームの研究開発 | R3 | R6 |
◎KDDI株式会社 |
本研究課題では、限られた予算の中で設備の流用や必要最低限の機能実装によりコストを抑えつつ、全研究開発項目で目標達成が見込まれ、実証実験も計画通り遂行された。物流企業との連携や知財確保など社会実装への取り組みも進められ、費用対効果は高いと評価できる。特に、自動運転プラットフォームとドローン運行プラットフォームの接続を実現し、衛星通信による通信断対応の技術を確立するなど、スマートモビリティの実現に向けた成果をあげた点は評価できる。一方で、標準仕様の策定やフォーラム設立など、普及に向けた取り組みが十分でなかった点は課題として残る。また、学術的成果として口頭発表の目標を超えた一方で、厳密な査読を伴う学術論文の数値目標が達成されていない点は新規性・有効性のエビデンス担保の点から残念である。しかし、特許出願は計画を大きく上回り、知的財産の確保という観点では十分な成果が得られた。今後は、6G/B5Gの技術動向を見据え、標準化提案や低軌道衛星の活用を含めたさらなる発展を期待したい。
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A |
アイサンテクノロジー株式会社 | |||||
01801 | Beyond5Gに資するワイドバンドギャップ半導体高出力デバイス技術/回路技術の研究開発 | R3 | R6 |
◎株式会社ブロードバンドタワー |
Beyond 5G無線システムで求められるスペックのHEMTのデバイスに関わる研究開発に成功していることは高く評価できる。今後は、デバイスの商品化・量産化に繋げることを期待する。他方、回路設計・実装に関してはシミュレーションによるものが主たる成果となっており、今後の開発・実証試験を期待する。これまでの研究実績をベースとして、社会実装へ向けてさらなるデバイス開発と応用展開を進めて欲しい。
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A |
国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学 | |||||
国立大学法人名古屋工業大学(~R6.3) | |||||
・国立大学法人熊本大学(R6.4~) | |||||
三菱電機株式会社 | |||||
01901 | 低軌道衛星を利用したIoT超カバレージの研究開発 | R3 | R6 |
◎国立大学法人東京大学 |
非再生中継を行う低軌道衛星を利用した衛星通信ネットワークの構築、衛星ダイレクト通信に使用可能なNBIoT基地局ソフトウェアの開発、実証試験の実施において、顕著な成果を挙げたと判断される。非再生中継の低軌道衛星を用いる場合において、遅延補償により、地上携帯ネットワーク向けの現用の端末を変更なしで接続できることを明らかにした知見は貴重である。
今後の実証、評価の継続を期待すると共に、社会実装に向けては、このプロジェクトで提案したアーキテクチャが3GPP標準化に反映されることが必要であるので、本成果の社会実装、展開に向けた継続的な活動を期待したい。
なお、終了評価に際して受託者より提出された資料においては、実験で得られたデータの説明、そこから得られる知見などを説明する部分が、技術的にもきわめて不十分な表現となっている。資料は論理的な説明が必要で、読んだもの全てが納得できる記述で構成されなければならないが、終了評価資料では、このような基本事項が満足されていなかった点は、大変残念であった。
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A |
楽天モバイル株式会社 | |||||
02001 | 移動通信三次元空間セル構成 | R3 | R6 |
◎ソフトバンク株式会社 |
目的とする干渉キャンセル性能が実験により確かめられていることは高く評価できる。ただ、実験的検証については、電波暗室でマルチパスもなく時変でないチャネルでの実施に留まっており、マルチパスフェージングの影響など、実環境下での動作制約に対する検討はなされていないので、これについては今後継続的に実施されることを望む。
論文投稿や特許申請数についてはまだ目標を満たしていないので、今後継続しての対処を望む。
周波数利用効率が8倍と表現しているが、スループットやチャネル数の異なるシステムを統合したときの周波数利用効率は単なる掛け算では表せない。単に数字を出すだけでなく、より適切な表現を工夫されたい。
衛星の与干渉キャンセラについては、技術的には妥当な成果が得られていると考えられる。衛星通信事業者側の協力をどのように取り付けるかが課題となろう。また三次元空間の電波伝搬モデル化に関しては、ドローンの周回ルートによる観測を提案している点は評価できる。なお、実験フィールドの制約が多い中、得られたKファクタ情報の価値は高いと考えられる。
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A |
02301 | 海中・水中IoTにおける無線通信技術の研究開発 | R3 | R6 |
◎国立大学法人九州工業大学 |
海中での無線通信としての基礎技術の確立と実用としての基礎検証はなされており、社会インフラの整備などへの波及効果も期待できるレベルになっている。短期間にこれだけの実験を行ったことは高く評価できる。海中通信は、近接通信や海面、海底などの複雑な信号伝搬現象など未知の部分も多く、今後とも学術的な探求の継続が必要であり、同時にこれを凌ぐ勢いでの応用ニーズの進展が見込まれる。軍事的な側面も多かった分野ではあるが、民生分野での活用がB5Gへ向けて飛躍的に進むことを期待したい。
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S |
パナソニック株式会社(〜R4.3)、パナソニックホールディングス株式会社(R4.4〜) | |||||
02401 | 完全ワイヤレス社会実現を目指したワイヤレス電力伝送の高周波化および通信との融合技術 | R3 | R6 |
◎ソフトバンク株式会社 |
電力伝送と通信を同時に行うという新しいアプローチに基づく研究課題である。4年間の研究開発により、高い変換効率を持つレクテナの開発に成功する等、当初計画に沿って一定の果実が得られていることは評価できる。
一方、電力伝送と通信を両立することができる実用的なシステムを構築するためには、技術的課題だけでなく、コストや電波法などの運用上のハードルをクリアする必要があると思われる。斬新な発想でこれらの課題に取り組んで社会実装を目指して欲しい。
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A |
国立大学法人京都大学 | |||||
学校法人金沢工業大学 | |||||
05501 | 低遅延・自律性を実現するフローティングサイバーフィジカルシステムと広域連携の研究開発 | R4 | R6 |
◎国立大学法人九州工業大学 |
新しい概念であるフローティングCPSのための技術の研究開発が進められ、プロトタイプ実装とそれを利用した国際共同実験を短い研究期間の中で実施している。計画に沿って研究開発が進められ、概ね計画通りの成果が得られている。研究経費に見合った成果は十分に得られているといえる。
各研究開発項目について目標を概ね達成している。特に日米間で連携が進められた点は評価できる。知財、外部発表についても十分な取り組みが行われた。研究成果の波及・普及に向けた取り組みは開始されているが、具体的な成果はこれからという段階にある。今後の展開に期待したい。
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A |
株式会社KDDI総合研究所 | |||||
05601 | City as a Serviceを支えるデジタルツインを持続可能な状態で自己成長させるエコシステム | R4 | R6 |
◎学校法人早稲田大学 |
City as a Serviceのための共創型デジタルツインの実現とエコシステムの確立のために、ゼロタッチに自己成長するIoTネットワークとIoTデータ信頼性保証技術の研究開発、プロトタイプ構築とフィールド実証が実施された。各研究開発項目で目標を達成しており、計画を上回る学術発表や知財出願も行われている。研究経費に見合った成果は十分に得られているといえる。
本課題では、学術論文や知的財産の創出件数が当初の目標を上回っており、研究目標の達成状況は概ね申し分ない。標準化についても目標を上回る標準化提案が行われており、評価できる。プロトタイプ構築と実証実験を通じて、「共創型」、「自己成長」、「ゼロタッチ」といった概念がわかりやすく示された。一方で、本課題の提案する概念を十分にアピールする説得力のある応用事例を示したとまではいえず、社会的なインパクトについてはやや明確ではない。DePINへの展開も検討されていることから、応用先を見極めながら、研究成果の展開に向けた取り組みを進められることを期待する。
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A |
学校法人芝浦工業大学 | |||||
学校法人片柳学園 東京工科大学 | |||||
株式会社ガイアックス | |||||
学校法人福岡大学 | |||||
05701 | 上空プラットフォームにおけるCPS を活用した動的エリア最適化技術 | R4 | R6 |
◎ソフトバンク株式会社 |
本研究開発の準備段階での研究をベースに研究計画が作成されたこともあって、着実かつ重要な研究計画が立案されており、価値ある研究成果が得られている。さらにはシミュレーションベースでは、当初の計画以上の研究成果も得られており、いずれも大変に有意義なものである。また、予定していた実証実験もほぼ計画通りに実施されている。それを反映して、査読つき論文数や国際会議などの一般口頭発表数、知財などもほぼ予定通りである。従って、十分に費用対効果が高い研究開発であると判断される。
上記のように当初計画された計画以上の研究成果が得られている。実証実験では、更なる検討が望まれる部分もあるが、シミュレーションベースでは当初計画を超える研究成果が得られている。本研究成果により、同一オペレータによる地上系ネットワークとHAPSとの、同一周波数を利用した連携は、システム全体の周波数利用効率の大幅な増大のみならず、ユーザの利用シーン拡大やネットワーク信頼性の大幅向上にも繋がるものと期待される。ただしその実現においては、経済性が成り立つ運用が不可欠であり、その点の克服も同時に考える必要があると思われる。
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A |
学校法人慶應義塾 | |||||
05801 | リアルタイム暗号技術とプライバシー保護への拡張 | R4 | R6 |
◎兵庫県公立大学法人 兵庫県立大学 |
本研究プロジェクトは、コア技術における学術的な貢献が確認されており、国際的にも高水準の成果を継続的に生み出した点で特筆される。特に、技術的成果のみならず、標準化や知財戦略、実用化に向けた基盤整備に至るまで多角的な進展が見られ、当初の期待を上回る結果を残した点は高く評価できる。研究体制の適切さや費用対効果、今後の波及可能性の観点からも非常に完成度の高い取り組みであった。一方で、本事業の目的である社会的インパクトの観点からは、現時点での実効性にはやや慎重な見方も残る。将来的な展開によってどのように社会実装が進み、広範な利活用につながっていくかが問われる局面にある。今後の継続的な発展に期待したい。
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S |
GMOサイバーセキュリティbyイエラエ株式会社 | |||||
05901 | 単原子長ゲートによる低環境負荷物質から成る高出力THz帯増幅器の創出 | R4 | R6 |
◎国立大学法人東北大学 |
2次元材料を使って新しい構造のトランジスタを実現するため、様々な要素技術を開発しながら前進した点、質の高い論文や学会発表を多く行っている点は評価できる。一方で、最終目標の高出力THz増幅器の実現には至らず、学術的および社会への波及効果という点でも目標を達成したとは言い難い。今後は当初目標の高出力THz増幅器を完成させ、他のTHz増幅器と比べた優位性を提示することを期待する。
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B |
国立研究開発法人産業技術総合研究所 | |||||
国立大学法人東京大学 | |||||
国立大学法人筑波大学 | |||||
国立大学法人広島大学 | |||||
06201 | 屋内CP空間連携に向けた先端半導体-メタサーフェス融合技術の実証実験 | R4 | R6 |
◎国立大学法人名古屋工業大学 |
課題に対して着実に検討が進められており、良い研究成果が認められる。実際、その成果はかなりレベルの高い学術論文誌に掲載されており、その成果が専門家からも高く評価されていることが窺える。また、当初計画以上の数の論文が発表されている。即ち、学術論文数だけで見れば、研究費に見合った成果が得られている。そのような良い研究成果が得られているにも関わらず、知的財産や標準化に関する目標は達成されていない。総合的に評価すると、費用対効果としては、非常に高いとは言い難い。
着実な研究が進められてきている。その結果として上記のように論文数は目標を達成している。但し、それ以外では目標を達成したとは言い難い。特に電気的特性に関しては目標に届いていない点が多い。加えて、知的財産の取り組みは僅かであり、標準化に関しては、全く取組がなされていないようである。レベルの高い論文誌に研究成果が発表されており、学術的なインパクトはあったと思われる。但し、他の分野や実用化への波及効果は限定的であろう。
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A |
国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学(~R4.9) | |||||
国立大学法人京都大学(R4.10~) | |||||
06301 | 会話AIエージェントとの高臨場感インタラクション体験実現のためのXR通信基盤の研究開発 | R4 | R6 |
◎株式会社エキュメノポリス |
会話AIエージェントとの高臨場感インタラクション体験のためのXR通信基盤の実現に向け、3つの研究項目(1.スケールアウト可能な会話AIエージェント・コンテナの開発、2. XR会話AIエージェントアプリケーションの開発、3.実証実験)に対して、適切な計画と体制で取り組み、十分な成果が得られている。特に実用化や普及に向けた実績は十分である。また、AIエージェントを用いたサービスにおける新たな評価指標を提案し、その評価に基づく体感サービスの改善まで実施されており、開発された技術は応用範囲も広く、国民生活の向上に資する二次的な成果をも生み出すものと期待される。
研究費を有効に使用して、基盤技術の確立だけでなく、社会実装や社会実験にまで到達しており、優れた成果が得られている。
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S |
06401 | 多重自律マイクロモビリティのためのハイパーデジタルツイン基盤 | R4 | R6 |
◎株式会社ハイパーデジタルツイン |
総合的に見て非常に優れた成果を挙げており、特に事業化に向けた取り組みが着実に進められている点は高く評価できる。NHKで紹介されるなど、社会的認知や波及効果も大きく、他の研究開発の手本となるような成功例として位置づけられる。一方で、社会実装に向けた契約ベースのビジネス展開が示されてはいるものの、ビジネスモデルとしての確立には今後の検討余地も残されている。そのため、スタートアップ支援などの政策的支援の活用を含めた継続的な発展が望まれる。全体としては、研究成果の質と費用対効果の面でも優れており、将来的な社会実装への展開にも大いに期待がもてる。
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S |
学校法人芝浦工業大学 | |||||
07101 | 大電力伝送光ファイバ無線による高効率無線通信システムの構築 | R4 | R6 |
◎学校法人慶應義塾 |
4波長・+36dBmの光強度による28GHz帯QPSK信号の4km伝送を実証し、高い技術達成度を示した点から、研究成果と費用対効果は十分と評価できる。また、実験設備や中空光ファイバの敷設といった基盤整備も進められ、当初目標は十分に達成された。
将来の有望技術である中空光ファイバの応用可能性が明確となり、今後は本技術が波及的に展開されることが期待される。さらに、ハイパワーPDや耐電力光コネクタ等の開発課題も明らかになっており、継続的な研究推進が望まれる。今後は、既成装置の限界を超えたシステム実証という更なる成果が期待される。
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S |
国立大学法人電気通信大学 | |||||
07201 | Beyond 5G基地局アレーアンテナ向けオールデジタルトランスミッタ回路技術の研究開発 | R4 | R6 |
◎富士通株式会社 |
本研究は、基地局フロントエンド部のトランスミッタ回路を実現するための、「オールデジタルトランスミッタ回路技術」の開発を目的に、電源変調型(EER)の検討を行った研究開発であり、当初目標に加えて研究開発過程での検討に基づいた技術開発を行った結果として、大幅な消費電力抑制が実現できたものと判断される。その点で研究開発に対する費用対効果は大きいと判断される。またFR3への対応が今後求められることを想定し、さらにミリ波帯送信機の高効率化をにらんだ有効な技術を開発したという点で高く評価できる。当初の目標を十分に満足させる研究成果が得られており、将来市場に対する波及効果も高いものと判断される。今後、本研究成果が、FR3やミリ波帯利用に向けた展開が重要と考えられるので、更なる研究開発の継続を期待する。なお、アレーの規模に依存し変わるであろうDPDの消費電力も加味した、フロントエンド部の総合的な消費電力抑制効果の精査は続けて欲しい。
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A |
07301 | 屋内環境における情報・電力伝送統合自営B5G/6Gの研究開発 | R4 | R6 |
◎国立大学法人電気通信大学 |
本研究課題では、次世代スマートファクトリの実現に向け、工場環境における無線情報通信と無線電力伝送の共存を可能にするための技術シーズの創出に向けた研究開発が行われた。最終的な実証実験も含めて、計画された研究開発項目のすべてについて期間内に完了する見込みである。各研究開発項目でのラボレベルの検証では研究開発目標を達成しており、概ね計画通りの成果が得られている。全体としては十分な研究成果であり、費用対効果は妥当であったと評価できる。ただし、特許出願や学術発表については不足しており、今後も継続的に取り組んでいただきたい。
スマートファクトリはB5Gで重要なユースケースであり、本研究開発の成果を様々な工場に投入できる技術としてパッケージ化できると、社会的なインパクトが大きい。実用化に向けた取り組みにも期待する。
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A |
株式会社山本金属製作所 | |||||
国立大学法人東京大学 | |||||
国立大学法人広島大学 | |||||
07401 | マイクロアクチュエータを用いたテラヘルツ帯コヒーレントトランシーバの開拓 | R4 | R6 |
◎国立大学法人東京工業大学(~R6.9)、国立大学法人東京科学大学(R6.10~) |
統合システムとしての動作確認に至っておらず、提案された技術の有効性の検証が成されていないのは残念である。
また、新しい技術の学術的価値や妥当性の議論については、ジャーナル論文投稿・査読を通じて専門家の評価を得ることが望ましいが、論文発表数が0であった点も期待外れである。
ベンチャー企業の設立に至った点は評価に値するが、シーズとしての価値が不明となる結末を回避する施策が必要であったと考える。
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B |
国立大学法人広島大学 | |||||
学校法人東京理科大学 | |||||
独立行政法人国立高等専門学校機構 徳山工業高等専門学校 | |||||
マクセル株式会社 | |||||
07801 | Beyond 5G 超大容量無線通信を支える空間多重光ネットワーク・ノード技術の研究開発 | R6 | ◎国立大学法人香川大学 |
本研究開発はマルチコア光ファイバを用いた光通信伝送技術の研究課題であり、前課題(採択番号:00201)におけるステージゲート評価ヒアリングでの指摘を踏まえて新たに追加された目標を達成するために適切な計画・実施体制で研究開発に取り組み、大学と複数の企業が密な連携をとりながら既存の試作品や研究設備を積極的に活用することで、当初想定されていた予算よりも少ない金額で追加の目標も含めて全て目標を達成することができている。研究成果、費用対効果ともに大変優れた取り組みであったと評価する。学術面・社会実装・標準化・知財などでの取り組みも適切に進められており、期待を超える高い成果が得られている。
本研究開発の成果は、ノード技術・リンク技術のみならず、空間光スイッチ、コアポートセレクタ、増幅技術など、サブシステム・デバイス技術にも亘っており、これらの実用化展開も大いに期待でき、今後のさらなる進展も期待できる成果が得られたと評価する。
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S |
株式会社KDDI総合研究所 | |||||
日本電気株式会社 | |||||
santec AOC株式会社 | |||||
古河電気工業株式会社 | |||||
07901 | 高速大容量データ転送を実現する革新的ハードウェア技術の研究開発 | R6 | ◎国立大学法人東京工業大学(〜R6.9)、国立大学法人東京科学大学(R6.10〜) |
本研究開発課題は、日本の強みであるマルチコアファイバ技術を活用することで、伝送速度400/800Gbps、サイズ1立方cm以下、消費電力5W以下という極めて厳しい仕様を満たす超小型・低消費電力光トランシーバの実現に成功し、対応インターフェースの開発およびスイッチ装置の動作実証にも至っており、研究成果として非常に高く評価できる。特に、当初計画からの予算削減を踏まえた上で、実施内容の厳選を行い、すべての数値目標を100%、あるいはそれ以上の達成度で満たしており、投入された研究費に見合う極めて高い費用対効果が得られたと判断される。特許出願数に加え、学術的成果も十分な水準に達しており、今後の更なる技術的・事業的展開も期待される。
また、評価の前提として本課題は令和6年度の1年間での活動に基づくものであるが、実質的には令和2年度からの5年間にわたり連続性をもって進められてきた経緯があり、内容も一貫している。結果として、全期間を通しても、また単年度として見ても、目標達成度、波及効果ともに高く、特にAI・機械学習の高度化に伴うデータセンタ内部のスイッチ高速化ニーズに応える重要な技術として、今後の国際的な実用化および波及が強く期待される。
以上より、本研究開発は、研究成果と費用対効果、目標達成状況と波及効果の両面において極めて優れており、全体として高く評価できる内容であった。
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S |
富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社 | |||||
古河電気工業株式会社 | |||||
古河ネットワークソリューション株式会社 | |||||
08301 | 行動変容と交通インフラの動的制御によるスマートな都市交通基盤技術の研究開発 | R6 | ◎国立大学法人東京大学 |
個々の研究そのものについては概ね達成されたと考える。一方で、多くの研究者で研究組織を構成していることもあり、組織全体としては最終目標に対する研究成果の到達に至らなかったと考える。多額の予算に基づく研究開発であったが、前課題(採択番号:01101)からの延長としての追加研究における成果に対して妥当な経費であったかについては、明確な判断が困難である。実用化、標準化、相互接続性等については、GTFSなど国際的なMaaSデータフォーマットをベースとしており、波及・普及に向けた取り組みがなされており、加えて一部の実証も進捗しており概ね満足できるものである。知的財産に関する取り組みは、Beyond 5Gを利用したIoT分野における、エッジとクラウド協調分散やセキュリティ強化に関する研究がなされた結果としての知財創出を期待していたが、十分とは言えなかった。長期的視点では、顕在化しつつある国民のモビリティ環境の悪化に対する改善を目的としており適切であると考えるが、本研究期間での具体的成果の発現は不十分であった。また、評価資料提出の不備について、遅延などの問題があった。
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B |
08401 | Beyond 5G通信インフラを高効率に構成するメトロアクセス光技術の研究開発 | R6 | ◎三菱電機株式会社 |
本研究は、幅広い研究課題を網羅する大規模なチーム体制の下で遂行され、最終的に動態デモを通じて達成率を100%に引き上げた点は高く評価できる。さらに、研究成果としての特許出願件数も十分であり、これらの成果を踏まえると、研究投資に対する費用対効果は良好であったと判断できる。一方で、目標達成状況自体には問題は見られないが、波及効果や社会実装の可能性については、現時点では明確な展望が見えにくい状況にある。今後は、既に出願済みの特許等を足掛かりに、研究の継続とともに社会実装に向けた具体的な展開を図り、その可能性を広く示していくことが期待される。
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A |
株式会社KDDI総合研究所 | |||||
国立研究開発法人産業技術総合研究所 | |||||
国立大学法人大阪大学 | |||||
公立大学法人大阪 大阪公立大学 |
<総合評価 S:非常に優れている、A:適切である、B:やや劣っている、C:劣っている>