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令和2年度委託研究中間評価 (延長判定) 結果 (概要)  (注)
採択
番号
研究開発課題名 研究
期間
(年度)
受託者
(◎印:
代表研究者)
総合コメント 評価
202A01 超長期セキュア秘密分散保管システム技術の研究開発
課題A 物理乱数源の研究開発

副題:秘密分散の基盤となる小型・高速・安全な物理乱数源の開発とシステム総合評価
H30
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R2
◎株式会社ワイ・デー・ケー
本テーマは小型・高速・安全な乱数源を提供することを目的に物理乱数チップ、物理乱数ドングル、高速物理乱数生成装置の3種の乱数源を開発している。人員の配置、NICTとの連携など実施体制には問題がない。高度な技術開発を伴い、また新型コロナウィルスの感染拡大による開発環境が悪化したにもかかわらず、3種の実施形態の全てのプロトタイプを完成させたことを高く評価したい。現プロトタイプの課題も整理され検討が進められているので計画時の目標以上のものが達成されることが期待できる。使いやすく安全な乱数源はICTの基本であり、本研究開発の成果は社会に波及していくものと思われる。
今後は社会実装・製品化に向けて、応用側との連携を期待する。一般的なインターフェースを採用したことによって接続性が向上したことは評価できる。発熱対策などを行いさらに可用性を高め、一方で、物理的攻撃、インターフェースを介した攻撃、その他のサイドチャネル攻撃などの対策を充実して総合的な安全性を高めてもらいたい。本研究開発の成果である小型・高速・安全な乱数源はデジタル社会の基盤ともなるものであり今後の発展と普及に期待する。
A
20301 マルチコアファイバの実用化加速に向けた研究開発

副題:標準クラッド径マルチコアファイバ伝送路技術の確立
H30
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R2
◎日本電信電話株式会社
まずは低損失、高信頼なMCFの製造技術、ケーブル化技術、そして実用化に向けた標準化などの周辺技術に関して、NICTの取りまとめの元参画機関が競争的、協調的に連携して一定の成果を上げており、それに向けた計画や実施体制は問題無く、費用対効果も問題ないと考えられる。
ファイバベンダー3社それぞれの独自技術の開発によるMCF製造技術やケーブル化による低クロストーク、互接続技術の実証、標準化への道筋などは、年度末で当初目標を超える達成度であり、今後のより実用化に向けての基本的な技術的課題を解決したものであり、その波及効果は大きい。
今後はMCFにおける日本の先導性を世界的に進展させるべく、早期の実用化への道筋を明確に付ける段階であり、それに向けてのより具体的戦略や目標、実施計画の立案に期待したい。その点で、ファイバベンダー3社のそれぞれの技術が性能、コストなどの点で競争力を持って生き残ることが重要で有り、低コスト化量産技術の確立、MCFを用いたテストベッド化や大容量伝送フィールドテストの積極的な実施、それらの成果の広報や標準化による世界的有意性の展開、さらに可能ならデファクト化導入など、出来るだけ早期の実用化を成し遂げるべく積極的な展開を期待したい。
S
株式会社KDDI総合研究所
住友電気工業株式会社
株式会社フジクラ
古河電気工業株式会社
20401 超並列型光ネットワーク基盤技術の研究開発

副題:大規模データを省電力・オープン・伸縮自在に収容する超並列処理光技術
H30
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R2
◎三菱電機株式会社
世界をリードする超並列型の光ネットワーク基盤技術の実現を目指して、具体的かつ極めて挑戦的な数値目標を掲げた研究であり、新規性・独創性に優れた研究計画である。実施組織、要員も適正であり効率的かつ着実な進捗が、費用対効果の面でも認められる。研究成果の社会展開により日本の産業・経済活動の活性化、国民生活の質向上に大きな貢献が期待できる。これまでの成果として、外部発表などの学術的な成果は十分であるが、知的財産への取組などは今後もさらに積極的に実施することが求められる。また、DSP高度化への取り組みは、既に実用化を念頭に進める段階まで進んでおり、その加速が大いに期待される。残り1年の研究課題ではあるが、これまでの研究成果、実施計画を勘案するに十分な最終成果と社会実装に向けた取り組みが実施されると判断される。よって、総合的にも高い評価(A)であり、さらに本研究の継続は妥当であると判断される
A
国立研究開発法人産業技術総合研究所
株式会社KDDI総合研究所
国立大学法人香川大学
学校法人慶應義塾
20501 高スループット・高稼働な通信を提供する順応型光ネットワーク技術の研究開発

副題:順応的に高スループット・高可用性を提供する光ネットワーク技術の開発
H30
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R2
◎富士通株式会社
計画・実施体制に問題はなく、費用対効果も十分である。目標も概ね達成しており、優れた成果が得られている。両社とも2023年頃の製品化を目指しており、大きな波及効果が期待できる。以上より、本研究課題の継続は妥当と判断する。
A
日本電気株式会社
20601 5G・Beyond 5Gの多様なサービスに対応する有線・無線アクセスネットワークのプラットフォーム技術の研究開発

副題:5G・Beyond 5Gの多様なサービスに対応する有線・無線アクセスネットワークの仮想化とエッジクラウド基盤技術の研究開発
H30
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R2
◎富士通株式会社
第1期については、目標を達成しており、十分な成果が上がっていると判断される。
計画・実施体制・費用対効果は、第1期としては問題ない。
目標の達成や波及効果は、第1期としては問題ない。
現時点は5Gの時代であり、さらにBeyond 5Gの時代へと進んでいるので、Beyond 5Gまで見据えた波及効果を狙ってほしい。
以上の観点から、第2期の目標や実施計画策定においては、第1期の成果に基づいて、核技術をBeyond 5G対応にするためにはどれだけの課題があるのかを明示するとともに、Beyond 5Gに対応できる技術開発を行うべく第2期の実施計画を策定し、プロジェクトを遂行していただきたい。
A
国立大学法人福井大学
20701 Beyond 5Gに向けたモバイル収容 大容量光アクセスインフラの研究開発

副題:Radio-over-Fiber 型伝送技術をベースとするBeyond 5G モバイルフロントホールの研究開発
H30
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R2
◎株式会社KDDI総合研究所
計画・実施体制に問題はなく、費用対効果も十分である。また、当初中間目標を概ね達成しており、波及効果も出始めている。以上より、本研究課題を継続して最終目標の実現へ向けて努力頂きたい。
A
三菱電機株式会社
国立大学法人東北大学
20901 BMIオープンイノベーションのための脳活動マルチモーダル計測データの解析とその応用技術の研究開発

副題:Ready-to-Use非侵襲高パフォーマンスBMIのためのキャップ型脳波-脳磁図同時計測法と脳モデルと人工知能を用いたデータ生成技術の開発
H30
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R2
◎株式会社国際電気通信基礎技術研究所
総合的には優れた進捗が確認できた。キャップ型脳波-脳磁図同時計測法についてハードウェアの確立にトラブルがあったものの、環境磁場をキャンセルする手法が確立され、OPMを利用した実験が可能になっている。Ready-to-useなBMIの作成技術に関しては高い成果が得られている。視覚認知以外のBMIモダリティに対する汎用性、ならびにNICTの自主研究との連携を考慮に入れて、皮質脳波を推定することで得られる技術的革新の可能性・範囲について今後の研究の推進を望みたい。脳波-脳磁図同時計測データと開発したアルゴリズムを実装したソースコードがすでに公開されており、今後の成果も随時公開が進むことは間違いない。最近はプリプリントサーバーやGitHubなどでのソフトウエア公開は必須となっており、従来からの範囲を超える広報活動を行うことがますます重要である。例えば、提供するソフトウエアでデータを解析して結果をわかりやすく解説するビデオなどを順次公開し、何ができるのかなど、解析方法や得られる結果の特徴をわかりやすく可視化することが有効であると思われる。大学院や学部学生が理解できるチュートリアルな解説が適切かもしれない。最終評価においても公開資料は重要であるので、積極的にデータやソフトウエアの作成と公開を推奨したい。  ハイインパクトジャーナルへの論文掲載など素晴らしい研究成果が得られているが、当初計画にある「2020年内に脳波・脳磁場の同時計測まで到達」する目標について現状では未達成であるので評価はAとする。今後も研究を継続・発展することが望まれる。
A
<評価 S:非常に優れている、A:適切である、B:やや劣っている、C:劣っている>

(注)本中間評価結果を踏まえ、採択番号202A01、20301、20601、20901は令和4年度まで、採択番号20401、20501、20701は令和3年度まで契約を延長することとした。