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1. 制度について

本制度は、基盤技術研究円滑化法(昭和60年法律第65号)に基づき、民間における基盤技術研究を促進するため、広く民間企業等から研究開発課題を公募し、その中から優れた案件を選び出して委託契約を結び、研究開発の委託を行うものです(平成22年度より新規公募を停止)。

2. 制度の概要

◎制度の特徴
  • 情報通信分野の基盤技術(注)研究を促進させるため、広く民間企業等から研究開発課題を公募
  • 委託による研究開発を戦略的かつ効果的に促進
  • 特許などの知的財産権は、日本版バイ・ドール規定(産業技術力強化法第17条)により、受託者に100%帰属
  • 事業化等による収益または売上の一部を国立研究開発法人情報通信研究機構(以下「NICT」という。)に納付
(注)基盤技術とは、国民経済及び国民生活の基盤の強化に相当程度寄与するものであって、当該技術の影響度(性能・生産性の向上に与えるインパクトの大きさ)と波及性(利用分野の広がり)との積が相当程度大きい技術を指します。

◎対象となる研究開発課題
情報通信分野における基盤技術研究のうち、民間のみでは実施が困難なリスクの高い研究開発であり、電気通信業及び放送業の技術その他電気通信に係る電波の利用技術に関する研究開発課題。

◎応募資格
企業等(ただし、国公立機関、特殊法人、独立行政法人等の政府機関及び私立大学等の学校法人は除く。)

3. 仕組み

1. 研究開発課題の公募から採択まで
NICTは、対象となる研究開発課題を公募し、応募のあった案件について外部の専門家及び有識者等で構成される「民間基盤型評価委員会」(以下「評価委員会」という。)にて評価を行い、その結果に基づき優れた案件を採択します。
2. 研究開発の実施について
委託先として選定された企業等は、委託業務の内容等、必要事項を記載した委託契約書を締結し、委託業務実施計画書に従って研究開発を実施します。
3. 研究の評価について
NICTは、受託者の研究進捗状況に基づき、継続のための審査を行い、妥当と認めた場合、次年度の契約を締結します(研究開発期間により、評価委員会による中間評価を実施)。また、研究開発期間終了後、評価委員会は、研究開発全体の評価(事後評価)を行います。
4. 研究の終了後について
受託者は、委託研究の終了後も引き続き当該研究開発から生じる成果の活用状況及び事業化状況等をNICTに報告します。NICTは必要に応じて追跡調査を実施します。
5. 売上(収益)納付について
受託者は、売上(収益)納付契約に基づき、研究開発期間中及び終了後10~15年の間、本研究開発により生じた売上(収益)の一部をNICTに納付します。
基盤制度の仕組み図

4. 制度の変遷等

年度
委託期間、委託費等
 H13
(2001)
 ○民間基盤技術研究促進制度(「一般型」)開始

 ・研究期間:5年以内
 ・委託費:特段の定めなし 
 H17
(2005)
 「一般型」 ○「地域中小企業・ベンチャー重点支援型 」制度の開始

 ・応募資格:企業の場合、資本金3億円以下又は
       設立後5年以内
 ・研究期間:2年以内
 ・委託費:年間4千万円から2億円の間
 H20
(2008)
○「一般型」「地域中小企業・ベンチャー重点支援型」を統合

 ・研究期間:2年以内
 ・委託費:年間2億円以下
※平成22年度より、新規公募を停止しています。

5. 応募件数・採択件数

年度別応募件数/採択件数
年度 種別 応募件数 採択件数 備考
平成13年度 36 11  
平成14年度 38 12  
平成15年度 40 6  
平成16年度 27 8(-1)  
平成17年度 一般型 20 4  
重点型 22(-1) 3  
平成18年度 一般型 10(-1) 2  
重点型 35 6  
平成19年度 一般型 10(-1) 1  
重点型1回目 16 1  
重点型2回目 30 1  
平成20年度 39 4(-1)  
平成21年度 41 3  
※カッコ内の数字は、辞退件数

6. 売上(収益)納付額及び繰越欠損金の推移

民間基盤技術研究開発促進制度は、財政投融資特別会計(投資勘定)からの出資を受けて、民間のみでは実施困難なリスクの高い研究開発課題への研究委託を行う制度であり、その業務は特別の勘定(基盤技術研究促進勘定)を設けて区分経理されています。当初の研究委託による費用は、後日の売上納付による収益が上がるまで、毎年度の当該勘定の損益を計算した上で、累積の繰越欠損金として整理されます。
(単位:百万円)
年度 売上(収益)納付額 繰越欠損金
平成23年度 35 57,428
平成24年度 51 57,410
平成25年度 53 57,390
平成26年度 27 57,389
平成27年度 24 57,380
平成28年度 21 57,369
平成29年度 31 57,346
平成30年度 31 57,306
令和元年度 23 57,275
令和2年度 22 57,244
令和3年度 19 57,232
令和4年度 16 57,224

7. 研究成果の分類マップ

研究成果の分類マップ

8. 事業の実施状況について

 これまでの事業の実施状況に関して、過去の委託研究における令和3年3月までの売上納付の納付状況について事実関係を調査しました。
 調査の結果、実績額と計画額に乖離が生じている理由を分類すると、以下のとおりです。
 事業化断念      57.6%
 競合製品の価格優位      16.9%
 新技術の台頭         10.2%
 不況・災害           10.2%
 市場の未成熟           3.4%
 競合技術の標準規格化       3.4%
 その他             13.6%
 売上低迷・減少     28.8%
 成熟市場への参入不振      10.2%
 新技術の台頭          10.2%
 競合製品の価格優位        3.4%
 技術の陳腐化           5.1%
 事業継続断念     13.6%
 新技術の台頭           8.5%
 競合製品の価格優位        1.7%
 市場の未成熟           1.7%
 事業継続環境の悪化        1.7%
     計        100.0%
    計           100.0%
事業化断念  :開発技術を使った製品・サービスを市場に投入する前に、
        事業化が困難若しくは事業継続するだけの利益を出すことが
        困難との経営判断により、事業化を断念したもの
売上低迷・減少 :開発技術を使った製品・サービスを市場に投入したが、販売が
        伸びず売上が低調のまま推移、若しくは売上が減少
している
        状態であるもの
事業継続断念 :開発技術を使った製品・サービスを市場に投入したが、途中で
        事業継続できるだけの利益を出すことが困難との
経営判断により、
        事業の継続を断念したもの
 今後も契約が継続している事業の実施状況について、引き続き検証・分析を進めてまいります。

更新日:2023年10月16日

お問合せ

国立研究開発法人情報通信研究機構
デプロイメント推進部門 事業・技術研究振興室

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