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令和6年度委託研究中間評価(延長判定)結果(概要)(注1)

採択
番号
研究開発課題名 研究
期間
(年度)
受託者
(◎印:
代表研究者)
総合コメント 評価
23101 無線環境管理のための無線環境評価手法の研究開発

副題:利用者の無線知識レベルに応じた無線環境モニタリングシステムの研究開発
R5
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R6
◎サンリツオートメイシヨン株式会社
本研究の最終目標は、「ユーザの知識レベルにあわせて、センシングした結果検出された無線障害に対する障害理由や対応方法を適切に提示する」、ということであり、その目的は、重要性が非常に高いものと判断される。ただ、本研究が、NICTの推進しているフレキシブル・ファクトリー・プロジェクト(FFPJ)と関係したプロジェクトであるものの、それに対して本プロジェクトがどのような位置づけにあるのかが、中間評価のプレゼンテーションにおいては、適切に説明がなされなかった。またそのプレゼンテーション内容から判断すると、受託者自身が、研究を主体的に進めている印象が薄いこと、また、本研究開発の最終目標実現に向けて非常に重要な内容である課題が先送りされていることから、継続するのであれば、プロジェクトオフィサーからの適切なアドバイスにより、これらに適切に対処できるように研究計画を再構成することが必要であると判断した。
さらに研究分担者の構造計画研究所も、今回の説明を分担してより評価者が理解ができる内容となるよう注力すべきである。発表においては、スライドにおいて解像度が低い図は利用すべきではなく、略語もフルスペルを表示すべきである。このような、報告書やそれに係るプレゼンテーションにおける基本事項ができていない点は大きな問題である。さらに、無線LANでは新規格を次々と策定しているため、それらを考慮した柔軟性の高いSRF無線PFとなるように検討をしていただきたい。
以上の問題点は重要な課題であるものの、プロジェクトオフィサーが、今後一層本プロジェクトに対し、研究開発の視点からの推進をしっかりと管理するという強い意志が認められたことから、本件については、委託先に対して研究計画の抜本的見直しを依頼し、複数回のやり取りの後、研究開発という視点での研究計画書に改定された。以上をもって本委託研究については、今後、プロジェクトオフィサーのこれまで以上の指導により、改定された研究計画を着実に実施することを条件として、継続可という評価とする。
A
(注2)
株式会社構造計画研究所
23301 データ利活用等のデジタル化の推進による社会課題・地域課題解決のための実証型研究開発(第2回)

副題:ドローンによるダウンウォッシュを活用したスマートイチゴ栽培管理手法
R5
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R6
◎国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
ドローンの飛行に伴う下向きの風(ダウンウォッシュ)を用いてイチゴの受粉を行う試みは、新規性が高い。ドローンの機能に起因して遅れているものの、他の部分は進展しており、全体として問題ない。ドローンによるイチゴ受粉は、ミツバチによる受粉との差があるものの、今後の改善を期待したい。
実用化に向けたノウハウの蓄積も進んでおり、普及に向けた取り組みも行われている。特許の取得が可能な技術項目については、積極的に進めていただきたい。実施体制として、農研機構を中心として、大学、高専、県の農業技術センター、ドローンを扱う企業の連携体制で進めており、イチゴ農園の協力も得られる見込みであり、問題ない。
ドローンは技術革新が早く、自己位置推定と環境地図作成(SLAM)に関連する情報は得られにくいという状況を踏まえて、現実的な対応が求められる。利用環境の制約や時系列情報の利用などによる解決方法を追求する以外にも、外部装置を装着するなど、柔軟な対応が望まれる。
A
国立大学法人岡山大学
独立行政法人国立高等専門学校機構 阿南工業高等専門学校
徳島県立農林水産総合技術支援センター
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
株式会社NTTドコモ
23302 データ利活用等のデジタル化の推進による社会課題・地域課題解決のための実証型研究開発(第2回)

副題:鶏舎環境モニタリングコントロールシステムの実証型研究開発
R5
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R6
◎国立大学法人岩手大学
研究開発の進捗状況は、開始からの期間を考えれば、良好である。研究計画は研究項目が多く、それらの独立性が高いため連携に留意することが必要である。
センサデバイスと環境制御に関する研究項目については、着実な進展が期待できる。機械学習モデルによる予測の研究項目では、収集済みのデータを含めた現実的な改善が望まれる。通信に関連した項目では、既存技術の製品を使っているというだけでなく、鶏舎環境モニタリングに対応した取り組みが望まれる。
センサー単体の開発だけでなく、実用化段階で必要となる総合的なノウハウの蓄積が見られる。対外発表や学術論文についても期待したい。他の畜産業への展開や、海外の生産国への波及も期待できる。今後投入される経費に見合った成果が実現できると考えられる。
A
アルプスアルパイン株式会社
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
株式会社中嶋製作所
国立大学法人九州大学
23303 データ利活用等のデジタル化の推進による社会課題・地域課題解決のための実証型研究開発(第2回)

副題:デジタル技術を活用した日本酒製造条件管理技術の開発
R5
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R6
◎山形県工業技術センター
小規模酒蔵への導入を考慮したIoTモニタリングシステムの開発とデータ利活用を目指す地域連携の取り組みである。
研究は着実な進展が見込まれる。実施体制は県の工業技術センターが地域の酒蔵と連携し、信頼関係が構築されている。小規模酒蔵への導入を考慮して、低コストのシステムを開発している。
目標の達成状況は、全体的に良好である。酒米の溶解特性などによる酒質評価とIoTセンサネットワークによるモニタリングの仕組み作りが着実に進展している。労働条件の改善と職人の技術継承への貢献も期待できる。
計画を着実に進めると共に、業界全体の分析能力の向上を目指して、データによる標準化と酒蔵ごとの独自性を両立させながら、データ利活用を促進していただきたい。
S
23304 データ利活用等のデジタル化の推進による社会課題・地域課題解決のための実証型研究開発(第2回)

副題:大規模災害時の迅速な犠牲者身元確認を可能とするAI・歯科情報利活用システムの開発実装
R5
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R6
◎国立大学法人徳島大学
それぞれの機関においてそれなりの進捗を出されており、その達成度については問題ないと思われるが、密な関係が今回のヒアリングでは感じ取ることがあまりできなかったことからも、今後は定期的な会合をもち、積極的に意見交換、議論などを進めていってほしい。
A
国立大学法人大阪大学
国立大学法人東北大学
23305 データ利活用等のデジタル化の推進による社会課題・地域課題解決のための実証型研究開発(第2回)

副題:AI開発で生み出す次世代型復興モデルの構築を行う研究開発
~高松市をモデル地域とした取り組み~
R5
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R6
◎国立大学法人香川大学
何と言っても国全体で防災・減災の取り組みが進みつつある中、研究開発の最前線で取り組まれている点が大きく評価できる。特に、近年の南海トラフ地震の話題からも国民全体の意識の高まりもある中、これらの成果への期待はより高まりつつあるのも事実である。このことからも、高松市での視点から徐々に全国展開できる、すなわちアイデアの汎化ができるような仕掛けができることが望ましい。残りの期間で、その最終目標に向けて適切に進めていただくことを期待する。
A
23306 データ利活用等のデジタル化の推進による社会課題・地域課題解決のための実証型研究開発(第2回)

副題:ヘルシーエイジング社会のための人-ロボット対話音声・触覚データを用いた認知症早期スクリーニング
R5
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R6
◎国立大学法人名古屋工業大学
適切なプロンプトの検証などを踏まえて、認知症スクリーニングに向けた音声情報収集へのアプローチは進んでいる。多感覚入出力に関しては、触覚の検証を行っているが、まだ不十分である。感情の情報の利用についても明確でない。今後も研究を延長し、臨床での検証を適切にフィードバックした開発を実施していただきたい。十分な臨床データを開発してシステムに反映できれば、認知症の早期診断のみならず、より広い領域での応用が期待される。
A
学校法人藤田学園 藤田医科大学
国立大学法人大阪大学
<評価 S:非常に優れている、A:適切である、B:やや劣っている、C:劣っている>

(注1)本中間評価結果を踏まえ、採択番号23101、23301~23306は令和7年度まで契約を延長することとした。
(注2)23101については、当初B評価であったところ、評価委員会の意見に基づき受託者が研究計画の見直しを行った。その内容を評価委員会で再評価した結果、A評価となった。