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令和5年度委託研究中間評価 (延長判定) 結果 (概要) (注)

採択
番号
研究開発課題名 研究
期間
(年度)
受託者
(◎印:
代表研究者)
総合コメント 評価
22501 自動翻訳の精度向上のための「マルチモーダル情報の外部制御可能なモデリング」の研究開発

副題:マルチモーダル情報理解と制御可能なテキスト生成の研究開発
R3
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R5
◎国立大学法人東京工業大学
大規模言語モデルに関わる研究開発が世界的に急速に進展している中で、この内容とメンバーでの委託研究を実施していたことは先見の明があったと考えられる。研究代表者の的確な管理のもと、高い専門性と実績をもつメンバーが研究開発を着実に行っている。
目標の達成状況は、中間目標を超えるペースでコーパス開発が進んでいる。挑戦的な内容の研究では、当初の予想を超える成果もあげている。大規模言語モデルに関わる様々な研究開発は社会的なインパクトが極めて大きく、その中でも本課題は重要な位置付けとなっている。
大規模言語モデルをコーパス開発に利用するなど、研究計画の内容と進め方を柔軟に変更し、より効果的に最終目標を達成できるようにしている点も高く評価できる。
課題の進捗は極めて順調であり、未来に向けての挑戦的な研究開発として、総合評価はS判定とする。
S
国立大学法人東京大学
国立大学法人愛媛大学
国立大学法人一橋大学
日本放送協会
株式会社時事通信社
22601 データ利活用等のデジタル化の推進による社会課題・地域課題解決のための実証型研究開発

副題:画像解析による種鶏・原種鶏の初生雛雌雄選別の実証型研究
R4
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R5
◎有限会社電マーク
研究開発の実施は、識別手法、データセット、撮影方法などの様々な側面から適切に検討が進められている。カメラユニットの開発は遅れているが、市販のカメラと運用上の工夫によって対応する計画に変更している。全体の装置の低コスト化に向けた方向性とも一致しており、計画の変更は問題ないと考えられる。全体として、投入した研究経費に見合った成果が得られている。
画像を取得する方法の工夫やモデルの精度向上などによって、当初の目標としていた識別精度を実現できる見込みが得られている。実用化に向けて、運用に関する知見やノウハウの蓄積が進んでいる。他の養鶏種への適用や海外への展開についても検討されており、波及効果が期待できる。
今後の計画として、市販のカメラと運用上の工夫による開発への変更は妥当であり、変更後の計画による目標の達成は可能であると考えられる。実施体制についても、代表研究者と熊本県、広島大学との連携と分担には問題がなく、変更後の体制は適切であると考えられる。
A
熊本県農業研究センター
国立大学法人広島大学
歯っぴー株式会社
22602 データ利活用等のデジタル化の推進による社会課題・地域課題解決のための実証型研究開発

副題:ブルーカーボン貯留量の自動計測システムの開発による漁村の脱炭素・収益向上に向けた取り組み
R4
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R5
◎独立行政法人国立高等専門学校機構 鳥羽商船高等専門学校
脱炭素社会の実現に向けた取り組みとして、藻場の画像から炭素貯留量を推定する技術は重要であり、また J ブルークレジットに関する社会的な関心も高まっている。体制は、役割分担と連携が適切に管理されている。投入した研究経費に見合った成果が得られている。
目標は、概ね達成できている。船舶搭載型カメラによるプロトタイプの開発など、概ね計画どおりの進捗である。ジャパンブルーエコノミー技術研究組合 (JBE) と情報交換しながら進めている点も評価できる。
デバイス開発は低コスト化を意識して検討する予定である。水中ドローンによる画像取得の実現性や画像から炭素貯留量を推定する方法の見直しなどを行う予定である。一方で、学術的に興味深い新たな現象の発見にもつながっており、こうした側面からの成果にも期待したい。
A
国立大学法人三重大学
三重県水産研究所
鳥羽市
KDDI株式会社
株式会社KDDI総合研究所
22603 データ利活用等のデジタル化の推進による社会課題・地域課題解決のための実証型研究開発

副題:地域農業従事者の業務をスマート化し収益性を高める農業DXのための農業支援AIの研究開発
R4
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R5
◎スタンシステム株式会社
研究項目を絞って重点項目を設定して進めており、概ね問題ない進捗状況である。投入した研究経費に見合った成果が得られている。
概ね目標は達成されている。要素技術を組み合わせて実証実験を行う中で、技術の統合に伴う課題が明らかになり、その解決が普及につながるはずである。
実用化に向けて、耐久性やコストなどの検討が進むことに期待したい。ドローンなどの研究項目については後半に進める計画であり、個々の研究項目についても進展が見込まれる。
A
徳島県立農林水産総合技術支援センター
22604 データ利活用等のデジタル化の推進による社会課題・地域課題解決のための実証型研究開発

副題:想定外災害発生時に必要な即興的対応能力創発型教育訓練シナリオの検討及び実証試験の実施
R4
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R5
◎国立大学法人香川大学
研究開発は概ね順調に進んでおり、香川、徳島、高知と拡大の計画がある。経費に見合った成果が得られている。
目標は十分に達成されつつある。防災のための取り組みであり、地域との連携の中での今後の展開に期待したい。
実証実験によって多地域に展開するための課題が明らかになり、その解決が普及につながるはずである。
最終目標にある「自律的行動が自発的秩序形成を創発する過程を見える化」したいという方向性は大切にしつつ、想定外の事態に対する対応能力の訓練システムとしての早期の展開に期待したい。
A
国立大学法人徳島大学
22605 データ利活用等のデジタル化の推進による社会課題・地域課題解決のための実証型研究開発

副題:地域防災のための多地点微小気圧変動計測パッケージの標準化と都市近郊・中山間部における市民協力型実証実験
R4
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R5
◎高知県公立大学法人高知工科大学
良く較正されたセンサを多地点の観測に展開しようとしており、高知県、北海道、福岡市での実証実験の体制が整いつつある。研究経費に見合った成果が得られていると判断できる。
目標は十分に達成されている。地域の防災につながる可能性をもっており、アンケート調査によって得られた地域の期待と実際に技術的に可能なことをうまく結びつけていただきたい。
多地点の微小気圧変動の観測が本格化するにつれて、当初の計画に含まれていなかったような成果が得られる可能性がある。実証実験の対象地域によって異なるニーズにも対応しながら、技術の特長を活かすことで、全体として着実に進展していくことが期待できる。
A
国立研究開発法人産業技術総合研究所
国立大学法人九州大学
学校法人電子開発学園 北海道情報大学
22606 データ利活用等のデジタル化の推進による社会課題・地域課題解決のための実証型研究開発

副題:誰でも利用できる非接触WEB体力・脳力測定システム開発による自治体と連携した健康事業参加者のすそ野拡大
R4
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R5
◎学校法人関西医科大学
参加者の健康意識を高めるためには、医学的裏付けを持つ、健康増進に確かに役立つ情報をフィードバックしなければ意味はない。代表研究責任者は循環器系であるが、脈拍の計測ができていない点は問題であり、SpO2など接触系も検討する必要がある。一方、運動器系はリハビリテーション専門医あるいは技師の参加が望ましい。ふらつきなど神経系では神経内科医、認知症では認知症の専門医の参加が望ましい。運動、認知、神経系、体力等の相対的評価、絶対的評価が確立できることが重要である。また、精度管理を適切に行うこと、従来方法との相関、優位性などについて明示する必要もある。
これらを踏まえて、どのような情報をフィードバックすれば、「参加者の健康意識が高まるのか」、改めて熟考する必要があるのではないか。
B
コガソフトウェア株式会社
22607 データ利活用等のデジタル化の推進による社会課題・地域課題解決のための実証型研究開発

副題:地域コミュニティのスーパーキャンパス化を支える柔軟なモビリティシェアシステムの開発とその利便性・公平性の実証評価
R4
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R5
◎国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学
研究開発の進捗についてはある程度達成されていると評価できる一方で、本研究開発の意義については今後のデータ分析および評価による。現時点ではあくまでもインフラがある程度整った状況と考えられ、本研究開発自体の評価を現時点で決定づけることは適切ではなく、今後のオークションメカニズムのモデル化等、研究開発自体の進捗はさらなる改善が望まれる。実験から得られるデータを利活用し、カーシェアリングシステムにおいてユーザ間の要求をどう制御、調整できるのかという観点での、学術的、理論的貢献が望まれる。実施体制において、研究代表者が実証実験を行うNAISTから遠い信州大学に異動となっている点は懸念される。理論面、そして学術面で貢献していただけるよう、研究代表者ならびにNAISTの研究者との連携について十分に検討を進めていただきたい。
A
22608 データ利活用等のデジタル化の推進による社会課題・地域課題解決のための実証型研究開発

副題:街の未来を共視する~住民・自治体・事業者のトリプレット共創型デジタルツイン~
R4
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R5
◎国立大学法人大阪大学
本中間評価までの実質的な研究期間が9ヶ月程度という非常に短い期間であるにも関わらず、各項目の実験成果および研究成果を着実に挙げ、目標を達成している。また、実証実験に向けて自治体を巻き込んで着実に準備を進め、自治体職員、市民等にも分かりやすい人流可視化システムが構築できている点について、高く評価できる。予算規模からみてトリプレット共創をビジネス化するところまでは難しいであろうが、実証実験を通してその可能性をみせるところまでは期待できる。トリプレット共創を通じた今後の社会課題解決にも期待が高い。また、これまでの研究代表者の実績をみても継続して本課題に取り組むことで成果を挙げてくれることを期待する。継続して実施することが望ましい。
A
株式会社HULIX
22609 データ利活用等のデジタル化の推進による社会課題・地域課題解決のための実証型研究開発

副題:データ・サステナビリティのための実世界データ醸造基盤
R4
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R5
◎国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学
移動データの分類と各分類に対するスキーマの検討に関しては、当初の網羅的な分類を目指す方向から、ChatGPTを使った、データからスキーマを取り出すという、網羅とは対照的な方向で研究が進められており、当初の目標との整合性について検討が必要である。一方で、モビリティデータやIoTの分野は我が国が競争力を有している分野であり、関連するデータの課題へのアプローチとして本研究は独自の視点での切込みがあり、オープンソースなどの形での社会貢献も期待できる。しかしながら、コンセプト自体は興味深いが、現在のクラウドストレージサービスや、既存の類似技術との関係が明確ではなく、社会実装についてまだあまり考えられていないように見受けられ、広く社会に受け入れられるように醸造酵母のインタフェースのオープン化、わかりやすいシステムの説明、既存システムとの連携など、対応が必要である。こうした点に十分に配慮しつつ、研究開発を継続することが望ましいものと考える。
A
株式会社ExData
特定非営利活動法人位置情報サービス研究機構
22610 データ利活用等のデジタル化の推進による社会課題・地域課題解決のための実証型研究開発

副題:細粒度ごみ排出量データを活用した地域ごみ管理・収集・減量のデジタル推進基盤「ごみゼロ湘南」の研究開発
R4
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R5
◎学校法人慶應義塾 慶應義塾大学
ほぼ計画通りに研究開発は実施され、目標も対外発表が目標に到達していない部分もあるが、概ね達成されている。なお、ごみ排出量データを収集するところまでは、十分な成果が出ている。今後、収集したごみ排出量データを元に、その減量などに資するサービスの社会実装を目指し、研究実施協力者やビジネスプロデューサーとの連携を強化し、自走可能で横展開可能な社会実装とするよう努力していただきたい。
世界的にみても普遍的な課題に関する研究であり、実施していく意義は大きい。単体完結的なシステムとしての進捗は良好であるが、社会基盤にどのように組み入れていくかという点については検討が必要である。
A
学校法人廣池学園 麗澤大学
22701 持続性の高い行動支援のための次世代IoTデータ利活用技術の研究開発

副題:次世代マルチモーダルIoTデータによる行動ナビゲーションを想定した、事象変化に即応可能な時空間行動リスク予測・最適化技術の研究開発
R4
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R5
◎株式会社KDDI総合研究所
計画の進捗は十分であり、その成果も着実に出つつあると考えられる。また、計画・実施体制も適切である。継続により大きな成果が期待でき、費用対効果も高いと思われる。
中間時点までの目標はクリアできており、今後さらに発展していくことが期待される。専門委員、評価委員から出たさまざまな意見を意欲的に取り込む姿勢も見られ、この点でも評価できる。
今後は論文出版や実証実験について目標のハードルが上がるが、これまでの実施内容からそれらをクリアしていけるものと考える。最終的な目標達成に向けて、今後の成果を期待する。
S
22801 次世代BMIシステムの応用実現のための基盤技術の研究開発

副題:多点高密度神経電極とUWB大容量高信頼無線を用いた次世代BMIの研究開発
R4
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R5
◎国立大学法人大阪大学
使えるBMIのための要素技術の開発は、着実に進んでいる。充実した実施体制のもと、多くの成果が期待される内容であり、中間目標は順調に達成されている。これまでのBMI研究でも、要素技術の開発には多くの成果が得られてきたが、これを統合して実用化に結び付けるところに大きな壁があった。少しでもこの壁を乗り越えるブレイクスルーを示してほしい。そのために、モデル動物を有効に使ったBMIの実用化モデルを示すというやり方もあるのではないだろうか。
S
一般社団法人YRP国際連携研究所
<評価 S:非常に優れている、A:適切である、B:やや劣っている、C:劣っている>

(注)本中間評価結果を踏まえ、採択番号22601~22605、22607~22610、22701は令和6年度まで、採択番号22501、22801は令和7年度まで契約を延長することとした。
また、採択番号22606は令和5年度で研究開発を終了とすることとした。