NICT発技術で現場の課題を解決
IR-UWBを利用した自律走行システム
~地図作成を必要としない簡便なAMRを提供~
IR-UWBを利用した自律走行システムの特徴
製造・物流現場などでは、労働力不足の解消・生産性の向上などのために、自律走行搬送ロボット(Autonomous Mobile Robot : AMR)への期待が高まっています。NICTでは、高精度な距離計測が可能なインパルス型超広帯域無線(IR-UWB)を利用したAMRの自律走行技術に関する研究開発を行っています。この技術では、目標地点に設置したIR-UWB端末とAMRに搭載した2台のIR-UWB端末との距離がリアルタイムに計測され、その結果に基づいて、AMRは目標地点に向けて連続自動走行を行います。この技術を用いた自律走行システムは以下の特徴を有しています。
- 従来のAMRでは事前に対象エリアの地図作成や座標標定作業を行うことが必要でしたが、これらの事前準備作業を必要としない簡便なAMRを提供します。
- そのため、レイアウト変更が頻繁に行われるような現場に適しています。
- さらに、IR-UWBは測距と同時に通信が可能なため、AMRが観測した各種センシング情報や動画をリアルタイムにモニタできます。
- 作業員等の移動体を自動的に追尾するAMRに適用することも可能です。
IR-UWBを利用した自律走行システムのユースケース
多品種少量生産の対応のためにレイアウト変更を定期的に行っている工場など、地図作成などの事前準備作業を行うことなく特定の複数のエリアを巡回してモノを搬送するためのAMRを簡便に導入したい現場には、IR-UWBを利用した自律走行システムの適用が有効となります。例えば、工場における部品等のエリア間搬送、物流倉庫における商品等のエリア間搬送、病院における薬剤等のエリア間搬送、工場等における巡回監視・環境モニタなどへの適用が想定されます。
IR-UWBを利用した自律走行システムの技術概要
3点測位では3台以上の基準端末を用いて移動する対象物を測位する方法が一般的ですが、対象空間の地図及び基準端末の座標標定を事前に行う必要があります。NICTが研究開発を行っている自律走行システムでは、AMRに2台の移動端末を搭載し、その間の距離(d)と回転中心からの鉛直距離(h)、目標端末との距離(r1、r2)を用いて、目標地点の方向角(θ)と距離(R)を計算します。したがって、事前情報として必要になるのはAMRに搭載している2台の移動端末間の距離(d)と回転中心からの鉛直距離(h)のみであり、対象空間の地図や基準端末を必要としません。さらに、NICTが研究開発を行っているIR-UWBでは、受信機の検波回路で用いる検波閾値を受信信号強度に応じてアダプティブに変化させる方法を適用することにより、受信感度を6dB以上改善しています。(関連情報(1)(2)より引用)