NICTはこれまで長年にわたり、多言語音声認識、機械翻訳、音声合成に関する研究開発に取り組んでおり、最近ではニューラル翻訳の翻訳方式を導入する等、翻訳性能等の技術面においては世界最高水準に達している他、スマートフォン用アプリ「VoiceTra」を実証実験として無料公開するなど研究開発成果の最大化に積極的に取り組んで参りました。
一方で、多言語音声翻訳システムに対する社会的な期待やニーズが急激に増大し、今後企業が持続的にビジネスを実施できる環境が求められてきた中で、こうした研究開発成果の利用を希望する企業が効率的かつ速やかに開発した技術を活用できる方策が課題となっていました。
今般NICTはこの課題を解決するため、NICTが開発した多言語音声翻訳技術の利用を希望する企業に円滑に技術移転するため、下記のような事業を行って頂ける企業・団体を募集し、当該企業・団体が中心となってこれまで以上に幅広い分野や業種に技術移転を進めることとしました。

1.事業内容

  • ① NICTへのライセンス料の支払いに基づきライセンス提供される研究成果物を活用した商用利用可能な多言語音声翻訳モジュールの作成、及び多言語音声翻訳サービスの開発を行う音声翻訳サービスベンダへの当該モジュールのライセンス提供
  • ② 音声翻訳サービスベンダ等から提供されたコーパスを基に、モジュールを構成する音声翻訳エンジンの改修
  • ③ 音声翻訳サービスベンダに提供したモジュールのアフターサポート

2.募集期間

平成30年11月15日~平成31年2月28日

3.募集要件

別添の「ライセンス事業の内容及び募集要件」をご覧ください。

4.提出書類

作成要領に沿って事業計画書を作成しご提出ください。

5.備考

 募集要件に適合すると判断させて頂いた申請者の方とは、NICTの研究成果物のライセンス料を含めたライセンス提供の協議を行わせて頂きます。その際に、NICTに対する開発成果の提供や当該開発成果を提供頂いた場合におけるライセンス料、ライセンス事業における音声翻訳モジュールのサブライセンス権の供与先等の諸条件について協議を行わせて頂きます。なお、上記の募集期間以外での申請をご検討の場合は、別途ご相談ください。

本件に関する問い合わせ及び事業計画書提出先

国立研究開発法人情報通信研究機構

先進的音声翻訳研究開発推進センター
企画室

Tel: 042-327-7340

E-mail: astrec-licenseアットマークkhn.nict.go.jp

別添

ライセンス事業の内容及び募集要件

  1. NICTから以下に掲げる研究成果物のライセンス提供を受け、動作するモジュール(注1)を作成する。また、作成したモジュールは、その信頼性が商用サービスとして利用可能な水準(現在NICTから公開されているVoiceTraの音声翻訳性能の水準以上)であることを保証すること。
    • <NICTからライセンス提供される研究成果物>
    • ・音声認識エンジン
    • ・機械翻訳エンジン
    • ・音声合成エンジン
    • ・音声翻訳サーバプログラム
    • ・辞書登録ツール(音声認識用、機械翻訳用、音声合成用)
  2. NICTからライセンス提供される言語について、不足なく速やかに音声翻訳サービスベンダ(作成したモジュールの提供先のことを言う。)にライセンス事業を提供すること。新たに言語が提供された場合も同様とする。
  3. 作成したモジュールは提供に際しては瑕疵責任を負うとともに保有する個人情報の取り扱いを適切に行うこと。また、国内の音声翻訳サービスベンダに提供したモジュールのアフターサポートサービスを行うため、原則として、国内に主たる拠点を有する法人であること(※1)。
    (※1)モジュール提供に関する知的財産権の実施にあたり、必要となる特許権帰属等(欧州GDPR(注2)等の対応も含む)の調査及び必要な対応を行うこと。
  4. 商用で提供するライセンスに加えて、必要経費程度の負担で利用可能な研究、試行などを目的とした試用ライセンスの提供を行うこと。
  5. 音声翻訳サービスベンダ等が独自に保有するコーパスを利用した音声翻訳エンジンの改修を希望した場合、特段の支障がない限り、当該コーパスを基に音声翻訳エンジンを改修すること(※2)。
    (※2)音声翻訳エンジンを改修後、預かったコーパス及び預かったコーパスをもとに生成した二次データは、コーパス提供者からの要求に応じて改修に使用した計算機から削除すること。
  6. 音声翻訳サービスベンダに対して作成したモジュールを提供し、提供したモジュールのアフターサポートサービスを行う上で対価を徴収し、適正な事業運営を行うことで2021年以降も事業を継続するよう努めること。
  7. 音声翻訳サービスベンダに対して提供するモジュールの利用許諾範囲に以下を含むこと。
    • ⑴ 商用クラウドサービス
    • ⑵ オンプレミスサーバ向けソフトウェアの製品化
    • ⑶ モジュールを組み込んだデバイス等の製品化
  8. 7.の⑴~⑶については、音声翻訳サービスベンダの子会社及び関連会社(注3)にも利用を許諾すること。
  • (注1)  エンジンやサーバプログラムのように単独で一定の機能を有するソフトウェア
  • (注2)  EU一般データ保護規則
  • (注3)  財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(昭和38年大蔵省令第59号)に規定する関連会社